クオリアとは「自分が物を認知する感覚」という意味です。
UVERworldというバンドの楽曲のタイトルにもなっています。
しかし、クオリアは生物学に関わる単語なので、難しく感じる人もいるかもしれませんね。
そこで今回はクオリアの意味や使い方を丁寧にわかりやすく解説します。
「クオリア」の意味
自分が物を認知する感覚
例:言葉で言い表せないクオリアを感じる。
クオリアとは、「自分が物を認知する感覚」という意味です。
日本語では感覚質とも呼ばれますが、非常に難しいのがクオリアという概念です。
たとえば、空を見上げて太陽があったとします。
そこで、「暖かいな」「眩しいな」と感じる感覚がクオリアです。
つまり、自分がどう思う、もしくはどう感じるかという主観的なフィーリングのことです。
プロセスをまとめると、以下のようになります。
- 物を物だと認知する
例:りんごがある、太陽があるなど - 物の特徴を感じる
例:赤いりんごだ、暑いなど
この場合、②の主観的なフィーリングこそがクオリアです。
一方で、たとえば、りんごを見た時に感じる感覚は人それぞれです。
具体的には以下のようなことを感じるでしょう。
- 赤いなあ
- 美味しそうだな
- 甘そうだな
- ツルツルだ
- いい香り
このように、さまざまな場面において、人それぞれ感じることは異なります。
クオリアは個人にしか分からないような感覚を強調しています。
「クオリア」の使い方
クオリアは脳科学や哲学など認知に関する場面でよく使用します。
一方で、クオリアという行為自体は日常的に誰もが行っています。
実際の例文には以下のようなものがあります。
- 言葉で言い表せないのがクオリアだな。
- クオリアはよく比喩表現で言い表される。
- クオリアはまだ未開な面がある。
- 脳科学でクオリアが注目される。
- クオリアを表現することは難しい。
- 個人の感覚こそがクオリアだと思う。
- どんな色に見えるかはクオリアによって違う。
- クオリアを理解することは難しい。
- 人それぞれクオリアは違う。
- クオリアの仕組みを一般人は理解しにくい。
ちなみに、クオリアそのものを表現する時は、「太陽のような」「冬の朝のような」など比喩表現を使って自分のクオリアを表します。
「クオリア」の語源
クオリアの語源は英語の “qualia” です。
“qualia” は複数形で、“quale”が単数形となっています。
また、英語の “qualia”は「質」という意味のラテン語“qualitas”が語源となっています。
ラテン語では、4世紀ごろから“qualitas”が使われていますが、現在のような意味合いで使用されるようになったのは20世紀からです。
現代の「クオリア」
20世紀になってクオリアという単語が使われるようになりましたが、以下のような人物によって広められることになりました。
- クラレンス・アーヴィング・ルイス(アメリカの哲学者)
1929年に『精神と世界の秩序』で「クオリア」を現在の意味で使用 - トマス・ネーゲル(アメリカの哲学者)
1974年に「コウモリであるとはどのようなことか」で主観性についての議論を広める - デイヴィッド・チャーマーズ(オーストラリアの哲学者)
1990年代にクオリアの「難しい問題」について発言
特にトマス・ネーゲルは「コウモリになったらどのように感じるか」という問いを考えました。
コウモリは飛び回れたり超音波を出したりできますが、誰一人として経験した人間はいません。
「自らの経験に基づくものではない感覚」はクオリアなのかという問題提起をしました。
そして、デイヴィッド・チャーマーズはクオリアの難しさについて言及しています。
たとえば、何か物を見て赤いクオリアが発生したとして、なぜ青いクオリアは発生しないのかという問題を提起しました。
また、何らかの影響で仮に青いクオリアが発生した場合、人間は気付けるのか?といった問いを立てました。
この他にも、クオリアについて以下のような疑問が残る思考実験が行われています。
- マリーの部屋
今まで赤を「トマトの色」などの知識の中でしか知らない人が初めて赤を見た時にどう感じるか - 視界を逆さにした赤子
生まれた時から上下が逆に見えるように手術すると、他者とクオリアは異なるか - 逆転クオリア
同じ物を見て人によって違うクオリアが発生するか
これらを含むクオリア問題は今まで哲学の分野で扱われてきましたが、脳科学研究の発展もあって脳科学の分野としても扱われています。
デイヴィッド・チャーマーズは哲学から科学までクオリア問題が横断することを「意識のハードプロブレム」と表現しています。
「クオリア」の類義語
「クオリア」の類義語には以下のようなものがあります。
- それになった感じ
何かになったように自分の感覚をすり寄せること - 現象としての意識
言語化しにくい感覚
「それになった感じ」とは、たとえば、コウモリになったと仮定して感じる感覚のことです。
また、現象としての意識とは、言葉で説明することができる「アクセス可能な意識 」と異なり、言語化しにくい感覚を指します。
「クオリア」のまとめ
以上、この記事ではクオリアについて解説しました。
読み方 | クオリア |
---|---|
意味 | 自分が物を認知する感覚 |
語源 | 英語の “qualia” |
類義語 | それになった感じ 現象としての意識 |
クオリアは少し難しい単語ですね。
しかし、日常的に我々が経験していることでもあります。
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方を覚えましょう。