今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「アプリオリ」です。
「アプリオリ」の意味、使い方、語源、類義語、反対語についてわかりやすく解説します。
☆「アプリオリ」をざっくり言うと……
英語表記 | アプリオリ(a priori) |
---|---|
意味 | 自明の認識・機能が先天的に備わっていること・原因 |
語源 | 「先験的な」という意味のラテン語“a priori” |
類義語 | 先験的な、先天的な |
反対語 | アポステリオリ |
このページの目次
「アプリオリ」の意味をスッキリ理解!
「アプリオリ」の意味を詳しく
「アプリオリ」とは、自明の認識・機能が先天的に備わっていること・原因のことです。
「アプリオリ」は以下の分野で使われます。
- 哲学
- 法学
- 生物学
それぞれの分野で意味が異なるので、詳しく見ていきましょう。
哲学における「アプリオリ」
哲学における「アプリオリ」の意味は以下のふたつがあります。
- 原因から結果を考える論証方法
- 先天的に持っている認識
「原因から結果を考える論証方法」の説明
古代ギリシアの哲学者であるアリストテレスが「原因となるものから結果を導き出す」という論証方法を提唱しました。
「ある結果がどう起こったのか」という原因を考えるのではなく、原因となるものから結果を考えるのです。
「先天的に持っている認識」の説明
ドイツの哲学者であるイマヌエル・カントは認識に関わる「アプリオリ」という考えを提唱しました。
彼の言う「アプリオリ」とは、「経験によって獲得するのではなく、生まれた時から持っている認識のこと」です。
「自分が自分である」という感覚・認識は、何かの経験によって学ぶものではありません。私たちは生まれた時から先天的にこの事実を知っています。
彼は、このような先天的に持つ認識・自明の認識のことを「アプリオリ」と呼びました。
法学における「アプリオリ」
法学における「アプリオリ」の意味は、「立証せずとも明らかな事項」のことを指します。
「立証する必要が無いほど明らかなこと・明らかなものであるとして扱っていいもの」という意味です。
たとえば、日本では国民の生存権は「アプリオリ」として捉えられていると言えるでしょう。
「生存権」とは、「国民が、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」のことです。
生物学における「アプリオリ」
生物学における「アプリオリ」は、「生物にあらかじめ与えられている機能」を指します。
たとえば、「鳥が羽を持っていて飛ぶことができる」という機能や特性は「アプリオリ」だと言えます。
「アプリオリ」の使い方
「アプリオリ」には以下のような使い方があります。
- 人間が生存権を持つことはアプリオリなのだから、議論の必要が無い。
- 人間の大きな脳はアプリオリである。
- アプリオリ的な考え方で、原因を見つけよう。
➊の「アプリオリ」は、法学の分野の「立証せずとも明らかな事項」という意味で使われています。
➋の「アプリオリ」は、生物学の分野の「生物にあらかじめ与えられている機能」という意味で使われています。
➌の「アプリオリ」は、哲学の分野の「原因となるものから結果を導き出す論証方法」という意味で使われています。
「アプリオリ」の語源
「アプリオリ」の語源はラテン語の “a priori” です。
“a priori”は、次のような意味の形容詞です。
- 先験的な:経験するより先にあること
- 先天的な:生まれた時から備わっていること
「アプリオリ」の類義語
「アプリオリ」には以下のような類義語があります。
- 先験的な
- 先天的な
「アプリオリ」の反対語
「アプリオリ」の反対語は、「アポステリオリ」です。
「アポステリオリ」は「後天的な」という意味の言葉で、哲学の分野では「経験によって後天的に獲得された知識・認識」という意味になります。
たとえば、「転ぶと痛い」という知識は、生まれた時から知っているのではなく、転んで学ぶものです。つまり、これは「アポステリオリ」だと言えます。
まとめ
以上、この記事では「アプリオリ」について解説しました。
英語表記 | アプリオリ(a priori) |
---|---|
意味 | 自明の認識・機能が先天的に備わっていること・原因 |
語源 | 「先験的な」という意味のラテン語“a priori” |
類義語 | 先験的な、先天的な |
反対語 | アポステリオリ |
「アプリオリ」は抽象的で難しいカタカナ語です。分野における意味の違いをしっかりと理解しておきましょう。