「論より証拠」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「論(ろん)より証拠(しょうこ)」です。

言葉の意味や使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「論より証拠」をざっくり言うと……

読み方論(ろん)より証拠(しょうこ)
意味物事を明らかにするためには、あれこれと論じるよりも証拠を示すことの方が大事であるということ
由来江戸時代に江戸で広まった「江戸いろはかるた」
類義語百聞は一見に如かず、聞いた百より見た一つ、鯛も鮃も食うた者がその味を知るなど
英語訳Example is better than precept. (手本は教訓に勝る。)

「論より証拠」の意味をスッキリ理解!

論(ろん)より証拠(しょうこ):物事を明らかにするためには、あれこれと論じるよりも証拠を示すことの方が大事であるということ

「論より証拠」の意味を詳しく


「論より証拠」とは、物事を明らかにするために、あれこれ論じるよりも証拠を示す方が大事であるということを意味することわざです。

物事を明らかにするためには、議論をするよりも証拠を出した方が手っ取り早いという意味もあります。

 

世の中では、何かしらの事実を明らかにするために、あれこれと議論をする場面は数多くあります。先生や親などに何かを疑われて、反論することもその一つです。また、国会や裁判なども例として挙げられます。

議論をする場面では、論を重ねて相手を説得します。しかし、論じるだけでは相手を納得させたり、物事を完全に明らかにしたりすることはなかなかできません。

 

例えば、学校の先生に窓ガラスを割ったという無実の疑いをかけられたとします。これに対して、疑いをかけられた側は、あれこれと反論をするのが一般的です。

しかし、あれこれと論を立てたとしても、それが嘘である可能性はぬぐえず、疑いをかけている側としては完全に信じることはできません。そのため、反論によって、本当の意味で事実が明らかになることはないと言えます。

このような場面で、物事を明らかにし、相手を完全に納得させることができるのが「証拠」です。証拠は事実を裏付けるために最も手っ取り早く、かつ重要なものです。

 

今回の例でいえば、窓ガラスが割れた時間に、その人が別の場所にいた証拠を示すことで、「窓ガラスを割っていない」という事実が明らかになります。

このように、物事を明らかにするために、また、相手を完全に説得するためには、証拠を示すことが重要かつ手っ取り早い方法なのです。「論より証拠」はこのことを意味することわざです。

「論より証拠」の使い方

  1. 彼が物を盗んでいないという証言は納得がいかない。納得するには論より証拠だ。
  2. 冷蔵庫に入れておいた私のプリンを食べたのは兄に違いない。論より証拠、口にカラメルが付いている。

「論より証拠」の由来

「論より証拠」は、「江戸いろはかるた」に由来があります。

「江戸いろはかるた」とは、江戸時代の後期に江戸を中心に流行したかるたです。かるたは遊び道具というだけではなく、子どもが文字や言葉を覚えるための学習道具という側面がありました。そのため、その内容にはことわざや教訓などが用いられています。

 

ちなみに、いろはかるたは江戸のものだけでなく、京都や大阪のものもあります。それぞれで内容が異なり、収録されていることわざにも違いがあります。

「江戸いろはかるた」の、「ろ」で収録されているのが「論より証拠」です。この時代から、「論より証拠」ということわざは使われるようになったのです。

「論より証拠」の類義語

「論より証拠」には以下のような類義語があります。

  • 百聞(ひゃくぶん)は一見(いっけん)に如(し)かず:百回人から聞くよりも、一度でも実際に自分の目で見て確かめる方が良いということ
  • 聞いた百より見た一つ:「百聞は一見に如かず」と同義
  • 鯛(たい)も鮃(ひらめ)も食うたものがその味を知る:何事も実際に経験しないと分からないということ
  • 証拠が先:「論より証拠」と同義
  • 論は後、証拠は先:「論より証拠」と同義
  • 論をせんより証拠を出せ:「論より証拠」と同義

「論より証拠」の英語訳

「論より証拠」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Example is better than precept.
    (手本は教訓に勝る。)
  • The proof of the pudding is the eating.
    (プリンが美味しいかどうかの証明は、実際に食べてみることで分かる。)
  • Fact speaks itself.
    (論より証拠)

“precept” は「道徳的な教え、教訓」といった意味がある英単語です。

まとめ

以上、この記事では「論より証拠」について解説しました。

読み方論(ろん)より証拠(しょうこ)
意味物事を明らかにするためには、あれこれと論じるよりも証拠を示すことの方が大事であるということ
由来江戸時代に江戸で広まった「江戸いろはかるた」
類義語百聞は一見に如かず、聞いた百より見た一つ、鯛も鮃も食うた者がその味を知るなど
英語訳Example is better than precept. (手本は教訓に勝る。)

「論より証拠」の意味や使い方などを理解することはできたでしょうか。

対義語が無い一方で類義語が数多くある点からも、「証拠」の重要性がうかがえます。議論をするだけでは事実を完全に明らかにすることは非常に難しいのです。

手っ取り早く物事を明らかにするためにも、あれこれと論じる前に、何か示すことができる証拠がないかどうか考える癖をつけておくといいかもしれません。