「レファレンダム」の意味とは?リコールとの違いから英語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「レファレンダム」です。

「レファレンダム」の意味や使い方、語源、類義語、「イニシアティブ」「リコール」との違い、「プレビシット」との違いについてわかりやすく解説します。

☆「レファレンダム」をざっくり言うと……

英語表記レファレンダム(referendum)
意味政治についての重要事項の可否を国民の直接投票によって決める制度
語源英語の “referendum”
類義語プレビシット、国民投票、住民投票、人民投票
「イニシアティブ」「リコール」との違い「イニシアティブ」は国民発案、「リコール」は国民解職のこと
「プレビシット」との違い「プレビシット」は議題についての意見が自分と同じ人を代表として選ぶこと

「レファレンダム」とは?

レファレンダム(referendum):政治についての重要事項の可否を国民の直接投票によって決める制度

「レファレンダム」の意味を詳しく

「レファレンダム」とは、政治についての重要事項の可否を国民の直接投票によって決める制度のことです。

日本や海外でも行われます。大きな話題を呼んだのは、2016年6月23日にイギリスで実施された「EU離脱について」の国民投票です。このように重要な決断を国民に問う時に使われるものです。

ただし、日本では海外よりもレファレンダムが行われる場面が限定的です。

 

日本では、原則として間接民主主義を採用しています。間接民主主義とは、国民が全員で直接政治について話しあったり政治を行うのではなく、国民から選挙で代表を選び、彼らが政治を行うシステムのことです。

ただし、この間接民主主義の原則の例外があります。それが、憲法改正時に行われる「国民投票」と、地方政治で行われる「住民投票」です。

この2つでは、国民や特定の地域の住民が政治の重要事項について直接投票をします。

国民投票について

日本で、国民全体の直接投票が行われるタイミングは1つしかありません。

それは、憲法改正時の国民投票です。日本の憲法は硬性憲法といい、非常に改正がしにくい憲法になっています。ちなみに、硬性憲法に対して、改正が比較的簡単な憲法のことを軟性憲法と言います。

憲法を改正する手順はとても厳しいものです。まず、国会議員の総議員のうちの3分の2以上が賛成しなければ改正の発案をすることすらできません。

3分の2が賛成して発案が通ると、国民投票に移ります。そして、国民投票で過半数が賛成すれば憲法が改正されます。

住民投票について

住民投票には、大きく分けて2種類あります。

1つめは、地方自治特別法を制定する際の住民投票です。ある特定の地域だけに制定される法律を「地方自治特別法」と言います。この「地方自治特別法」を制定するときには、住民投票を行い、地域住民の同意を得る必要があります。

2つめは、地方自治体が条例に基づいて行う住民投票です。これは、あくまで地方自治体が「投票を行うべき」と思ったときに実施するもので義務ではありません。

さらに、投票結果に法的効力がないため、自治体は必ずしも投票結果に従う必要がないなどの問題点があります。

「レファレンダム」の使い方

  1. 大阪都構想のレファレンダムの結果、反対多数で実現しなかった。
  2. 間接民主主義のなかにもレファレンダムを取り入れるべきだ。
  3. 自民党政権時に憲法改正が発案されればレファレンダムが行われる。
  4. イギリスで行われたEU離脱についてのレファレンダムは世界中から注目されていた。

「レファレンダム」の語源

「レファレンダム」の語源は英語の “referendum” です。

“referre” という「運び戻す」という意味の動詞の動名詞形です。 “re” の部分は “back” と同じ意味、 “ferre” の部分は「持って行く」という意味です。

「レファレンダム」の類義語

「レファレンダム」には以下のような類義語があります。

  • 国民投票
  • 住民投票
  • 人民投票
  • プレビシット

「イニシアティブ」「リコール」との違い

「レファレンダム」について調べると「イニシアティブ」や「リコール」という言葉がセットで出てくることが多いです。どれもあまり聞きなれないカタカナ語なので、混乱してしまう人もいると思います。

「レファレンダム」「イニシアティブ」「リコール」は全く意味が違います。

「レファレンダム」は国民の直接投票のこと、「イニシアティブ」は国民が発案をすること、「リコール」は国民が、政治的立場にある人を署名などによって解職させることです。

 

この3つは日本の政治システムの中にとり入れられている「直接民主主義」の要素であるため、セットで使われることが多いのです。

「プレビシット」との違い

“referendum”に非常に意味が似ている “plebiscite” という英単語があります。

カタカナでは「プレビシット」と言います。「レファレンダム」よりマイナーな言葉なので聞いたことがない人もいるかもしれません。カタカナ語ではほとんど同じ意味として使われることが多いですが、英語の意味では若干の意味の違いがあるようです。

「レファレンダム」は、「政治の、政府の重要な決定について直接投票を行って可否を決定すること」であり「プレビシット」は「国の政治の重要事項を決定する人を直接投票によって選ぶこと」とあります。

つまり。「レファレンダム」が「議題の可否」を直接投票するのに対して、「プレビシット」では「ある議題に対しての意見が自分と同じ人」を直接投票で選ぶということです。

まとめ

以上、この記事では「レファレンダム」について解説しました。

英語表記レファレンダム(referendum)
意味政治についての重要事項の可否を国民の直接投票によって決める制度
語源英語の “referendum”
類義語プレビシット、国民投票、住民投票、人民投票
「イニシアティブ」「リコール」との違い「イニシアティブ」は国民発案、「リコール」は国民解職のこと
「プレビシット」との違い「プレビシット」は議題についての意見が自分と同じ人を代表として選ぶこと

政治に関する言葉だったので、すこし難しい部分もあったと思います。

日本の政治システムにおいて非常に重要になる言葉です。

この機会に使いこなせるようになりましょう。