「世論」という漢字をどのように読みますか、と聞かれたときに、「せろん」と「よろん」という2つの答えが出ますよね。
よく聞く言葉ですが、この違いについて説明できますか。この記事では、「せろん」と「よろん」の違いについて解説します。
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結論:違いは「意味」
「せろん」とは一般の人々の感情的な意見を指しますが、「よろん」は多数の人々による議論に基づく意見を指します。
意味は違っていても、読み方としては、現代ではどちらも正しいですが、理由は後ほど説明します。
せろん
「せろん」は日本語だと意味が分かりにくいですが、英語にしてみるとより明確になります。
「せろん」のことを英語では “popular sentiments” といい、 “popular” とは「(専門家でない)一般人の」という意味で、 “sentiments” とは「気持ち、感情」という意味です。このことから、「せろん」は専門知識のない一般の人の、感情的な意見のことだといえます。
例えば新聞などの世論調査は「よろんちょうさ」と読みますが、実際は国民の感情的な意見を数字にしたものです。
よろん
「よろん」は実は昔は「輿論」と書いていましたが、昭和21年に新しい常用漢字表が作られたときに「輿」が外されました。
その代わりに「与論」と表記されるようになり、その後「世論」となりましたが、なぜ「与」をあてた後に「世」となったのかについては、調査をしたものの明確な答えを見つけることができませんでした。
「よろん」の「輿」という漢字は、お神輿(おみこし)に使われています。お神輿は多くの人の力で持ち上げられますが、そこから人やものを持ち上げる台を表し、「みんな」という意味も生じました。その結果「よろん」とは、世間一般の人々に共通した意見という意味になりました。
「よろん」のことを英語では “public opinion” といい、 “public” は、「公的な、公共の」という意味で、 “opinion” は「意見、考え」という意味です。つまり、世間一般の人々の共通した意見や、多数の人々の正しい知識に基づいて、議論した意見だといえます。
まとめ
この記事では、「せろん」と「よろん」の違いを説明しました。
以下のまとめで確認してみましょう。
- せろん:専門家でない人々の、感情的な意見
- よろん:知識のある多数の人々の、議論に基づいた意見
もともとは全く別の意味の言葉なのにもかかわらず、同じ漢字をあててしまったことが、多くの人が違いが分からなくなった原因といえるでしょう。この区別は知らない人が多いと思うので、雑学としても使えますよ。