今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「採長補短(さいちょうほたん)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「採長補短」をざっくり言うと……
読み方 | 採長補短(さいちょうほたん) |
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意味 | 人の長所を取り入れて、自分の短所を補うこと |
類義語 | 取長補短、舎短取長、助長補短など |
英語訳 | compensating for one’s shortcomings by incorporating(他人の強みを合わせることによって、短所を補う)など |
「採長補短」の意味をスッキリ理解!
「採長補短」の意味を詳しく
「採長補短」は、「他の人の良いところを取り入れて、自分の劣っている部分を補うこと」という意味を表す四字熟語です。「人のふり見て我がふり直せ」ということわざと同じ意味を持ちます。
「採長」は、「良いところを選んで取る」という意味を持ちます。
「補」は、「補う」という意味です。「短」は、「長」の対義語です。つまり、「採長補短」では、「短所」や「欠点」という意味を成します。
ですから、「補短」は、「短所を補う」という意味になります。
このように、「採長補短」は、「採長」と「補短」の2つの熟語が組み合わさっているのです。したがって、「採長補短」は、「他人の良いところを真似して、自らの欠点の埋め合わせをする」という意味をもちます。
「採長補短」で押さえておくべきポイントは、自分の短所を「なくす」のではなく、「カバーする」という点です。
自分の短所は、どうしても目立ってしまいがちです。しかし、それを完全になくすことは困難ですね。「採長補短」は、「他人の長所を取り入れることで、自分の短所を目立たなくする」という前向きな四字熟語です。
なお、「採長補短」は、人物だけでなく物事に対しても用いることができます。その場合、「ある物事のなかで不備があるところを、その物事のなかの優れたところや余ったところから補う」という意味になります。
「採長補短」の使い方
- 父のような立派な人物になるために、採長補短を心掛ける。
- 彼と彼女は、お互いに採長補短し合うことで、良い関係を築いている。
- 短所をなくすことよりも、採長補短を心がけることで、自分を成長させることができる。
- 私はまだまだ未熟なので、採長補短の心をもって、自らの力をつけたい。
また、「採長補短」は、自分の中で心がけることによって実現することです。ですから、「採長補短を心掛ける」や、「採長補短の気持ちで」などのかたちで使います。
「採長補短」の類義語
採長補短には以下のような類義語があります。
- 取長補短(しゅちょうほたん):長所を取って、短所を補うこと
- 舎短取長(しゃたんしゅちょう):短所や欠点を捨てて、美点や長所を選び伸ばすこと
- 助長補短(じょちょうほたん):他人より優れた部分を伸ばして、他人より劣っている部分を補うこと
- 続短断長(ぞくたんだんちょう):過不足のないように、物事の程度を整えること
「取長補短」は、もともと中国語です。「長所を取って、短所を補う」という内容をそのまま四字熟語にしたものです。
「採長補短」と「舎短取長」には、1点だけ違いがあります。
すでに解説したように、「採長補短」は、あくまで「短所をカバーすること」が目的です。一方、「舎短取長」は、「短所を捨てること」に重きを置きます。
このように、「短所を捨てて、長所のみを伸ばす」という意味を持つ「舎短取長」は、この点において、「採長補短」とニュアンスが異なります。
「続短断長」は、「断長続短」とも表記されます。
「続短断長」は、「採長補短」を物事に用いるときと、同じ意味を持ちます。長さが短ければ、「継ぎ足しをすることで長さを補い、長すぎるものは切って短くする」という意味から生まれました。
つまり、「お互いの程度が、ちょうど良いように整えること」という意味になります。
「採長補短」の英語訳
採長補短を英語に訳すと、次のような表現になります。
- compensating for one’s shortcomings by incorporating
(他人の強みを合わせることによって、短所を補う) - use other’s merits to compensate for own deficiencies
(他人の長所を使って、自身の短所を補う)
どちらの英語訳にも、 compensate という英単語が共通しています。これは、「補う」という意味です。
まとめ
以上、この記事では「採長補短」について解説しました。
読み方 | 採長補短(さいちょうほたん) |
---|---|
意味 | 人の長所を取り入れて、自分の短所を補うこと |
類義語 | 取長補短、舎短取長、助長補短など |
英語訳 | compensating for one’s shortcomings by incorporating(他人の強みを合わせることによって、短所を補う)など |
自分の短所は、できればなくしたいものです。しかし、短所ばかりに目を向けず、長所をもっと伸ばすことが自分の成長に繋がります。
また、周りの人の良いところを真似することは、決して悪いことではありません。画家のゴッホも、「模倣の天才」と呼ばれていました。他人の技を見習って、自分の力にしたのです。
「採長補短」を心がけることで、自分をレベルアップすることができるのです。