今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「プライミング効果(ぷらいみんぐこうか)」です。
言葉の意味、具体例、実験例、由来、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「プライミング効果」をざっくり言うと……
読み方 | プライミング効果(ぷらいみんぐこうか) |
---|---|
意味 | あらかじめある事柄を見聞きすることにより、後の行動や考えが影響を受けること |
由来 | 「事前に教える」という意味の英単語 “prime”から |
英語訳 | priming effect(プライミング効果) |
このページの目次
「プライミング効果」の意味をスッキリ理解!
「プライミング効果」の意味を詳しく
「プライミング効果」とは、あらかじめある事柄を見聞きすることにより、後の行動や考えが影響を受けることです。
心理学用語で言うと次のようになります。
「プライマー」と呼ばれる先行刺激によって、「ターゲット」と呼ばれる後続刺激の処理が抑制または促進されることです。
抑制される場合では特に、「ネガティブプライミング効果」と呼ぶことがあります。
ここでの「先行刺激」は、ある写真、イラストを見たりすることや、ある単語、事柄についての話を聞いたりすることです。
それを自分であからさまに意識していなくても、潜在的に頭に残っているために、その後の考えや行動に強く影響するのです。
「プライミング効果」の具体例
例えば、「オセロは何色と何色の石を使いますか?」という質問をした後に、「思いつく動物をパッと挙げてください」と要求すると、パンダやシマウマなどの白黒の動物を挙げやすくなるのです。
また、連想ゲームをする前にあらかじめ野菜の話をすることで、「赤」という単語から「トマト」を連想しやすくなります。
小学生のころによくやる「10回クイズ」も「プライミング効果」を利用したものです。
「シャンデリア」という単語をあらかじめ言わせることで、「毒リンゴを食べて死んだのは?」という質問に対して、発音の似ている「シンデレラ」が連想されやすくなってしまうのです。
「プライミング効果」の実験例
「プライミング効果」に関する実験がいくつも行われています。
まず、若い被験者にある人物描写を読んでもらいました。その中には「物忘れ」や「孤独」などの「高齢者」をイメージするような単語がいくつも含まれていました。
すると、読んだ直後の歩行スピードが、同年代の人よりも遅くなったのです。これは事前に読んだ人物描写の「高齢者」というイメージから、歩行速度が抑制されてしまうという「プライミング効果」の一例です。
また、次のような実験もあります。
被験者にクッキーを食べてもらった後に、部屋を無臭の場合と、洗剤の香りがする場合に分けました。
洗剤の香りがする部屋の被験者は、クッキーを食べた後に机の掃除をする割合が高かったのです。その割合は無臭の部屋にいる被験者と比べて約3倍でした。
これは、被験者が洗剤の香りから「掃除」を無意識に連想した結果の行動です。
「プライミング効果」の由来
「プライミング効果」の「プライミング」は英単語 “prime” の動名詞形です。
“prime” は動詞で「事前に教える」という意味の英単語です。
ある単語や話を「事前に教える」ことで後で言葉を連想しやすくさせるため、この名前が付きました。
「プライミング効果」の英語訳
プライミング効果を英語に訳すと、次のような表現になります。
- priming effect
(プライミング効果)
まとめ
以上、この記事では「プライミング効果」について解説しました。
読み方 | プライミング効果(ぷらいみんぐこうか) |
---|---|
意味 | あらかじめある事柄を見聞きすることにより、後の行動や考えが影響を受けること |
由来 | 「事前に教える」という意味の英単語 “prime”から |
英語訳 | priming effect(プライミング効果) |
「プライミング効果」という名前を耳にすることはあまりないかもしれません。しかし実は、10回クイズなどで馴染みのある心理現象なのです。