「理解」と「納得」の違いとは?意味や使い分けから英語まで解説

違いのギモン

日本語は似たような意味を指す熟語が多く、その意味の違いがわからなくなることもありますよね。「理解」と「納得」はそんな熟語の1つでしょう。この記事では、そんな意味の違いがわかりにくい熟語「理解」と「納得」の意味と使い方について解説します。

結論:意思を踏まえない「理解」、意思を踏まえる「納得」

「理解」は、自分の意思とは関係なく、物事の筋道を正しくとらえることを指します。

一方で、「納得」は自分の意思を踏まえた上で相手の考えや行動を受け入れることを指します。

「理解」をもっと詳しく

「理解」は自分の意思を含まず、物事の道理や筋道を正しくとらえることを意味します。

自分の意思を含まないため、ただ事実を受け止めることを表しています。

また、「理解」という言葉には、物事を正しくとらえるだけでなく、他人の気持ちを察するという意味も含まれています。

「理解」の使い方の例

「理解」の使い方の例として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 数学の公式が理解できた。
  2. 現状を理解するのに少し時間がかかった。
  3. 私は彼の心情を理解した。
  4. 彼が何を考えているのか理解できない。

①と②では、「物事の道理を正しく捉える」という意味で「理解」を用いています。③と④の「理解」は、「他人の気持ちを察する」という意味です。

「納得」をもっと詳しく

「納得」は自分の心情を含めた上で、相手の考えや行動を理解することを言います。

つまり、「納得」は自分自身の考えや意見と合致しないと成り立たないということです。「納得」は、主に他者の意見や見解に対して使う言葉です。自分の考えと、相手の意見を照らし合わせ、受け入れられる場合は「納得」したということになります。

「納得」の使い方の例

「納得」の使い方の例として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 君の意見には納得できない。
  2. この件については、理解はできるが納得はできない。

②の例文は、「理解」と「納得」が区別して使われていますね。「「この件」に関して、道理は正しくとらえることができるため「理解」はできるものの、自分の考えには一致せず受け入れられないため「納得」ができない」ということになります。

「理解」と「納得」の英語訳の違い

「理解」と「納得」は意味が異なるため、当然英語訳も変わってきます。

「理解」を英語で言うと comprehension や understanding と表現できます。それに対して、「納得」を英語で言うと consent と表現します。

以下に、3つの使用例をご紹介します。

  1. beyond comprehension
  2. understanding of culture
  3. informed consent

①は「理解に苦しむ・理解できない」という意味です。②は「文化への理解」を意味します。

③は、納得治療を意味します。納得治療は、日本でも英語訳をそのまま外来語とし、「インフォームドコンセント」と呼ばれています。

インフォームドコンセントとは、医師が患者に対して病状・治療法・手術法などについて十分に説明をした上で、患者がその治療・手術を受けることに同意することを指します。ここで使われている consent は「納得」の意味です。覚えておくと良いでしょう。

まとめ

以上、この記事では、「理解」と「納得」の違いについて解説しました。

  • 理解:自分の意思とは関係なく、物事の筋道を正しくとらえること
  • 納得:自分の意思を踏まえた上で相手の考えや行動を受け入れること
何気なく使う言葉も、気づいていないだけで意味の違いがあることがあります。「理解」と「納得」はそんな言葉の中の1つです。どちらもよく使う言葉ですが、意味が異なるので今後は注意して使うようにしましょう。