「おにぎり」は日本でとても人気の食べ物ですよね。家庭で作られる場合もあれば、コンビニなどで購入する場合もあると思います。そして、コンビニの商品の中ではダントツの売上があるそうです。
ところで、「おにぎり」は「おむすび」と呼ばれたり、「にぎりめし」と呼ばれたりもしますよね。この3つの言葉の間に違いはあるのでしょうか。今回はそれについて解説していきたいと思います。
☆「おにぎり」「おむすび」「にぎりめし」の違いをざっくり言うと……
おにぎり | おむすび | ||
---|---|---|---|
違い | 地域 | 一般的な呼ばれ方 | 関東~東海道地域 |
コンビニ | ローソン | ファミリーマート | |
違いの説 | 形 | 決まってない(俵型が多い) | 三角形 |
呼んでいた人 | 庶民 | 女性貴族 | |
由来 | にぎりめし、鬼切り | むすびの神、お結びなど | |
調理方法 | 炊く | 蒸す | |
握り方 | 手で | 道具で(笹など) |
序論:おにぎりの歴史
3つの言葉の違いを解説していく前に、まずはおにぎりという食べ物の歴史について軽く紹介したいと思います。
おにぎりの歴史は古く、弥生時代にはすでに、米を握った食べ物が存在したと言われています。その証拠に、この時代の遺跡から人の手で握られた跡があるお米の塊が発見されています。
そして、おにぎりの直接の起源は「屯食(とんじき)」と言われていて、この食べ物は中国最古の料理書である「呂氏春秋(りょししゅんじゅう)」にも記載されています。
これが日本に伝わってきたのは平安時代のことで、貴族が宴(うたげ)の時、従者たちに振る舞ったと言われています。また、儀式での捧げものとして使われることもあったようです。
その後、この食べ物は武士の携帯食として愛用されるようになります。
そして、現在のように表面に海苔(のり)が巻かれるようになったのは海苔の養殖が普及した江戸時代です。海苔で表面を包めば米が指などにつかなくて済むので、これは一気に広まりました。
「おにぎり」と「おむすび」と「にぎりめし」の違い
ここからは3つの言葉の違いについて解説していきます。
結論から言えば、「おにぎり」と「おむすび」と「にぎりめし」は同じ意味の言葉です。
日本で最も有名な国語辞典である広辞苑でも、この3つは同じ意味の言葉として扱われています。
ただ、細かな違いや、これが違うのではないかという説などは存在するので、細かな違いを2つと、説を5つ紹介したいと思います。
しかし、「にぎりめし」については「おにぎり」の語源になっているという説が存在するのみです。そのため、ここから先は主に「おにぎり」と「おむすび」の違いについて解説していきたいと思います。
地域による違い
「おにぎり」はもっとも一般的な呼ばれ方で、90%ほどの人がこう呼んでいるようです。しかし、東京・神奈川以外の関東から東海道にかけての地域では「おむすび」という名前が一般的であると言われています。
しかし、情報が一瞬で広範囲に伝わる現在では、このような地域差はだんだん消滅しつつあります。
コンビニによる違い
「おにぎり屋」シリーズを展開しているローソンではおにぎりと名付けられている商品が多く、「おむすび道」シリーズを展開しているファミリーマートではおむすびと名付けられている商品が多いです。
そして、セブンイレブンではおにぎりとおむすびとが混在してますが、海苔がパリパリのものをおにぎり、そうでないものをおむすびと呼んでいるようです。しかし、これに明確な根拠はなく、社内での使い分けに過ぎないのだとか。
形のよる違い説
なぜなら、おむすびはもともと神様への捧げものとして利用されていて、日本では山を神様に見立てる信仰があるため、三角形に握って捧げていたからです。つまり、おむすびを神様に見立てていたんですね。
一方、おにぎりはにぎりめしという言葉が転じたもので、米をぎゅうぎゅうに詰めたもの、という意味なので、形は特に決まっていないようです。
しかし、もともと貴族が振る舞った時には俵型のことが多かったため、俵型のものを指すことが多いようです。パソコンやタブレットでご覧になっている方は左側、スマートフォンでご覧になっている方は上側の画像が俵型のものです。
呼んでいた人が違う説
庶民たちが「おにぎり」と呼んでいたのに対し、貴族たち(特に女性)が上品に「おむすび」と呼んでいた、という説があります。
言葉の由来が違う説
おにぎりとおむすびの言葉の由来自体にも諸説ありますので、今回は主なものだけ紹介します。
おにぎりの語源
おにぎりの語源としてまずあげられるのは先ほども述べた通り、「にぎりめし」です。しかし、他にも「鬼切り」であるという説があります。このことから、おにぎりには「禍(わざわい)を退ける」という意味があるのではないか、とも言われています。
おむすびの語源
まず、おむすびの語源として一番有名なのは、「むすびの神」説です。「むすびの神」は日本最古の歴史書である『古事記』にも出てくる神様なのですが、万物の産みの神であると言われています。これが由来であるという説です。
また、おむすびの「び」は古い時代には「魂」という意味があったので、おむすびは「魂をこめたもの」という意味があるのではないかと考える人もいます。
そして、「お結び」が語源であり、良い縁を結ぶという意味があるのではないか、という説もあります。
他にも、ごはんを固く「むすぶ」、に丁寧語の「お」がついたのではないかという説もあります。
調理方法が違う説
おにぎりが炊いたものであるのに対し、おむすびは蒸したものなのではないかという説があります。これはお「むす」びと蒸すが同じであることが根拠なのだと思います。
直接握るか道具を使って握るか説
これは、おにぎりは直接手で握り、おむすびは例えば笹などを使い、お米に触れないように握ったものなのではないかという説です。
まとめ
以上、この記事では、「おにぎり」と「おむすび」と「にぎりめし」の違いについて解説しました。
このうち、おにぎりとおむすびの違いと違いの説は以下の通りです。
おにぎり | おむすび | ||
---|---|---|---|
違い | 地域 | 一般的な呼ばれ方 | 関東~東海道地域 |
コンビニ | ローソン | ファミリーマート | |
違いの説 | 形 | 決まってない(俵型が多い) | 三角形 |
呼んでいた人 | 庶民 | 女性貴族 | |
由来 | にぎりめし、鬼切り | むすびの神、お結びなど | |
調理方法 | 炊く | 蒸す | |
握り方 | 手で | 道具で(笹など) |
このように、3つの言葉は全く同じ意味の言葉と言ってしまって大丈夫です。使い分ける必要はないでしょう。