「肖像画」の意味とは?英語や類義語まで例文付きでわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「肖像画」です。

言葉の意味・歴史・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「肖像画」をざっくり言うと……

読み方肖像画(しょうぞうが)
意味特定の人物に似せた顔や姿を描いた絵
類義語似顔絵、自画像、人物画、姿絵、似絵、ポートレート、肖像
英語訳portraits(肖像画・肖像画)

「肖像画」の意味をスッキリ理解!

肖像画(しょうぞうが):特定の人物に似せた顔や姿を描いた絵

「肖像画」の意味を詳しく

「肖像画」とは、特定の人物に似せた顔や姿を描いた絵のことです。

「肖像画」と言われると、偉人の顔の絵を想像する人が多いと思います。しかし、「肖像画」は、有名な人物のものでなくても、特定の人に似せて描かれたものであれば「肖像画」と言うことができます。

また、例えばピカソの絵のように顔のパーツがごちゃごちゃに配置された顔の絵でも、「この人物の肖像画である」と作者が主張すれば、それは肖像画になるというのが現実です。

 

基本的には、顔がよく見えるように正面を向いて、上半身や全身を写した構図が多いですが、決められた構図があるわけではありません。

また、肖像画の中でも、作者自身を描いた絵は「自画像」と呼ばれます。

「肖像画」の歴史

肖像画は、もっとも古い物で古代エジプトや古代ローマ時代には描かれていたと言われています。

古代エジプトや古代ローマ時代の肖像画には、大きな特徴が2点あります。

  • 葬儀の際や、祖先を崇拝する際に使われていた
  • 壁に絵を描くという「フレスコ画」の形式が主流であった

しかし、その後4世紀末ごろから、肖像画はあまり描かれなくなり、一時衰退します。

そしてその後、ルネサンス期のヨーロッパで、肖像画は再び力を取り戻し、芸術的に重要や役割を果たすようになります。

「ルネサンス期」とは14世紀ごろで、ヨーロッパで古代ギリシアや古代ローマの文化を復興しようとする文化運動が盛んだった時代のことです。

 

ルネサンス期までは、肖像画は単なる記録としてのものではなく、王族や国の支配者が権力を知らしめたり、(イエスキリストの肖像画などは)布教のために活用されたりしました。

そのため、貴族や王族、有名人の肖像画が描かれることが基本でした。しかし、ルネサンス期の後、17世紀のバロック期ごろからは、貴族だけでなく一般人の肖像画か描かれるようにもなったのです。

 

また、19世紀中ごろにカメラが開発され、写真技術が確立されると、肖像画の目的が変化しました。

それまでは、「人を写実的に描くこと」がメインでしたが、以下のような目的のために肖像画が描かれるようになりました。

  • 画家の世界を表現するため
  • 写真では表現できない人の姿を表すため

ただ写真のように写実的に描くことよりも、描かれた人物の個性や描いた画家の芸術性を表すことが重要視されるようになりました。

「東洋の肖像画」と「西洋の肖像画」

西洋では、写真のようにリアルで精密なタッチの肖像画が主流だったのに対して、日本などの東洋では平面的で淡泊な肖像画がよく描かれました。

また、貴族などがよく肖像画に描かれた西洋に対して、東洋では天皇や高僧、武将の肖像画を描かれることが多かったのです。

また、日本では「似絵(にせえ)」と呼ばれる、平安末期から鎌倉時代に流行した大和絵様式の肖像画が描かれました。

有名な「肖像画」

世界的に有名な肖像画には、以下のようなものがあります。

  • 『モナ・リザ』:レオナルド・ダ・ヴィンチ作
  • 『夜警』:レンブラント作
  • 『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』:ジャック=ルイ・ダヴィッド作

『モナ・リザ』について詳しく

[出典:http://www.art-library.com/davinci/mona-lisa.html]

『モナ・リザ』は、レオナルド・ダ・ヴィンチが16世紀初めに描いた、世界で最も有名な肖像画です。

モデルになった人物がいまだに誰か判明していないことや、レオナルド自身がこの絵を手放さなかったことなど、謎の多い肖像画です。

自然の風景を背景に人物を描くことや、輪郭をぼかして描く技法が当時には新しく、革新的な作品でした。

『夜警』についてもっと詳しく

[出典:https://artmuseum.jpn.org/mu_yakei.html]

17世紀の有名な肖像画であるレンブラントの『夜警』です。この『夜警』とは通称で、正式な名称は『フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長の市民隊』となります。

人物がたくさん描かれているため、「肖像画」と聞くと違和感があるかもしれません。しかし、このように複数の人物が描かれているものも「肖像画」のひとつであり、「群像肖像画」と呼びます。

17世紀に主流であった単なる並列構図や不動の姿勢ではなく、臨場感あふれる構図で描いたことが革新的でした。

『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』についてもっと詳しく

[出典:https://artmuseum.jpn.org/mu_sanbelnarl.html]

『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』は、ジャック=ルイ・ダヴィッドによって描かれた19世紀を代表する肖像画です。

しかし、この肖像画はリアルではなく、理想を詰め込んだ肖像画であることでも有名です。

ナポレオンは、この肖像画のモデルになることを拒否したため、別の人をモデルとして、理想的なイメージで描かれました。

また、実際には、この峠はロバに乗って越えていたのですが、それでは格好がつかないため、美しい白馬に乗っている設定で描かれたのです。

「肖像画」の役割と意味

まだ、カメラや写真が発明される前には、肖像画は写真のようなものとして使われていました。

例えば、江戸時代やそれ以前の日本では、人気の歌舞伎役者の顔を描いた浮世絵での肖像画が流行しました。これは、現在でいうアイドルのブロマイド写真のようなものでした。

しかし、カメラが開発された後でも、肖像画はよく描かれました。西洋式の肖像画は、リアルなタッチが特徴で、例密なそれはほとんど写真と言っても過言ではありません。

それにも関わらず肖像画が描かれたのは、肖像画には肖像画のメリットがあるからです。

 

例えば、肖像画は人のイメージを表すことができます。柔らかいタッチで描けは、人も柔らかい雰囲気になりますし、寒色系の色を多く使えば、クールで冷たいイメージを持たせることができます。

背景や服装、髪型、顔の印象までも都合よく変更して記録に残すことができるのです。

「肖像画」の使い方

  1. こちらは、中世に描かれた有名な肖像画です。
  2. レオナルドダヴィンチの「モナ・リザ」は、もっとも有名な肖像画のひとつだ。

「肖像画」の類義語

「肖像画」には以下のような類義語があります。

  • 似顔絵:ある人の顔に似せて描いた絵
  • 自画像:作者自身が自らを描いた肖像画
  • 人物画:風景画、静物画に対して、人体表現を主とする絵画のこと
  • 姿絵:人の容姿を描いた絵
  • 似絵(にせえ):平安末期から鎌倉時代に流行した大和絵様式の肖像画
  • ポートレート:肖像画や肖像写真のこと
  • 肖像:人の姿や顔を写した絵・写真・彫刻などの像

「肖像画」の英語訳

「肖像画」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • portraits
    (肖像画・人物写真)

まとめ

以上、この記事では「肖像画」について解説しました。

読み方肖像画(しょうぞうが)
意味特定の人物に似せた顔や姿を描いた絵
類義語似顔絵、自画像、人物画、姿絵、似絵、ポートレート、肖像
英語訳portraits(肖像画・肖像画)

「肖像画」という言葉の意味だけでなく、有名な肖像画や英語訳なども頭に入れておきましょう。