「正義マン」とは?意味と使い方を例文付きでわかりやすく解説

言葉

正義マンとは「自分の正義感に基づいて、過剰な行動を起こす人」という意味です。

正義マンと聞くと、正義のヒーローを思い浮かべてしまう人もいるのではないでしょうか。

実は、正義マンは、ネガティブな意味をもつ言葉なのです。

この記事では、正義マンの意味や具体例、特徴、由来などについて詳しく解説します。

「正義マン」の意味

せいマン
自分の正義感に基づいて、過剰な行動を起こす人

正義マンとは、自分の正義感にこだわるあまり、過剰な行動を起こす人のことです。

相手を厳しく注意したり、時には悪質な批判をしたりと、正義感がエスカレートしている人を指します。

インターネット掲示板から生まれたスラングですが、現在では日常会話のなかでも使われます。

女性に対しては「正義ウーマン」ということも可能ですが、性別に関係なく「正義マン」と呼ぶことが多いです。

「正しい犯罪者」という意味は誤用

まれに、「正義マン」を、犯罪者をかばうために使う人がいます。

しかし、これは誤用です。

「正義マン」は犯罪者を正当化するために用いる言葉ではありません。

「正義マン」の具体例

「正義マン」が起こす行動には、以下のようなものがあります。

  • 電車の優先席に座っている人を怒鳴って立たせる
  • 電車内で、足を広げて座る人を蹴る
  • 逃げる痴漢に暴行を加える
  • 転売商品を超高額で落札して支払わない
  • 社会から批判されている人の個人情報を調べて、SNSで晒す
  • 芸能人のSNSを日頃からチェックし、少しでも間違いがあれば批判する
  • スマホを見ながら自転車を運転する人に厳しく注意する
  • エスカレーターを駆け上る人の前に立ちはだかり、邪魔する
  • コロナ渦で、マスクを転売している人をSNSで晒す
  • コロナ渦で自粛要請が出たのにも関わらず、営業を続けたパチンコ店を中傷する

上記で挙げた事例を見ると、「正義マン」の着眼点は正論に基づいています。

実際、マナーやルールを守れない人には非があります。

しかし、「正義マン」は、相手の誤ちを正そうとするあまり行動がエスカレートして、結果的に自分自身が迷惑行為をしてしまっているのです。

間違った正義に基づいている場合も

場合によっては、そもそもの「正義」が間違っている正義マンもいます

例えば、以下のような行動をする正義マンは、誤った正義に基づいて行動してしまっています。

  • クールビズの公務員に、「身なりがきちんとしていない」と注意する
  • 著作権の知識が不十分な状態で、「権利侵害だ」と注意する
  • ベビーカーを畳まずに電話に乗る人を叱る
    (実際のルールでは、ベビーカーは畳まずに乗車してもOKと定められている)

「正義マン」になりやすい人の特徴


正義マンになりやすい人には、以下のような特徴があります。

  1. 頑固である
  2. 相手を言い負かしたい
  3. 怒りっぽい
  4. 暇である

以下、1つずつ解説します。

あくまでも一般的な傾向

これから紹介する原因は、あくまでも一般的な傾向です。

下記で挙げる特徴に当てはまらなくても、他人のことを考慮しない行動を起こした場合には、周囲から「正義マンだ」と思われる場合があります。

特徴①頑固である

正義マンになりやすい人の特徴として、頑固であるという点があります。

「〇〇するべきだ」「例外は認めない」という使命感が強い傾向があるため、ルールを守れない人のことが許せなくなっているのです。

そのため、相手の状況や言い分をふまえずに、頭ごなしに注意をしてしまう傾向があります。

すべての人間の本能には、「ルールを守ろう」という思考が備わっていますが、正義マンはその本能が非常に強いのです。

特徴②相手を言い負かしたい

相手を言い負かしたい」という気持ちが強い人も、正義マンになりやすいです。

正義マンは正しいことに基づいて行動を起こしているため、正義マンが暴走しても、周囲は注意しづらいです。

そのため、正義マンには「相手を論破することができる」という自信がついてしまうのです。

また、相手を制裁すると、脳内にドーパミンという快楽物質が出てくるため、相手を言い負かすことの気持ちよさにはまってしまうと、また同じ行動を繰り返しやすくなります。

特徴③怒りっぽい

正義マンには、普段から怒りっぽい人が多いです。

この特徴は、特に年配の人に見られます。

年齢を重ねるほど、脳の前頭葉がうまく働かなくなり、理性を抑えづらくなるからです。

しかし、もちろん若者にも正義マンは存在します。

特徴④暇である

暇な日々を送っている人も、正義マンになりやすいといえます。

忙しいと自分のことで精一杯になりがちで、他人の過ちにかまっていられませんよね。

その点、正義マンは時間があり余っているからこそ、他人の間違いを探すことに没頭しやすいのです。

「正義マン」の例文


「正義マン」は、文章や会話のなかで、以下のように使うことができます。

  1. 昨日、正義マンに怒鳴られた。
  2. 正義マンには、何を言っても通用しないよ。
  3. 正論は大事だけれど、エスカレートすると正義マンになってしまうよ。
  4. 正義マンの執行は、結局は自己満足だ。

