今回ご紹介する言葉は、故事成語の「石に漱ぎ流れに枕す(いしにすすぎながれにまくらす)」です。
言葉の意味や由来や例文や英語訳について、わかりやすく解説します。
☆「石に漱ぎ流れに枕す」をざっくり言うと……
読み方 | 石に漱ぎ流れに枕す(いしにすすぎながれにまくらす) |
---|---|
意味 | 負け惜しみが強いこと |
由来 | 孫楚が「石に枕し流れに漱ぐ」を言い間違えたが、こじつけて正当化したこと |
英訳 | He is too proud to acknowledge his defeat. |
「石に漱ぎ流れに枕す」の意味
「石に漱ぎ流れに枕す」の意味を詳しく
負け惜しみが強く、こじつけて自分の説を押し通し、言い逃れようとすることです。
「漱ぐ」とは「すすぐ」と読み、口の中を水で洗って綺麗にすることです。また、「枕す」とは、枕として使うことです。
夏目漱石の「漱石」という雅号や、「流石(さすが)」という字は、この故事成語が元になっています。夏目漱石は、負けず嫌いであきらめが悪い性格をしていたことから、作家としての名前に、この故事成語を用いたと言われています。
「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」という四字熟語にもなっています。意味は変わりません。
「石に漱ぎ流れに枕す」の由来
『晋書』という本に書かれた話が元になっています。
中国が晋(しん)の時代だったころ、孫楚(そんそ)という人物がいました。彼が、「俗世間を離れ、人気のない場所でのびのびと暮らしたい」という意味で「石に枕し流れに漱ぐ」と言おうとしたところ、間違えて「石に漱ぎ流れに枕す」と言ってしまいました。
これを友人に笑われて悔しく思った孫楚は、「石に漱ぐのは歯を磨くためであり、流れに枕するのは、世間のくだらない話を聞いた耳を洗うためだ」と意味をこじつけました。
このことから、「石に漱ぎ流れに枕す」は「無理にこじつけて自分の言ったことを押し通そうとすること」の意味を持つ故事成語になりました。
また、孫楚の時代よりも前に、許由(きょゆう)という人物が、良くない話を聞いた後「汚らわしいことを聞いてしまった」と言い、耳を水で漱いだという故事が残されています。孫楚は、この故事を理由にして、言い間違いではないと主張したと言われています。
「石に漱ぎ流れに枕す」の例文
「石に漱ぎ流れに枕す」は、文中では以下のように使われることがあります。
- 彼はあきらめが悪く、石に漱ぎ流れに枕するようなことばかり言う。
- あの人は、間違いを指摘されても石に漱ぎ流れに枕する。
自分の非を認めずに言い返してくる、というように使います。
「石に漱ぎ流れに枕す」の英訳
「石に漱ぎ流れに枕す」は、英語では以下のように表されます。
(彼は負け惜しみが強い。)
まとめ
以上、この記事では「石に漱ぎ流れに枕す」の意味や由来について解説しました。
読み方 | 石に漱ぎ流れに枕す(いしにすすぎながれにまくらす) |
---|---|
意味 | 負け惜しみが強いこと |
由来 | 孫楚が「石に枕し流れに漱ぐ」を言い間違えたが、こじつけて正当化したこと |
英訳 | He is too proud to acknowledge his defeat. |
夏目漱石の名前の由来にもなったことから、とても有名な故事成語です。しっかり覚えておきましょう。