みなさんは日本で一番食べられている肉は何の肉だか知っていますでしょうか。鶏でしょうか、それとも牛でしょうか。実はどちらでもありません。豚です。
そして、現在、日本で食べられている豚のほとんどは純粋種ではありません。いくつかの種を掛けあわせて作られています。
それが「三元豚」や「四元豚」です。
では、「三元豚」と「四元豚」では何が違うのでしょうか。
そこで、今回は「三元豚」と「四元豚」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:品種を掛けあわせる数が違う
「三元豚」では3つの種を掛けあわせますが、「四元豚」では4つの種を掛けあわせるのです。
序論:豚の掛けあわせについて
三元豚や四元豚などはいくつかの豚の品種を掛けあわせてできていますが、これは豚の品種を掛けあわせて品種改良を行っているわけではありません。
品種改良の場合にはいったん掛けあわせた後はそれを増やしていけばいいだけです。しかし、豚の品種を掛けあわせる時は、掛けあわせた豚に子どもを生ませることはなく、一代限りです。
この方法を雑種強勢と言いますが、これには掛けあわせる品種の長所をいいとこどりできるというメリットがあります。
しかし、たとえ掛けあわせた豚に子どもを生ませても、品種の長所を受け継いでくれる確率は低いと言われています。
「三元豚」をもっと詳しく
三元豚は3つの種を掛けあわせます。そして、これは日本で最も多く流通している豚肉です。
また、ランドレースと大ヨークシャーとを掛けあわせてできた二元豚のメスと、デュロックのオスとを掛けあわせてできた三元豚がもっとも一般的です。
ただ、米沢三元豚はバークシャーとランドレースとデュロックを掛けあわせて作られています。掛けあわせかたにはやはりバリエーションがあるのです。
また、生産地や牧場の名前を冠したブランド豚や銘柄豚などに、「三元豚」という名前がついていることもあります。
ここからは掛けあわせられる種類の特徴と三元豚の歴史について解説していきたいと思います。
豚の品種
ここでは主な豚の品種であるランドレー、大ヨークシャー、デュロック、バークシャー、ハンプシャー、中ヨークシャー、チェスターホワイトについて解説していきます。
なお、このうちハンプシャー、チェスターホワイト以外の種を豚の5大品種と言います。
ランドレー
ランドレーはデンマークが原産で、体毛が白くて大型の品種です。
繁殖力が高く、発育がはやいという特徴があります。
大ヨークシャー
大ヨークシャーはイギリスが原産で、体毛が白く、大型の品種です。
赤身と脂肪のバランスがいいという特徴があります。
デュロック
デュロックはアメリカが原産で、体毛が赤く、大型の品種です。
脂肪が多くて肉が柔らかく、なおかつ肉の中で食用にできる部分が多いという特徴があります。ちなみに、食用にできる部分の肉の多さを産肉性と言います。
バークシャー
バークシャーはイギリスが原産で、体毛が黒く、中型の品種です。
繊維が細かくて臭みが少ないという特徴があります。日本では「黒豚」と呼ばれています。
ハンプシャー
ハンプシャーはイギリスが原産で、体毛が黒く、中型の品種です。
筋肉の量が多くて赤身やロースなどに適しています。
中ヨークシャー
中ヨークシャーはイギリスが原産で、体毛が白く、中型の品種です。
肉質がきめ細かく、脂肪にうまみが多いという特徴があります。
チェスターホワイト
チェスターホワイトは、アメリカが原産で、体毛が白く、中型の品種です。
発育がはやく、多産であるという特徴があります。
三元豚の歴史
三元豚が日本で急速に普及していったのは昭和40年代のことで、昭和50年にはすでに78.7%の豚肉が三元豚になっていました。
ただ、その後は海外ハイブリッド豚の比率が高まり、平成22年の時点では三元豚は65.8%になっています。そして、海外ハイブリッド種は18.8%、単一種は13.1%になっています。
また、最近では繁殖性や産肉性を犠牲にしてでも最高の肉質を追求して差別化を図る銘柄豚も生まれてきています。
「四元豚」をもっと詳しく
四元豚は4つの種を掛けあわせます。
四元豚の場合には三元豚にも使われる大ヨークシャー、ランドレース、デュロックに加えて、日本にはほとんど存在しないチェスターホワイトという種類の豚を掛けあわせていることが多いです。
そして、日本ではヨーカドー系の店を中心に扱われていることが多いでしょう。また、米国から輸入される豚肉には四元豚が多いです。
ちなみに、欧米では生産される食用豚のほとんどが四元豚です。
まとめ
以上、この記事では、「三元豚」と「四元豚」の違いについて解説しました。
- 三元豚:3つの種を掛けあわせる
- 四元豚:4つの種を掛けあわせる
「三元豚」と「四元豚」とでは掛けあわせる品種の数に違いがありますが、食べても違いはあまりわからないでしょう。しかし、この違いが説明できるとかっこいいですよね。