「歳入・歳出」と「収入・支出」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

皆さんは「歳入・歳出」と「収入・支出」の違いをご存知でしょうか。

「言葉としては聞いたことがあるけれど、具体的に説明するとなるとわからない」という人がほんどではないではないでしょうか。

今回はそんな、意外と知らない「歳入・歳出」「収入・支出」の違いについて解説します。

結論:お金を動かす主体の範囲が異なる

国や地方公共団体の1年間の一切の収入のことを「歳入」といい、国や地方公団体の1年間の一切の支出のことを「歳出」といいます。

そして、「収入」とは、一般にある期間内に得た金銭や物品のことをまとめて指し、「支出」とは、一般にある期間内に目的を達成するために支払った金銭や物品のことをまとめて指します。「収入・支出」は公的な機関に限らず、個人や会社のお金の動き全般を指します。

「歳入・歳出」についてもっと詳しく



公的な機関の1年間の一切の収入のことを「歳入」、1年間の一切の支出のことを「歳出」といいます。公的な機関とは、国や地方公共団体のことです。

つまり、国や地方公共団体といったいわゆる「公的な機関」の1年間の収入のことを「歳入」といい、1年間の支出のことを「歳出」ということです。

 

国や地方公共団体では基本的に1年単位で決算(金銭の最終的な勘定、一定期間内での利益、損失の計算)を行います。

そのため、「歳入」や「歳出」は「1年間の一切の収入・支出」のことを指すのです。

「歳入」についてもっと詳しく

「歳入」とは、簡単な言い方をすれば、「国や地方公共団体の1年間の収入」です。

この収入の大部分は税収が占めています。

また、この「歳入」はいくつかの観点によって2つに分類することができます。

 

1つ目は、「使い方が決められているかお金かどうか」という観点です。

「使い方が決められている財源」を「特定財源」といい、それに対し「使い方が決められていない財源」を「一般財源」といいます。

 

2つ目は、「自力で獲得しているお金かどうか」という観点です。

「自力で獲得している財源」のことを「自主財源」といい、それに対し「自力で獲得せず、他者から貰っている財源」を「依存財源」といいます。

地方公共団体の中には、運営を自分たちの歳入(自主財源)だけではまかなうことができないものもあり、そういった地方公共団体は国からの補助金(依存財源)によって運営を成立させています。

 

3つ目は「継続的・安定的なお金であるかどうか」という観点です。

「継続的・安定的なお金」のことを「経常(けいじょう)的収入」といい、それに対し「継続的・安定的でないお金」のことを「臨時的収入」と呼びます。

「歳出」についてもっと詳しく

「歳出」とは、簡単な言い方をすれば、「国や地方公共団体の1年間の支出」です。

使われるお金の用途としては、社会保障、公共事業、教育、人件費、公債(簡単に言うと国や地方公共団体の借金)の返済など多岐にわたります。

「収入・支出」についてもっと詳しく


「収入」とは、一般にある期間内に得た金銭や物品のことをまとめて指し、「支出」とは、一般にある期間内に目的を達成するために支払った金銭や物品のことをまとめて指します。

「歳入・歳出」は、国や地方公共団体といった公的な機関のお金の動きのみを指す言葉でしたが、「収入・支出」は公的な機関に限らず、個人や会社のお金の動き全般を指す言葉です。

 

「収入」は、「入ってきて、その所有になる金銭」という意味です。

「入ってくる」「手に入る金額」と「収入」は書くため、「収入」は「入ってきて、その所有になる金銭や物品」という意味になります。

 

また、「収入」と聞くと、お金しか当てはまらないような印象がありますが、「物品」も収入に当てはまります。

つまり、なにか物品を譲渡(じょうと)されるようなことがあれば、それも「収入」に含まれます。

そして、「歳入」とは違い、「公的な機関」に言葉が限定されないため、学生がアルバイトして稼いだお金も、投資家が株をやりくりして得たお金も全て「収入」と呼びます。

 

「支出」の「支」には「払う」という意味があります。

「支出」は、「ある目的のために金銭や物品を差し出すこと」という意味です。

 

そして、「収入」と同様に、「支出」と聞くとお金の動きにしか当てはまらない印象がありますが、「物品」も「支出」に含まれます。

つまり、友達に宿題を手伝ってもらう代わりに「お菓子」を差し出せば、それは「ある目的のために金銭や物品を差し出す」ことになるため、その行為は「支出」に含まれます。

「歳出」は「公的な機関」の「支出」のみを示す言葉でしたが、「支出」という言葉にはそのような縛りは存在しないため、学生が払ったお金も、銀行が差し出した不動産も「支出」に含まれることになります。

まとめ

以上、この記事では「歳入・歳出」と「収入・支出」の違いについて解説しました。

  • 歳入・歳出:国や地方公共団体の1年間の収入と支出
  • 収入・支出:獲得した金銭・物品と支払った金銭・物品。公的な機関以外のお金の動きにも用いる

「歳入・歳出」は国や地方公共団体といった「公的な機関」においてのみ用いる特別な言葉ということです。

「収入・支出」は特に縛りはなく、あらゆる状況のお金の動きに対して使うことができます。