今回のポンコツとは「①古くて使い物にならない物、②役に立たない人間」という意味です。
ポンコツは、日常会話の中でよく使う言葉ですが、「ポンコツがもともとは『役に立たない人間』を表す言葉ではなかった」ということは知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ポンコツの由来や意味の変化まで詳しく解説します。
☆「ポンコツ」をざっくり言うと……
英語表記 | ポンコツ |
---|---|
意味 | ①古くて使い物にならない物 ②役に立たない人間 |
語源 | 廃棄になった自動車を解体するときの音から |
類義語 | 中古品 廃棄品 無能 間抜け など |
対義語 | 新品 しっかり者 |
英語訳 | piece of junk(ポンコツ) piece of shit(ポンコツ) など |
このページの目次
「ポンコツ」の意味
- 古くて使い物にならない物
- 役に立たない人間
物の状態について表す意味と、人間の特徴について表す意味の2種類があります。
それぞれに分けて解説します。
①「古くて使い物にならない物」という意味
もともと、ポンコツは、「物が古くて壊れそうな状態」「物が使い物にならない状態」を表す意味の言葉でした。
ポンコツは、古くなったり壊れたりして、本来のような動きができなくなってしまった物を形容するときに使われます。
そのため、家電製品や自動車などの複雑な機能がある物に対して使うことが多いです。
例えば、服は複雑な機能をもっていないので、服がボロボロになったときに「ポンコツ」という表現をすることは少ないです。
②「役に立たない人間」という意味
ポンコツは、「使い物にならない物」という本来の意味から派生して、「使い物にならない人間」「役に立たない人間」を表す言葉として使われるようにもなりました。
ポンコツは、「役に立たない人間」の中でも、以下のような特徴を持つ人を表すことが多いです。
- どこか抜けているところがある
- 小さなミスが多い
- マイペースでのろま
- 話をすぐに理解できない
もちろん、これら四つの特徴がすべてではありませんし、これらを満たしていなければポンコツと呼べないわけでもありません。
ポンコツは、四つの特徴からわかるように「完全に能力がない人間」というより「抜けている」「詰めが甘い」という人を表すのです。
「ポンコツ」の使い方
ポンコツは、以下のように形容動詞として使われる場合と、修飾語として使われる場合があります。
- ポンコツだ
- ポンコツな
- (物に対して)ポンコツ○○
実際に、ポンコツを使った例文を見ていきましょう。
- 私はたまに、ポンコツな自分が嫌になる。
- 彼は、小さなミスが多く、いわゆるポンコツな人間だ。
- あのポンコツ車を今すぐ処分したい。
「ポンコツ」の語源
ポンコツの語源を探るために、今では使われることがほとんどなくなったポンコツの本来の意味を見ていきましょう。
ポンコツは、もともと以下の三つの意味がある言葉でした。
- げんこつで殴ること
- 衣類を固定した木や石にたたきつけて汚れを取る方法
- 使いものにならなくなった自動車の解体。またはその商売
②の意味は、明治時代に用いられていた洗濯の方法です。
そして、これらの意味には、それぞれ別の語源があります。
一つずつ見ていきましょう。
本来の意味①:「げんこつで殴ること」の語源
「げんこつで殴ること」を表すポンコツの語源は、二つの説があります。
- 「げんこつ」を西洋人が聞き違えた「ボンコツ」が転じた言葉
- 「げんこつ」と英語 “punish” が混ざってできた語
“punish” とは、「人を罰する」「人を懲らしめる」という意味の英単語です。
本来の意味②:「衣類を固定した木や石にたたきつけて汚れを取る方法」の語源
「衣類を固定した木や石にたたきつけて汚れを取る方法」という意味の「ポンコツ」は、 “pound cotton” という英語が語源になったと言われています。
“pound cotton” には、以下のような意味があります。
- pound
何度も強く打つ。打ち付ける - cotton
綿製品
つまり、「綿でできた衣服を強く打ち付ける」という意味の英単語です。
本来の意味③:「使いものにならなくなった自動車の解体」の語源
「使いものにならなくなった自動車の解体」という意味のポンコツは、「ポンポンコツンコツンと叩く音」が語源になったと言われています。
この表現は、昭和34年の阿川弘之の新聞小説『ポンコツ』の中の、以下のような一節によって広まりました。
