スキームとは「➀実行性を伴った計画➁仕組み」という意味です。
ビジネスの分野でよく使われる言葉ですが、あまり馴染みのない言葉だという人もいますよね。
この記事では、スキームの意味や使い方を詳しく解説します。
☆「スキーム」をざっくり言うと……
英語表記 | スキーム(skhema) |
---|---|
意味 | ➀実行性を伴った計画 ➁仕組み |
語源 | 「枠組みを持った計画」という意味のギリシャ語 “skhema” |
類義語 | 計画(プラン) 戦略(ストラテジー)など |
対義語 | 結果 実行など |
このページの目次
「スキーム」の意味
➀実行性を伴った計画
例:スキーム通りに行動する。
➁仕組み
例:まずはスキームを作ろう。
スキームとは、実行性を伴った計画、仕組みのことを表す言葉です。
大まかな行動の流れではなく、実際の行動計画が、すぐに実行できる程度まで出来上がっている状態の計画です。
また、仕組みという意味で使われることもあります。
この場合は、以下のように前に名詞を付けて「〇〇スキーム」と表現することが多いです。
- 評価スキーム
何かを評価する基準や仕組み - 認証スキーム
認証する仕組み
「スキーム」の分野ごとの意味
スキームは、以下のような分野では特殊な意味で使われます。
- IT
- 政治
- ビジネス
分野➀:IT
ITにおけるスキームとは、プログラミング言語のひとつです。
「scheme(スキーム)」というプログラミング言語は、「Lisp」の派生型として生まれました。
もとになったLispと比べると、言語の仕様が簡潔であるため、学習しやすいことが大きな特徴です。
Lispとは、人工知能プログラムとして幅広く使われているプログラミング言語です。
分野➁:政治
スキームは、政治や行政の場面では以下のような意味で使われます。
- 基本構想
地方自治法の規定にもとづく市町村の構想や計画のこと - 基本計画
政策や事業における基本的な方針とその内容
分野➂:ビジネス
ビジネスにおけるスキームは、事業スキームという意味で使われていることがほとんどです。
事業スキームとは、ある事業が利益を得る仕組みのことです。
例えば、コーヒーショップの事業スキームは以下のような仕組みです。
- コーヒーや食事、くつろげる空間を提供
- 飲食物の対価として消費者からお金を得る
- 売り上げで材料を仕入れ、従業員の雇用を行う
「スキーム」の使い方
スキームは、「計画」と「仕組み」という意味を使い分ける必要があります。
また、前に名詞を置いて〇〇スキームという形で使われることも多いです。
「計画」という意味で使われる例文には以下のようなものがあります。
- 新しい事業スキームを確認しよう。
- スキームに沿って製品を作ってください。
「仕組み」という意味で使われる例文には以下のようなものがあります。
- 建築物のカラースキームが完成しました。
- スキームを作ってから、仕事をした方が効率がいいね。
➀のカラースキームとは、目的に合った配色を行うための設計のことです。
「スキーム」の語源
スキームの語源は、「枠組みを持った計画」という意味のギリシャ語 “skhema” です。
ここから英語の “scheme” が生まれました。
“scheme” には以下のような意味があります。
- 計画
- 仕組み
- 体系
- 案
- 悪いたくらみ
- 陰謀
“scheme” には上記のような意味がありますが、主に「注意深く練られて組織立った計画」を表します。
この部分と「仕組み」という意味がカタカナ語のスキームの意味となりました。
カタカナ語のスキームには英単語の “scheme” の「悪いたくらみ」「陰謀」などの意味はありません。
アメリカ英語では、 “scheme” は「陰謀」という意味で使われることが多い言葉です。
それに対してイギリス英語では、「政府などによる公式な事業計画」を意味することが多いです。
つまり、カタカナ語のスキームは、イギリス英語寄りの意味を持っているのです。
「スキーム」の類義語
スキームには以下のような類義語があります。
- 計画/プラン
物事を実行するための方法や順序 - 戦略/ストラテジー
組織などを運営する際の将来を見通した方策 - 構想
今後行われる物事の内容や規模などを考え骨組みをまとめること - 体系/システム
個々別々のものを統一した組織・全体のこと - 仕組み
物事の組み立て - フロー
仕事の始まりから終わりまでの一連の流れを示すもの - フレームワーク
枠組み・骨組み・構造 - スキーマ
概要・図解・図式
「スキーム」と「プラン」の違い
スキームとプランには、以下のような違いがあります。