例文④のように、「正義マンの執行」という言い回しはよく使われます。

「正義マンの執行」とは、正義マンが自分の正義に基づいて、相手に対して制裁を下すことです。

相手を怒鳴りつけたり、SNSでさらし者にしたりする行為が「執行」にあたります。

「正義マン」の由来

正義マンは、インターネット掲示板の「5ちゃんねる(旧・2ch)」から生まれたスラングです。

そのため、正義マンは、掲示板のなかで使われている言葉でした。

しかし、「イートイン脱税(だつぜい)」に過剰な注意をする人々が話題になったことをきっかけに、「正義マン」は日常会話やSNSでも使われるようになったのです。

ここからは、イートイン脱税と正義マンの関係について、詳しく解説します。

イートイン脱税とは

イートイン脱税とは、消費税の安いテイクアウト商品を買っておきながら、そのまま店内で飲食する行為のことです。

令和元年から、消費税の軽減税率(けいげんぜいりつ)が決められ、以下のようなルールになりました。

テイクアウト(持ち帰り)の飲食物消費税8%
イートイン(店内)の飲食物消費税10%

しかし、コーヒーショップやファーストフード店では、テイクアウトで買ったものを、そのまま店内で飲食をする人もいます。

つまり、店内で飲食をするならば10%の消費税を払わなければならないのにも関わらず、本来よりも安い8%の消費税で買ったものを、そのまま店内で飲食しているということになります。

なお、「イートイン脱税」をわざと繰り返すのは問題であるものの、法的に裁かれるような犯罪ではありません。

8%の消費税で買ったテイクアウト商品を店内で飲食しても、会計をやり直す義務はないのです。

「正義マン」 vs イートイン脱税

イートイン脱税をする人のことを許せず、直接厳しく問いただしたり、店舗にクレームを入れたりする人たちがいました。

また、イートイン脱税をしていない顧客に対して、疑いの目を向けて監視する人も出てきました。

このような過度な行動をとる人たちは「正義マン」として、ネット掲示板やSNS、メディアで取りあげられるようになったのです。

悪気のない「イートイン脱税」もある

正義マンたちの「本来の税率で支払うべきだ」という主張は、たしかに正しいです。

しかし、イートイン脱税をする人のなかにも、悪気なく行動している人もいます。

たとえば、「外で食べるつもりでテイクアウト商品を買っても、急な予定変更などで店内で食べることになった」というケースもあります。

その点を考えると、正義マンの行動はやはり行き過ぎているといえます。

店舗側の対応

正義マンと、イートイン脱税をする人ととの対立を防ぐために、コーヒーチェーン店では以下のような対応が行われました。

コーヒーチェーン店の対応
  • 紙カップに「10%の税率で買った」ということがわかるシールを貼った
  • テイクアウトもイートインも紙コップで提供することで、正義マンたちに区別ができないようにした

上記のような工夫の結果、トラブルの件数は減少しました。

「正義マン」の類義語

正義マンには以下のような類義語があります。

  • マナー警察(けいさつ)
    他人のマナーに対して、口うるさく注意する人
  • 礼儀ポリス
    他人の礼儀に対して、口うるさく注意する人
  • 礼儀作法監視官(れいぎさほうかんしかん)
    他人の礼儀に対して、口うるさく注意する人
  • つるし上げ
    特定の人を厳しく批判し、追い込むこと
  • 不謹慎狩り(ふきんしんがり)
    不謹慎だと思われることに過剰反応し、批判すること
  • ネットクレーマー
    インターネットで悪質な苦情を言う人
  • モンスタークレーマー
    商品やサービスに対して悪質な苦情を言う人

「正義マン」の英語訳

正義マンの英語訳は、“Social Justice Warrior (社会の正義のために戦う人)” です。

カタカナで読むならば、「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー」となります。

“Social Justice Warrior” は正義マンと同じく、「正義をふりかざす人」という皮肉的な言葉です。

英語圏では、具体的には以下のような分野で、正義を暴走させてしまう人に対して使います。

  • フェミニズム
    女性の権利を発展されるための考え・運動
  • 人権運動
    人種差別、言論弾圧、性差別などによって、基本的な人権が侵害されている人々を解放するための運動
  • アイデンティティ政治
    社会的に弱者となっているジェンダーや民族、障がい者などの利益を守るための政治活動