ぽん、こつん。ぽん、こつん。ポンコツ屋は、タガネとハンマーで、日がな一日自動車を叩きこわしている。
昔は、廃棄になった自動車をハンマーで殴って解体していました。
そのときの音を、阿川弘之は「ぽん、こつん。」という擬音で表現したのです。
そして、解体業を「ポンコツ屋」と呼びました。
この「使いものにならなくなった自動車の解体」という意味から、現在でも使われている「古くて使い物にならなくなった状態」という意味が生まれました。
そして、さらに派生してポンコツが「役に立たない人間」という意味で使われるようになったのです。
ポンコツな人の特徴
「ポンコツな人」と呼ばれてしまう人には、次のような特徴があります。
- 記憶力が乏しい
- 空気が読めない
- 失敗を繰り返す
- 行動が遅い
- 受け身である
それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
特徴①:記憶力が乏しい
ポンコツな人は、記憶力が乏しいことが多いです。
単純に、自分が過去に言ったことや交わした約束を忘れてしまったり、仕事の覚えが悪かったりするのです。
これらの行動は、周りに迷惑をかけることも多く、「ポンコツな人」と言われてしまうでしょう。
特徴②:空気が読めない
ポンコツな人は、空気が読めないことが多いです。
場違いな発言をしてしまったり、発言自体は間違っていなくても、発言のタイミングを間違えてしまったりします。
このような人はチームで行動したり、協力し合うことが苦手になります。
特徴③:失敗を繰り返す
ポンコツな人は、同じ失敗を繰り返します。
失敗を一度もしない人間はいません。
しかし、過去の失敗から学習せず、同じ失敗を何度も繰り返してしまうのは、「ポンコツな人」の特徴になります。
特徴④:行動が遅い
ポンコツな人は、行動が遅い場合が多いです。
課題や仕事の提出を守ることができなかったり、報告が遅かったりして、周りの人に迷惑をかけてしまいます。
特徴⑤:受け身である
ポンコツな人は、積極性がなく受け身の姿勢であることが多いです。
自分の意志で行動するのではなく、勉強や仕事を「やらされている」という意識を持っているのです。
ただし、積極的な姿勢であるが、その行動がことごとく間違った方向に向かっている場合も「ポンコツ」と表すことがあります。
「ポンコツ」の類義語
ポンコツには以下のような類義語があります。
- 役立たず
役に立たないこと - 中古品
使って、やや古くなった品物 - 廃棄物
廃棄される不用物 - オンボロ
使い古して非常に傷んでいるもののこと - 劣化
性能・品質などが低下して以前より劣ってくること - 老朽化
使い古したりして役に立たなくなること
- 役立たず
役に立たないこと - トラブルメーカー
もめごとをよく起こす人 - 天然
周りの人とは違う言動を行う人 - 無能
能力や才能がないこと。役に立たない人 - 間抜け
抜かりがあること・愚かなこと
「ポンコツ」と「無能」の違い
「ポンコツ」と「無能」の意味は、それぞれ以下のようなものです。
- ポンコツ
どこか抜けていて、ミスが多い - 無能
全く能力がない
つまり、ポンコツは、「全く能力がない」わけではなく、「ちょっとした欠点やミスが多い」という意味なのです。
また、ポンコツは、「助けてあげたくなるような可愛げがある」というニュアンスが含まれます。
それに対して、「無能」は、「能力がない」ことを端的に表した言葉で、ポンコツに含まれるようなニュアンスはありません。
「ポンコツ」の対義語
ポンコツには以下のような対義語があります。
- 新品
(まだ使っていない品物)
- しっかり者
(堅実で意思が強い人。ミスが少ない人。)
「ポンコツ」の英語訳
ポンコツには以下のような英語訳があります。
- piece of junk
(ポンコツ) - piece of shit
(ポンコツ) - jalopy
(ポンコツ車・オンボロ車) - useless
(使えない)
「ポンコツ」のまとめ
以上、この記事では「ポンコツ」について解説しました。
英語表記 | ポンコツ |
---|---|
意味 | ①古くて使い物にならない物 ②役に立たない人間 |
語源 | 廃棄になった自動車を解体するときの音から |
類義語 | 中古品 廃棄品 無能 間抜け など |
対義語 | 新品 しっかり者 |
英語訳 | piece of junk(ポンコツ) piece of shit(ポンコツ) など |
この記事では、ポンコツの語源が複数あることがわかりましたね。
語源となるエピソードや類義語なども覚えておきましょう。