理容室と美容室は「営業に必要な免許」が異なります。
みなさんは散髪するとき、理容室か美容室のどちらに行きますか。
理容室と美容室は一見、同じ「散髪する場所」のようですが、法律上もサービス内容も異なります。
この記事では理容室と美容室の違いや見分け方、選び方、その他の豆知識を解説します。
「理容室」と「美容室」の違い
理容室は容姿を整える場所、美容室は容姿を美しくする場所
理容室と美容室は、業務を行うために必要な免許が異なります。
理容室で働く理容師は理容師免許、美容室で働く美容師は美容師免許が必要なのですが、それぞれ許可されている施術が異なります。以下にそれを解説します。
- 理容
パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること(美容師法第2条1項) - 美容
頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること(理容師法第1条2項)
理容師と美容師は必要な免許が異なりますが、最近では両方の免許を取得するケースが増えています。
どちらも本来は取得に2年間かかる免許なのですが、2018年から片方の免許があればもう片方の免許を1年で取れるようになったということも大きいです。
なぜ理容師と美容師は分かれたのか
そもそもなぜ理容師と美容師は分かれたのかということですが、これは昭和53年にさかのぼります。
かつて理容師と美容師は頻繁に争っていました。それを解決するため、国は法律により両者の業務内容を限定したのです。
「理容室」の意味
理容室は頭髪の刈り込みや顔そりによって容姿を整える施設です。バーバーと呼ばれることもあります。
理容師法という法に基づいていて営業しています。
理容師になるための国家試験では、どれだけまっすぐ正確に切れるのかということが審査されます。
スポーツ刈りやツーブロックなど、整っていることが重要なヘアスタイルにする場合は理容室に行くといいでしょう。
また、理容室に特有のサービスとして、白髪ぼかしがあります。
白髪を染めずに、グレー系の色でぼかすというサービスです。こうすることで黒髪と調和させるのです。
ちなみに、理容室は「理髪店」や「床屋」と呼ばれることもあります。
しかし、床屋は性的なイメージを喚起する場合があるということで、放送禁止用語となっています。
使う際は十分に注意しましょう。
「顔そり」とは?
理容室で受けられるサービスに顔そりがあります。
顔そりとは、カミソリを使って産毛や眉毛、もみあげ、ヒゲなどの毛を剃ることです。
容姿を清潔にできるサービスです。
「美容室」の意味
美容室は容姿を美しくするための施設です。
美容師法という法律を元にして営業しています。
容姿を美しくするためのパーマやカラー、化粧、結髪をしてもらうことができます。
正確さを重視する理容師に対し、デザイン性や流行に合ったヘアスタイルを作ることに重きを置いています。
また、顔そりを行うことはできません。
関連語「美容院」との違い
美容室と美容院に違いはありません。
しかし正式な日本語としては美容院という言葉の方が適切です。
実際、辞書には「美容院」は収録されていても「美容室」は書かれてないことが多いのです。
美容師の規制
今では男性でも当たり前に美容室でカットをされていますが、2015年7月までは男性が美容室でカットのみの施術を受けることは禁止されていたのです。
つまり、男性がパーマやカラーをされる時に一緒にカットすることは許されていたのですが、カットのみという施術は禁止されていたということです。
美容室の定休日
関西の美容室は月曜日に、関東の美容室は火曜日が休みになることが多いです。
それは、約100年前の歴史にさかのぼります。
1920年代、電気パーマが流行しました。しかし、戦争の影響で電気不足になり、美容室は電気代の高い日を定休日としたのです。
電気代の高い日は、関西は月曜日、関東は火曜日でした。
この名残から、いまでも関西の美容室は月曜日に、関東の美容室は火曜日が定休日であることが多いのです。
「理容室」と「美容室」の見分け方
理容室と美容室の見分け方ですが、赤・青・白の三色が回転する柱(サインポール)が店の前にあれば、それは理容室です。
しかし、サインポールがない理容室も存在するので注意しましょう。
理容室を象徴するサインポールですが、その由来は中世ヨーロッパの文化にあります。
当時の理容室は外科医も兼ねていました。
患者の血を抜く作業で “Barber-surgeon’s pole” (理容外科医の棒)という赤い棒を使っていたのですが、その棒は白い包帯と共に店先に干されていました。
風に吹かれた包帯が赤い棒に巻き付き、理容室の店先には赤と白の棒が見られました。これが当時の理容室を象徴する物だったのです。
17世紀以降、外科医と理容師が別の職業に分かれた時、二つの職業を区別するため理容師の看板は従来の赤と白に、青を加えたものになったのです。
これがサインポールの由来です。
シャンプー台の向きの違い
理容室と美容室ではシャンプー台の向きが異なります。
理容室の場合、シャンプー台はうつ伏せタイプですが、美容室では仰向けタイプです。
これは、法律で決められたものではなく、理容室がもともと男性向けで美容室が女性向けであったというルーツに由来するものです。
化粧をしている女性がうつ伏せでシャンプーを受けると化粧が落ちてしまう上に、髪が長い方だとシャンプーが難しいので仰向けが採用されているのです。
理容室のシャンプー台がうつ伏せタイプになっているのは、その方がカット台から移動せずそのままシャンプーをできる点で便利だからです。
「理容室」と「美容室」の違いのまとめ
以上、この記事では、「理容室」「美容室」の違いについて解説しました。
- 理容室
頭髪の刈り込みや顔そりによって容姿を整える施設 - 美容室
容姿を美しくするための施設
理容室と美容室は受けられるサービスが異なります。
自分のしたい髪型に合わせて行く店を選ぶといいでしょう。