計画の具体性 | 計画の期間 | |
---|---|---|
スキーム | 目的を達成するための手段や仕組みが伴った計画 | 継続して長期的に運用されることが前提 |
プラン | まだ具体的な内容が決まっていない構想段階の計画 | 一度きりのもの、短期的なものに使われる傾向 |
つまり、スキームはプランよりも具体的で長期的な計画に使われるのです。
「スキーム」と「フロー」の違い
スキームに比べてフローは、より細かい部分についての流れを表す言葉です。
具体的にスキームとフローには、以下のような違いがあります。
- スキーム
全体の枠組み - フロー
全体の中の一つひとつの事柄の流れ
「スキーム」と「スキーマ」の違い
スキーマのメインの意味は「物事に対してそれぞれの人が無意識に判断したり行ったりする、決まりきったものの考え方や見方」です。
また、スキームと似た意味も持ちますが、枠組みや仕組みという意味はないので注意が必要です。
「スキーム」の対義語
スキームには以下のような対義語があります。
- 結果
物事や行為などから生じた現象・状況 - 実行
実際に行うこと - 偶発
物事が偶然起こること
「スキーム」の関連語
スキームの関連語には以下のようなものがあります。
- スキーム図
物事を実行するための方法や順序 - スキームオブアレンジメント
組織などを運営する際の将来を見通した方策 - スキーム論
今後行われる物事の内容や規模などを考え骨組みをまとめること - スキーム構築
個々別々のものを統一した組織・全体のこと - カラースキーム
物事の組み立て - 評価スキーム
人事評価や事業評価を客観的に行うための枠組み - 販売スキーム
商品やサービスの販売の流れをとらえた枠組み - 資金調達スキーム
新しく事業を立ち上げる際に外部から資金を調達するための枠組み - M&Aスキーム
株式譲渡や事業譲渡などのM&Aの枠組みや手法 - 事業スキーム
事業の具体的な計画や構想に基づいた仕組み - 返済スキーム
借り入れた資金の返済計画 - 運用スキーム
顧客から預かった資産の運用方法を、図表などを用いて簡潔に示すもの - ポンジスキーム
出資を募り、配当金を支払うふりをする金融詐欺の形 - 投資スキーム
複数の金融商品への投資の分配を決定するための枠組み
「スキーム図」の意味
スキーム図とは、事業を進める上での用いられる手順や流れをわかりやすく視覚化したものです。
段階や流れを把握しやすくするために、プレゼンテーションの資料などでよく使われます。
「スキームオブアレンジメント」の意味
スキームオブアレンジメントとは、イギリス式の株式の購入方法です。
一定の条件を満たした場合に、買収者が対象の会社の全ての株式を購入できるという買収手法です。
水面下で動いて悟られないように買収するのでなく、裁判上の手続きを通した公開買い付けになります。
買収の条件として買収される側の承認が必要になるため、友好的な買収でのみ使うことができます。
「スキーム論」の意味
スキーム論とは、代数幾何学(だいすうきかがく)で用いられる理論です。
スキーム論は難解な数学の概念であるため、ここでの説明は省略します。
また、数学の分野で単にスキームと言った場合は、「特定条件下で構成される特定の空間」のことを意味します。
「スキーム構築」の意味
スキーム構築とは、「行動を伴った計画を作り上げること」という意味の言葉です。
「カラースキーム」の意味
カラースキームとは、「色彩計画」のことです。
色彩計画とは、建築やインテリア、ウェブデザインなどにおいて目的に合った配色を行うための設計です。
色のもつ心理的・生理的・物理的な性質を利用して目的に沿った配色を計画します。
その際に、全体像を確認しながら、まとまりのある設計を行うことがポイントになります。
カラースキームは、「カラープランニング」とも言われることもあります。
「事業スキーム」の意味
事業スキームは、事業の具体的な計画や構想に基づいた仕組みという意味で、事業計画とも呼ばれます。
具体的には、以下のような内容を組みこむことが多いです。
- 事業コンセプト、ビジョン
- 事業の領域や範囲
- マネタイズ方法
- 自社の強み
- 財務計画
「スキーム」のまとめ
以上、この記事ではスキームについて解説しました。
英語表記 | スキーム(skhema) |
---|---|
意味 | ➀実行性を伴った計画 ➁仕組み |
語源 | 「枠組みを持った計画」という意味のギリシャ語 “skhema” |
類義語 | 計画(プラン) 戦略(ストラテジー)など |
対義語 | 結果 実行など |
スキームに関連する複数の言葉もしっかりと理解しておきましょう。