今回ご紹介する言葉は、故事成語の「夫(か)の人の子(こ)を賊(そこ)なわん」です。
言葉の意味・例文・由来・英語訳について、わかりやすく解説します。
☆「夫の人の子を賊なわん」をざっくり言うと……
読み方 | 夫(か)の人の子(こ)を賊(そこ)なわん |
---|---|
意味 | その人のためにならないこと |
由来 | 『論語』より |
英語訳 | This won’t be helpful for him. |
このページの目次
「夫の人の子を賊なわん」の意味
「夫の人の子を賊なわん」の詳しい意味
「夫の人の子を賊なわん」とは、能力に見合わない課題を与えるなど、その人のためにならないことや、その人を駄目にしてしまうことを指す故事成語です。
「夫の」で「かの」と読みます。現代では「あの」「その」のような意味です。
特殊な読み方なので、間違えないように注意しましょう。
「夫の人の子を賊なわん」の使い方
「夫の人の子を賊なわん」は、文章中では以下のように使われます。
- 新人にその仕事を任せるのはまだ早い。夫の人の子を賊なわんだ。
- 夫の人の子を賊なわんと言うように、相手の力量を見極めて役割分担をすることが大切だ。
「荷が重いからそれはやめよう」というように、たしなめる場面で使われています。
「夫の人の子を賊なわん」の由来
『論語』の一節が元になっています。原文とその現代語訳は以下の通りです。
子曰、賊夫人之子。
子路曰、有民人焉、有社稷焉、何必讀書、然後爲學。
子曰、是故惡夫佞者。
これを知った孔子は、「未熟な子羔をそのような要職に就けるのはまだ早い。未熟な代官に治められる人民もたまったものではない。もう少し学問修養を積ませてからにしなさい。子羔にも人民にも、どちらのためにもならない」と子路を叱った。
これに対し子路は「既にここに治めるべき人民がいて、社会がある。実務を通して学ぶのも立派な学問である。机上で書物を読むだけが学問ではない」と反論した。
孔子は、「これだから口達者な人は嫌なのだ」と云った。
孔子はあまり人を叱(しか)ることがないため、論語の中でもこの部分は珍しい文章です。
子路も孔子も、子羔のためを思って発言している点は共通しています。しかし、子路の意見は「失敗しながら学べばよい」というものですが、失敗されて困るのは、生活している市民です。子路は市民への被害を考えられていません。
そのことを指摘するために、孔子は子路を叱ったのでしょう。
中国の春秋時代の人物である孔子の言葉を、弟子がまとめたものです。
中国だけでなく、日本でも、昔から道徳を学ぶために用いられてきました。
「夫の人の子を賊なわん」の英語訳
「夫の人の子を賊なわん」を英語で表すと、以下のようになります。
- This won’t be helpful for him.
(これは彼のためにならない)
まとめ
以上、この記事では「夫の人の子を賊なわん」について解説しました
読み方 | 夫(か)の人の子(こ)を賊(そこ)なわん |
---|---|
意味 | その人のためにならないこと |
由来 | 『論語』より |
英語訳 | This won’t be helpful for him. |
『論語』はこの他にも、多くの故事成語の由来になっています。とても勉強になるので、ぜひ読んでみてください。