なお、 “Social Justice Warrior” は、頭文字をとって、SJW と呼ばれる場合もあります。

「正義マン」への対応


正義マンとは、あまり深く付き合わないのが無難です。

なぜなら、正義マンは、自分が正しいのだという思い込みが強いため、何を言っても聞き入れてもらえない場合が多いからです。

もしも、正義マンと関わることある場合には、以下のような対応をしましょう。

  • 正しい部分には賛同し、認めてあげる
  • 一緒になって「正義マン」としての行動をしない
  • 誤っている部分を指摘する
  • 理解を求め、落ち着かせる

「正義マン」の末路

正義マンになると、以下のような末路(まつろ)が待ち受けています。

「正義マン」の末路
  1. 周りからどんどん人が離れていく
  2. 困ったときに、誰からも助けてもらえない

1つずつ見ていきましょう。

末路①周りからどんどん人が離れていく

正義マンになると、周囲の人々が離れていきます

正義マンと一緒にいると、細かい点を激しく注意されたり、騒動の巻き添えを受けたりするため、誰もが正義マンと関わりたくないのです。

しかし、正義マンは、自分に関わってくれる人が減ったことについて、「自分の制裁が効果的だったのだ」と勘違いしてしまいがちです。

つまり、人が離れていくことの重大さに気づかず、特に改善せずに過激な行動を続けるため、結局はさらに多くの人が離れてしまうのです。

末路②困ったときに、誰からも助けてもらえない

正義マンになると、いざというときに誰からも助けてもらえません

正義マンは他人に過ちに対して厳しく、冷たい対応を取りやすいです。

そのため、正義マンと関わってきた人々も、「正義マンから激しく責められたので、私も正義マンに厳しく接しますよ」というスタンスになります。

つまり、正義マンは自分の行なってきたことが原因となって、自分も他人から助けてもらえなくなるのです。

「正義マン」にならないためには


ここまで見てきたとおり、正義マンになってしまうと、孤独な結末になってしまいます。

そのため、正義マンにならないよう、以下のような点に心がけましょう。

「正義マン」にならないためには
  1. 時と場合に合わせて柔軟に対応する
  2. 相手を厳しく責めない
  3. 怒りの状態を客観視して、冷静になる

以下、1つずつ解説します。

心がけ①時と場合に合わせて柔軟に対応する

まず、正義マンにならないためには、時と場合に合わせて柔軟に対応する必要があります。

「ルールを守る」「マナーを守る」という心がけは大事ですが、その一貫性にこだわりすぎると、「何が何でも相手を改善させなければ」という過激な行動に繋がってしまいます。

たとえば、新聞の配達員が、道で迷子になっている子どもを助けていたとしましょう。

「配達員は、業務時間内は仕事に集中しなければならない」というルールはあるものの、緊急事態であるため、業務をいったんやめて子どもを助けるのは責めるべきことではありませんよね。

心がけ②相手を厳しく責めない

また、自分に直接の被害がない限りは、相手を厳しく責めないことも大切です。

たとえば、ある芸能人に不倫報道があったとします。

たしかに、配偶者でない人と恋愛関係に陥るのは倫理に反することといえます。

しかし、たとえその芸能人が不倫をしたとしても、あなたに直接の被害はないのですから、怒りのコメントを送信したり、誹謗中傷をしたりする必要はないのです。

心がけ③怒りの状態を客観視して、冷静になる

正義マンにならないためには、怒りの状態を客観視して、冷静になることも大切です。

ルールやマナーを守れない人に対して怒りを覚え、過激な行動をしてしまうと、正義マンになってしまいます。

そのため、頭にカッと血が上ってしまったときは、「自分はいま、怒っているのだ」と自覚したうえで、「なぜ怒っているのか」という理由などを考えてみましょう。

このように、自分を客観的に見ることで、心を落ち着かせることができます。

「正義マン」のまとめ

以上、この記事では「正義マン」について解説しました。

意味自分の正義感に基づいて、過剰な行動を起こす人
由来インターネット掲示板の5ちゃんねる(旧・2ch)
類義語マナー警察
礼儀ポリス
礼儀作法監視官 など
英語訳Social Justice Warrior (社会の正義のために戦う人)

正義をもつことは大切ですが、正義マンにならないように気をつけましょう。