「相対的」と「絶対的」という言葉があります。どちらも日常的によく使われる言葉です。あなたは、それぞれの意味を正確に理解していますか。
「相対的」と「絶対的」の意味が分かっていない人は、今後誰かにこの言葉を言われたときに、分かったようなふりをしてやり過ごさなければならないかもしれません。そのようなことを避けるため、この記事でしっかりと意味を確認しておきましょう。
今回は、「相対的」と「絶対的」の違いを詳細に解説します。
結論:「相対的」は比べる、「絶対的」は比べない
「絶対的」とは、1つのものを、他のものと比べずに判断している状態のことです。
「相対的」をもっと詳しく
「相対的」とは、他のものとの比較によって成立し、存在するということです。つまり、自分を自分以外のものと比べ、その違いに注目することで、自分の立ち位置を表すことです。
そのため、「相対的」である場合、比較する対象が何なのかによって、結果や価値判断が大きく変化します。
例えば、学校の成績は「相対的」であるといえます。もし偏差値65のA君が平均偏差値70のクラスに入ったとしたら、A君は「相対的に」落ちこぼれになります。しかし、もしA君が平均偏差値50のクラスに入ったとしたら、A君は「相対的」に優等生になります。
A君は、どちらの場合も偏差値は65であり、能力は変わりません。しかし、他のクラスメイトの能力次第で落ちこぼれにも、優等生にもなり得ます。これが「相対的」なものの考え方です。このように、属する集団内の順位による評価を「相対評価」といいます。
また、B君がA君に「君の家はどこ?」と聞いたとします。この時、A君が「小学校と駄菓子屋の間」と言ったとすれば、それは「相対的」な説明であると言えます。なぜなら、A君の家の位置が、小学校と駄菓子屋という、家ではない周囲のものによって定義されているからです。
さらに、現代社会に生きる人間は、常に他の人との関わり合いの中で生きています。兄弟、友人、先輩の生き方を学ぶこともあれば、テレビに映るトップアイドルの整った顔立ちをうらやむこともあります。
このように、人間が社会の中で、他者と関わり合いながら生きている限り、人生の大部分は「相対的」であるといえるでしょう。
「相対的」の使い方の例
- このクラスでは、相対的に見ると、君は優秀だ。
- 地元の大会では優勝したが、関東大会では相対的に自分は弱かった。
「絶対的」をもっと詳しく
「絶対的」とは、「相対的」の対義語です。つまり、他のものとの比較を一切せず、影響されずにいる状態のことです。
「絶対的」の「対」には、「相手と向き合う」という意味があります。一方、「絶」は、「絶つ」という意味があります。よって「絶対」とは、相手との関係を断絶させる、という意味であると言えます。
「絶対的」なものは、周囲の状況とは関係なく、常に一定です。自分だけで独立しています。
例えば、自らが定めた目標は絶対的であるといえます。A君がテストで80点とることを目標にしたとすると、その目標の達成は「絶対的」です。
なぜなら、数値による明確な判断基準があるからです。クラスの平均点がどうであれ、79点以下であれば未達成、80点以上であれば達成となります。
また、B君がA君に「君の家はどこ?」と聞いたとします。その時、A君が「東京都渋谷区12―3―45」と住所で答えれば、それは「絶対的」な説明であるといえます。なぜなら、住所は家の周りの建物が何であろうと、変わらないからです。
しかし、A君の家の住所が「東京都渋谷区12―3―44」や「東京都渋谷区12―3―43」といった他の家によって定まった数値であると考えるとすれば、住所の決まり方は「相対的」であるといえます。
「相対評価」の対義語として「絶対評価」があります。「絶対評価」とは、事前に決められた基準によって、人の能力や仕事を評価する方法です。例えば、タクシー運転手や一部の営業職は、自分が稼いだ金額や契約件数で給料が決まります。このような考え方は「絶対的」であり、このような評価方法を「絶対評価」といいます。
先ほども述べたように、現代社会に生きる人間は、常に他の人との関わり合いの中で生きています。また、仮に仙人が社会を離れて山にこもり、修行をしたとしても、森の生物と自分を比較し、過去の記憶を抱えながら生きていくことになります。
そのため、人間が完全に「絶対的」であることは困難です。
「絶対的」の使い方の例
- クライアントから絶対的な信頼を得る
- 彼はその試験の合格に絶対的な自信を持っている
「客観的」ってどういうこと?
「客観的」は、「主観的」という言葉の対義語です。一個人の視点ではなく、全体を見渡したような視点から物事を見ていることです。空からあらゆる存在を等しく見守っている神のようなの視点であるといえます。
「相対的」「絶対的」は、あくまで何か1つのものを中心とした、ものの見方です。1つの視点によらない「客観的」とは異なります。
まとめ
以上、この記事では、「相対的」と「絶対的」の違いについて解説しました。
- 相対的:一つのものを他との比較で判断すること
- 絶対的:一つのものを他と比較せずに判断すること
時には、友人や同期と競い合い、「相対的」に結果を出すことも必要でしょう。また、時には自分の信じる道を突き進み、「絶対的」であることも必要でしょう。
どちらの立場に寄るかは、場合によって様々です。どちらかに寄りすぎないように、意識して見方を変えてみましょう。