今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「集団極性化(しゅうだんきょくせいか)」です。
言葉の意味・具体例・提唱者・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「集団極性化」をざっくり言うと……
読み方 | 集団極性化(しゅうだんきょくせいか) |
---|---|
意味 | 組織で意思決定を行う際、極端な選択肢を選びやすくなること |
提唱者 | ジェームズ・ストナー氏 |
英語訳 | group polarization(集団極性化) |
「集団極性化」の意味をスッキリ理解!
「集団極性化」の意味を詳しく
集団極性化は、集団で何かを決める際、ひとりで決める時よりも極端なものを選びやすくなるというものです。
集団極性化には、リスキー・シフトとコーシャス・シフトという2つの種類があります。
リスキー・シフトについて
リスキー・シフトとは、集団で物事を決める際、リスクのある選択肢を取りやすくなるというものです。
リスキー・シフトが発生する理由は複数あります。まず、集団で話し合いを行うと、一人ひとりの責任が薄くなり、分散されます。その結果、無責任な発言をしやすくなります。
また、集団の中では他人に自分の度胸や能力を見せびらかせようとする心理が働きます。その結果、リスクがある選択を取りやすくなると考えられています。
コーシャス・シフトについて
コーシャス・シフトは、集団で物事を決める際、より慎重に意思決定を行うようになるというものです。
コーシャス・シフトは、もともとの自分の考え方があまりリスクを好まない場合によく発生するとされています。
「集団極性化」の具体例
集団極性化の中でも、リスキー・シフトの例としてはインターネットが挙げられます。
インターネットの世界には、多くの人が参加することができるため、思想の似ている人が集団を形成しやすいです。その結果、マイノリティの意見であったとしても、大勢が集まると強い意見となっていきます。
よって、一人ではあまり過激な思想を持っていない人でも、大勢が集まると次第に思考が過激化してきます。
結果として、特定の誰かを攻撃する、といった事件が起こるようになります。
コーシャス・シフトの例としては、会議の場が挙げられます。
会議の際に、結論が出ることなく長々と会議が続く場合があります。この現象は、会議に参加している人が結論を出すというリスクのある選択肢を避けようとしているために起こります。
結果として、誰も発言をすることなく時間が過ぎていくのです。
「集団極性化」の提唱者
集団極性化は、1961年にジェームズ・ストナー氏が提唱しました。
彼は、アメフトの試合の中での、残りワンプレーで試合が終わるという場面で、被験者がどのような判断をするかについて研究しました。
実験では、被験者が行える判断は以下の2つのどちらかでした。
- 安全なプレーを行い、同点で試合を終える
- リスキーなプレーを行い、成功すれば勝って試合を終えることが出来るが、失敗した場合、試合に敗北する
結果として、集団に聞いた時の方が、個人に聞いた際と比べ、リスキーな選択を取る確率が高いということが明らかになりました。
また、アメリカではワラック氏とコーカン氏が集団極性化についての実験を行いました。
彼らは、被験者に対し、ある課題について次のどちらの方法を実践するか考えさせました。
- リスクを伴うが、成功すれば莫大な報酬が得られる方法
- 安全だが、あまり報酬は得られない方法
結果として、ストナー氏の実験結果と同じように、集団で考えさせた時の方が、よりリスクのある選択を取ることが明らかになりました。
このようにして、集団極性化が明らかになっていきました。
「集団極性化」の英語訳
集団極性化を英語に訳すと、次のような表現になります。
- group polarization
(集団極性化)
また、集団極性化を構成するリスキー・シフトとコーシャス・シフトの英語訳は次のようになっています。
- risky shift(リスキー・シフト)
- cautious shift(コーシャス・シフト)
まとめ
以上、この記事では「集団極性化」について解説しました。
読み方 | 集団極性化(しゅうだんきょくせいか) |
---|---|
意味 | 組織で意思決定を行う際、極端な選択肢を選びやすくなること |
提唱者 | ジェームズ・ストナー氏 |
英語訳 | group polarization(集団極性化) |
集団極性化が働くと、自分の考えが歪みやすくなってしまいます。自分の意見をしっかりと持ち、集団心理に惑わされずに行動できるようにしていきましょう。