選挙で選ばれて、私たちの代表として日々市民の声を市政に反映させている「市議会議員」ですが、「市会議員」と呼ぶところもあります。この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。詳しく解説していきます。
結論:かつて五大都市だったかどうか
「市議会議員」も「市会議員」も指しているものは同じです。
しかし、かつて五大都市だった、横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市の5市では、「市会議員」という呼び方を使っています。
「市議会議員」をもっと詳しく
市議会議員は、日本の地方議会議員で、市議会を組織しています。選挙によって選出され、任期は4年です。
「市議会議員」になるには
市議会議員は学歴不問の職業です。
満25歳以上の日本国民で、自分が立候補する市内に3か月以上住んでいれば立候補することができます。
選挙に出馬する際には、供託金30万円が必要になります。政令指定都市(※)の場合は50万円必要です。供託金は一時的に預けるお金で、選挙で一定数以上の票を獲得すれば返還されます。もし、一定の得票数に達しなければ没収されます。
- (※)政令指定都市:政令で指定する人口50万人以上の都市で、いくつか特例が認められている。
「市議会議員」の仕事
市議会議員の役割は市民の声を市政に反映させることです。
議会には、通常、3月、6月、9月、12月の年4回開催される定例会と、必要に応じて招集される臨時会があります。
議会の会期中には、市議会議員は議会に出席します。市長やほかの市議会議員が提出した議案の審議や議決を行ったり、ときには自らが議案を提出したりします。
行政が正しく行われているかチェックし、疑問点や問題点を言及、解決していきます。
議会の会期中以外は、市民に議会の結果を報告します。
どのような問題にどのように対処することになったか、集会、個人新聞、ブログ、SNSなどを使って発信します。
また、次の議会をよりよくするための準備も大切な仕事です。
市民からの要望を聞いたり、市役所に足を運んで行政の説明を受けたりと、行政や市民生活を調査します。ときには、他の都市の視察も行い、成功事例などを学んだりします。
「市会議員」をもっと詳しく
市会議員は市議会議員と同じものを指しています。
横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市で使われている呼び方です。
明治22年に、全国の市で初めての議会が開かれました。その当時は、すべての市が「市会」という呼称を使っていました。
大正時代に東京市・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市の6市を「六大都市」と決めましたが、昭和になって東京市が廃止され横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市の5市を「五大都市」としました。
その後、昭和22年に地方自治法が改正され、「市会」から「市議会」に変更となります。また、昭和31年には政令指定都市制度ができ、五大都市は政令指定都市になりました。
しかし、旧五大都市はそのまま「市会」の呼称を使用し、現在に至ります。
まとめ
以上、この記事では、「市議会議員」と「市会議員」の違いについて解説しました。
- 市議会議員:市議会を組織する議員
- 市会議員:旧五大都市での市議会議員の呼び方
議員の皆さんは私たちが住むまちの未来を握っているといっても過言ではありません。無関心ではなく、議会や議員の皆さんのことをよく知って、選挙の際には自分の一票に責任を持ちたいですね。