キリスト教の聖典として知られる『聖書』ですが、『旧約聖書』と『新約聖書』の2種類があります。皆さんは違いがわかりますか?
今回はこの2冊の聖典の違いについてわかりやすく解説します。
結論:神と交わした古い契約と新しい契約
ユダヤ教とキリスト教という異なる宗教の名前が出てきました。まずは、2つの宗教の関係について解説します。
ユダヤ教とキリスト教の関係
ユダヤ教は、ユダヤ人は神に救われる唯一の民族であるという主張を持っています。そんなユダヤ教徒として生まれたイエスですが、ユダヤ教を批判します。
神を信じる者はユダヤ人でなくとも救われる、と説いたのです。ユダヤの教えに背いたわけです。これによりイエスは処刑されました。
その後、弟子たちがイエスの言行をまとめ『福音書(ふくいんしょ)』を完成させます。「福音」とは「よいしらせ」という意味です。これが後に『新約聖書』となったのです。
つまり、ユダヤ教とキリスト教は同じ神を信仰しているというわけです。そのため、イエスが生前、教えを広めるためにつかっていたのは『旧約聖書』だったのです。
「旧約聖書」をもっと詳しく
『旧約聖書』には、神が天地を創造するところから、イエス・キリストが生まれる400年ほど前までの歴史が書かれています。全39巻で構成されており、4部構成となっています。
第1部は創世記であり、神による天地創造やアダムとイブの逸話などの内容が描かれています。
また、当時エジプトで奴隷として迫害されていたユダヤ人を救うため、神がエジプト人であるモーセを指導者として動かしたという話も含まれています。このとき、神から十戒を授かりました。
以上が旧約聖書の冒頭の5書『律法』です。ユダヤ教徒はここに記されている規定を守り、日々生活しているのです。
これらの物語はキリスト教徒にとっても重要な内容である、ということがポイントです。
「新約聖書」をもっと詳しく
『新約聖書』は全27巻であり、4つの福音書と弟子による記録、パウロの手紙、ヨハネの黙示録によって構成されています。中にはイエスの生涯の記録とその教えについてが書かれています。
4つの福音書はイエスの生前の言行について、言い伝えなどをもとにまとめられています。そのため、同じエピソードを扱っていても内容が異なっていたり、主観が混じっていることもあります。
同じ神を信仰するもう1つの宗教
イスラム教もユダヤ教やキリスト教と同じ神を信仰しています。イスラム教の聖典は『コーラン』です。
独自の聖典を持つイスラム教ですが、神を信じていれば宗教の関係なく天国に行ける、という主張を持っています。そのため、聖典として『コーラン』の他に『旧約聖書』も『新約聖書』も認めているのです。
異なる宗教であるのに、同じ神を信仰していることから、エルサレム問題などの対立が生まれることもあります。
まとめ
以上、この記事では、「旧約聖書」と「新約聖書」の違いについて解説しました。イスラム教の話題も出てきたので整理しましょう。
旧約聖書 | 新約聖書 | コーラン | |
ユダヤ教 | 〇 | × | × |
キリスト教 | 〇 | 〇 | × |
イスラム教 | 〇 | 〇 | ◎ |
以上が『旧約聖書』と『新約聖書』の違いです。『聖書』は世界の教養として多様な文化を形成しています。大まかな歴史だけでもわかっていると、世界の見方が変わってくるのではないでしょうか。