今回ご紹介する言葉は、熟語の「正鵠(せいこく)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。
「正鵠(せいこく)」の意味をスッキリ理解!
「正鵠」の意味を詳しく
「正鵠」は、「物事の核心・要点・急所」を意味する熟語です。ある物事に関する、かんじんな部分のことを指します。
また、「弓の的の中心にある黒点」「物事の核心をついていること」という意味もあります。後者は形容動詞としての意味で、物事の性質や状態を言い表す時に使います。
「正鵠」は、「せいこく」という読みが一般的ですが、「せいこう」と読むこともできます。
「鵠」という字の左側は「告」ではありません。上部は「牛」なので、注意しましょう。
「正鵠を射(い)る」「正鵠を得(え)る」の意味を詳しく
「正鵠を射る」「正鵠を得る」は、物事の要点を正しくおさえるという意味です。同様の意味で、「正鵠を失わず」と表現することもできます。
「正鵠」の使い方
- 新社長は会社の問題点を3つ挙げたが、彼女の意見は正鵠を得ているのだろうか。
- 私が思うに、あの探偵の推理は正鵠を射ている。
- 伝えたいことを明確にしないまま話しだすと、正鵠を失うことになる。
- 有名なジャーナリストが考えることが、必ずしも正鵠であるとは限らない。
- 彼が記者の前で語ったのは、総理大臣に関する論理的で正鵠な批判だった。
例文➀の「正鵠を得る」は、「要点をついている」という意味です。一方、例文➁の「正鵠を射る」は、「物事の核心をついている」という意味です。
「正鵠」は、このように「得る」「射る」といった言葉とセットで使われることが多いです。
例文➂では、「物事の核心から外れる」ということを、「正鵠を失う」と表現しています。
例文➄では、「物事の核心をついていること」という意味で、「正鵠」を使用しています。
「正鵠」の語源
「正」「鵠」には、どちらも「弓の的の中心」という意味がありました。ここから「正鵠」という熟語が、同様の意味を表すようになりました。
また、ここから、「物事の核心・要点・急所」という意味も生まれました。
さらに「弓の的の中心を正確に射るさま」が転じて、「物事の核心をついていること」を表すようになりました。
「正鵠」の類義語
「正鵠」には以下のような類義語があります。
- 核心:物事の中心となる大切な部分
- 要点:物事の中心となる大切な部分
- 論点:議論の対象となっている問題点
- 勘所(かんどころ):かんじんな部分、急所
- 肯綮(こうけい):物事の急所
「正鵠」の英語訳
「正鵠」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- point
(要点、核心) - brass tacks
(核心) - target
(的、標的)
“get down to brass tacks” で、「核心にふれる」という意味になります。
また、“hit the bull’s-eye”で「(発言などが)的を射る」、 “hit the nail on the head” で「核心をつく」ということを表します。「正鵠を得る」「正鵠を射る」の英語訳にあたります。
まとめ
以上、この記事では「正鵠」について解説しました。
読み方 | 正鵠(せいこく) |
---|---|
意味 | 物事の核心・要点・急所 |
語源 | 「正」「鵠」の「弓の的の中心」という意味から |
類義語 | 核心、要点、論点など |
英語訳 | point(要点、核心) |
「正鵠」は、日常会話ではあまり聞かない表現でしょう。初めて漢字を見た人は、読み方すら分からないかもしれません。
しかし、「正鵠」には「正鵠を射る」「正鵠を得る」をはじめとする派生表現が複数あります。使い勝手もよいです。
意味・読み方・使い方を正確に覚え、適切な場面で使ってみてください。