「パラダイム」とは?意味と使い方を例文付きでわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「パラダイム」です。

「パラダイム」の意味・使い方・語源などについて分かりやすく解説します。

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「パラダイム」とは?

パラダイム(paradigm):ある時代において多くの人々に共有されている考え方やものの見方

「パラダイム」の意味を詳しく

「パラダイム」とは、同じ時代に生きる人のほとんどが共有する考え方の枠組みです。

この意味で「パラダイム」が使われるようになったのは、1962年に『科学革命の構造』という本が、アメリカの科学哲学者トーマス・クーンによって書かれてからです。

まずは現在使われている意味を、例をあげて説明します。ただし、クーンが当初考えていた意味と現在使われている意味では異なっています。そこで、最後に「パラダイム」の当初の意味を補足説明します。

「パラダイム」の例

中世のヨーロッパでは、太陽が地球の周りをまわっているという「天動説」が信じられていました。確かに、地球で生活していると太陽が東から昇って西に沈むので、天動説が信じられているのも不思議な話ではありません。

しかし、他の惑星の動きなどを説明しようとすると、どうしても合わないところが出てきてしまいます。それでもなお、天動説にもとづいた説明をするために、複雑怪奇なモデルが用意されて研究が行われていました。

 

ところが、コペルニクスが『天体の回転について』を出版し、天動説への疑問が噴出します。地球が太陽の周りをまわっているという「地動説」の方が、合理的に天体の運動を説明できることが、天体観測などにより明らかになりました。

コペルニクスの少し前にも、地動説を唱える科学者はいました。しかし、教会などの天動説を信じる人々から批判されたり、批判をおそれたりして、地動説は人々に受け入れられませんでした。また、古代ギリシャやイスラーム世界では、地動説が信じられていました。

もちろん、現在では、ほとんどの人が地動説を信じています。地動説が正しいことは、科学的に証明されています。しかし、正しいかどうかに関係なく、人々の間で広く信じられている考えの方が受け入れられます。この考え方を「パラダイム」と言います。

天動説が信じられていた中世ヨーロッパでは、地動説を唱える人は異端(いたん)扱いされて迫害を受けました。

「パラダイムシフト」とは?

天動説というパラダイムから、地動説というパラダイムに変わったのは、革命的な出来事でした。大航海時代を迎えたヨーロッパにとって、正確な天体観測は航海の無事を左右し、命にかかわる問題でした。そして、地動説に基づいた方が天文学の発見も多くなります。

このように、パラダイムが変わることを「パラダイムシフト」と言います。

 

現代のパラダイムシフトの例をあげましょう。ひと昔前までは、「大量生産・大量消費は良いことだ」と考えられていました。その背景には、「地球の資源は無限にあるので、資源を使って利益を出すのが合理的だ」という考えがあります。

しかし、実際は地球の資源は有限であり、今のままの社会を続けていると地球環境が持続できないことが分かります。また、生産の過程で出た二酸化炭素などによる地球温暖化や、有害物質による汚染の問題も出てきました。

汚染は機械工業が始まったときから問題とはなっていましたが、本腰を入れて対策するようになったのは、環境に対する問題意識が高まってからです。

現在では、「持続可能な社会を目指さなければいけない」「大量生産・大量消費は良くないことだ」というパラダイムになっています。このように、パラダイムシフトは急速に起こり、主流の考え方は数十年ほどですっかり反転してしまいます。

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「パラダイム」の使い方

  1. ダーウィンの進化論は、科学だけでなく社会にもパラダイムシフトを起こした。
  2. がむしゃらに働き会社のために尽くすというパラダイムは過去のものとなった。
  3. ビジネス・パラダイムの変化に対応できるかどうかが企業が生き残る上で大切だ。

上の例文のように、パラダイムは社会や経済などでの考え方にも使われます。しかし、本来の意味は科学に限定されたものでした。詳しい説明は、後で行います。

「パラダイム」の語源

「パラダイム」の語源は古代ギリシャ語で「モデル」を意味する “παράδειγμα(paradigma)” です。 “para” は「横」 “digma” は「提示された」という意味です。

paradigmaは「横で提示された」という意味の言葉で、お手本を横において写し取るようなイメージがあります。

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「パラダイム」の当初の意味

提唱者であるクーンの意図に反して、パラダイムの意味は拡大解釈され、社会全体のことを説明するときに使う言葉となりました

ここでは、クーンの考えに沿って、当初のパラダイムの意味を説明します。

 

科学は、前提を共有することで研究の幅が広がります。その共有された前提をパラダイムと呼び、100人程度の科学者たちのコミュニティの中で、それに沿って研究が進められていきます。

ところが、今あるパラダイムでは説明のつかないことも起こります。そのときに、前提となるパラダイムを変えようとすれば、他の科学者の反発を買ってしまいます。それでもパラダイムを変えることができれば、より多くの物事を、より合理的に説明できます。

本のタイトルにもある「科学革命」は、この意味での「パラダイムシフト」を指します。科学はこうやって発展してきたという、科学史を説明する言葉として「パラダイム」が使われました。

 

「科学は一直線上に発展するのではなく、不連続な革命を繰り返して発展するのだ」というクーンの主張は、人々に大きな影響を与えました。不連続とは、革命(パラダイムシフト)の前後で考え方がすっかり変わってしまっているという意味です。

ところが、それが拡大解釈につながり、クーンが本来考えていた意味から外れて使われるようになります。さらに、クーンの科学史観には強い反発が起こり、パラダイムという言葉は変更されました。クーンの言葉の使い方にはあいまいなところがありました。

パラダイムは「専門母型」という言葉で、説明し直されました。しかし、クーンへの根強い批判と、パラダイムの拡大解釈によって、パラダイムは「同じ時代を生きる人で共有されている考え方やものの見方」という意味で定着してしまいました。

まとめ

以上、この記事では「パラダイム」について解説しました。

英語表記 パラダイム(paradigm)
意味 ある時代に支配的な考え方やものの見方
語源 ギリシャ語のparadigm
当初の意味 科学者のあいだで共有されている前提

時代の変化が急速に進み、パラダイムシフトが様々な場面で起こっています。言葉の意味を理解すると、パラダイムの変化についていきやすくなるかもしれません。

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