「レイシスト」の意味とは?類語や英語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「レイシスト」です。

「レイシスト」の意味・使い方・語源・類義語・対義語についてわかりやすく解説します。

☆「レイシスト」をざっくり言うと……

英語表記レイシスト(racist)
意味人種差別をする人
語源人種を意味する英語「race」の派生語から
類義語人種主義者、民族主義者、排外主義者など
対義語人道主義者、博愛主義者など

「レイシスト」の意味をスッキリ理解!

レイシスト(racist):人種差別をする人

「レイシスト」の意味を詳しく

「レイシスト」とは、「人種主義」という思想に基づいて、人を差別する人のことです。

人種主義」とは、特定の人種は先天的に劣っている、もしくは優れていると考える思想です。この思想に基づいて、さまざまな差別が行われました。いくつかご紹介します。

ホロコースト

1930年代、ドイツで政権を握ったナチスという政党は、ドイツ人を「優れた人種」、ユダヤ人を「劣った人種」と見なしました。ユダヤ人はドイツ人の邪魔をしているとして、大量の強制収容と虐殺を行ったのです。

ユダヤ人以外にも、ポーランド人の一部や、ロマ族、宗教的・政治的敵対者など、さまざまな人が殺害されました。ナチス・ドイツによるこの一連の出来事をまとめて「ホロコースト」と呼びます。

黒人奴隷制度

大航海時代にヨーロッパ諸国が新大陸を発見し始めた頃、そこに住んでいたアフリカ系黒人を奴隷とし、安くこき使うことで繁栄しました。

とりわけ17世紀後半からはアメリカで大規模な黒人奴隷制度が行われました。さまざまな作物の収穫を黒人奴隷に依存しながら、黒人奴隷には生きるのがやっとという量の対価しか与えられませんでした。

アメリカにおける黒人奴隷制度は、1861年〜1865年に起きた南北戦争で、北部勢力が勝利したことにより廃止されました。

アパルトヘイト

アパルトヘイトは、南アフリカ共和国が1910年代(※1950年代より急激に加速)〜1980年代に行っていた人種差別政策の総称です。

国民を「白人」「有色人種」「黒人」などに分け、黒人の参政権の否定、居住地の区別、異人種間の恋愛の禁止など、さまざまな形での人種差別が行われました。

 

上記のような、人種差別を行う人・団体を「レイシスト」と言います。

なお、現代では、人種に限らず、なんらかの属性に基づいて差別を行う人を全般的に「レイシスト」と呼ぶ風潮があります。

「レイシスト」の使い方

  1. 黒人にはペンを貸さないなんて、とんだレイシストだ。
  2. KKK(クー・クラックス・クラン)は現在も活動している有名なレイシスト集団で、白人至上主義を主張している。
  3. 日本でも、レイシストによる在日外国人に対するヘイトスピーチが散見される。

上の例文のように、「レイシスト」という言葉は、ほとんどの場合、相手を非難する意味を持って使われます。

3つの例文の中で、もっとも否定的に「レイシスト」を使っている文は①です。黒人にペンを貸さなかった人を「レイシスト」と形容することで非難しています。

②は、実在する白人至上主義団体についての文です。KKKは秘密結社であり、現在も採用活動などを行っています。白人至上主義とは、白色人種こそが最も優れた人種である、とする人種差別的な考え方です。

 

③は日本における差別問題について言及した文です。日本でも在日外国人に対する差別的言動を行う人は一定数存在するため、ヘイトスピーチ解消法が制定されました。

ただし、日本における在日外国人差別はほとんどの場合同じ黄色人種(中国人や韓国人など)に向けられていることが多く、厳密に言えば民族主義者(ナショナリスト)と呼ばれます。ここではレイシストを「差別主義者」くらいの意味で使っています。

狭義の「レイシスト」の意味とは異なりますが、現代日本で使われることが多い使い方であるため、紹介しました。

このように、差別的言動をしている人や団体を「レイシスト」と呼びます。

「レイシスト」の語源

レイシストの語源は英語の “racist” です。

人種のことを、英語で”race”と言います。raceの派生語で、人種主義を表す言葉として”racism”が生まれました。

そして、人種主義者、つまりracismに賛同する人を”racist”と言うようになりました。

「レイシスト」の類義語

レイシストには以下のような類義語があります。

  • 人種主義者:特定の人種を優れている/劣っているとみなす思想の持ち主
  • 民族主義者(ナショナリスト):自らの民族の利益を優先的に確保しようとする思想の持ち主
  • 排外主義者:外国人や外国の物、生活様式などを嫌い、敵対する思想の持ち主

このうち「民族主義者」「排外主義者」は、差別を行う基準が少し違うため、注意を要する場合があります。

「レイシスト」の対義語

レイシストには以下のような対義語があります。

  • 人道主義者:人間愛の立場に立ち、福祉を実施しようとする思想の持ち主
  • 博愛主義者:全人類が、平等に互いを愛し合って協力すべきだという思想の持ち主

どちらも、人種などの垣根を超えた人類の平等を指向しているという点で、レイシストの対義語になります。

まとめ

以上、この記事では「レイシスト」について解説しました。

英語表記レイシスト(racist)
意味人種差別をする人
語源人種を意味する英語「race」の派生語から
類義語人種主義者、民族主義者、排外主義者など
対義語人道主義者、博愛主義者など

「レイシズム」「レイシスト」が引き起こしたさまざまな事件も、あわせて押さえておきましょう。

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Rie
日英バイリンガル東大生。 10年間小説を書き続けているため、文章力には自信があります。 いくつかの小説投稿サイトで掲載/連載している他、教育系NPOでもライターをしています。