「親の脛を齧る」の意味とは?読み方は?類義語から英語訳まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「親の脛を齧る(おやのすねをかじる)」です。

言葉の意味、使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「親の脛を齧る」をざっくり言うと……

読み方親の脛を齧る(おやのすねをかじる)
意味子どもが経済的に自立することができずに、親に援助してもらうこと。
由来脛が労働の意味を表すことから。
類義語親がかり、パラサイト・シングル、父母の膝下にあるなど
英語訳Sponge off one’s parents. (親にたかる。)

「親の脛を齧る」の意味をスッキリ理解!

親の脛を齧る(おやのすねをかじる):子供が経済的に自立できずに、親に援助してもらうこと

「親の脛を齧る」の意味を詳しく


「親の脛を齧る」とは、子どもが経済的に自立することができずに、親に援助してもらうこと、養ってもらうことを意味します。

「経済的に」とは簡単に言えば、「お金の面で」ということです。また、ここで言う「子ども」は幼い子を指す「子ども」ではなく、親がもうけた子を指す「子ども」を指します。つまり、40歳でも親にとっては「子ども」なのです。

 

子どもは、ある年齢までは、日本国民の三大義務の一つである「勤労の義務」は免除されていると考えられています。つまり働かなくていいのです。代わりに「勉強すること」を求められます。子どもにとっては「勉強≒勤労」なのです。

一応、勉強することを求められる間、つまり学生の身分である間は、「親の脛を齧る」もそこまで悪い意味では使うことはありません。

高校生になるとアルバイトをすることはできますが、学業がありますし、校則で禁止する学校も数多くあります。大学生は学生の中では一番アルバイトをするイメージですが、経済的に自立できるほど稼ぐのは難しいと言えます。

 

学生の間は、遊んでばかりいるような人に対しては皮肉を込めて、「親の脛を齧る」と言います。

しかし、そうでもなく普通に学生生活を送っている人に対しての「親の脛を齧る」は少し違います。皮肉などは無く「親のおかげで生きている」というニュアンスを持ちます。

 

「親の脛を齧る」を、より皮肉を込めて使うのは、学生を終えた子どもに対してです。学生を終えると、基本的には働きに出る人がほとんどです。

そこが一つの区切りとなり、経済的にも独立したり、実家に住んでいたとしてもお金を家計に入れたりするのが普通であると考えられています。

 

しかし、中には学生生活を終えたにもかかわらず、働かない者(就職先が見つからず、働けない者も含む)はいます。さらには、働いていたとしても経済的に自立せずに親に援助してもらって生活する人もいます。

そのような人たちに対して使う「親の脛を齧る」という言葉には、皮肉と非難の意味が込められている場合がほとんどです。

このように、「親の脛を齧る」は使う相手、場面によって、その言葉に込められる意味合いは変わることわざなのです。

「親の脛を齧る」の使い方

  1. 子どもは、親の脛を齧りながら成長する。
  2. 大学にまで行かしてもらい、私は親の脛を齧って生きているのでいつか恩返しをしなければ。
  3. 私の兄は大学卒業後、働きもせず、親の脛を齧って生きている。
  4. 親の脛を齧っていないで、早く彼には働けと言いたい。
  5. 実家で親の脛を齧って4年。念願の司法試験に合格し来年から弁護士になる。

➀は、どの子どもも親に養ってもらって成長するものだという意味の例文です。

➁は、大学生が、自分が親に経済的な援助をしてもらっていることを自覚して、親に感謝している例文です。

➂では、学生を終えたにもかかわらず働かないで親に養ってもらっている兄を、皮肉を込めて表現している例文です。

➃は、親に養ってもらっている人に非難を込めている例文です。

➄は、学生かどうかは不明です。しかし、夢のために実家で援助してもらいながら勉強をつづけたという状況ですので、皮肉や非難の意味はありません。

「親の脛を齧る」の由来

「親の脛を齧る」は、「脛」が、人が立つのを支える重要な部位であることに由来します。

人間が立つ際に重要な部位はもちろん数多くあります。しかし、中でも「脛」は特に重要な働きをする部位なのです。

 

また、現在では座って行う仕事も多くありますが、昔は立ちながら働くことがほとんどでした。

そこから転じて、「脛」は「労働」の意味を持つようになりました。一生懸命働くことを、「脛から火を出す」とも言うこともあります。

 

親が「脛」を使って働きながらも、子どもは稼いだお金を使ってしまいます。すると、親はさらに「脛」をすり減らしながら働かなければいけません。

そのような状況を、「親の脛を齧る」といった言葉で表現し、ことわざとして使われるようになったと言われています。

「親の脛を齧る」の類義語

「親の脛を齧る」には以下のような類義語があります。

  • 親がかり:子がまだ自立できずに、親に養われていること
  • 父母の膝下(しっか)にある:自分を養ってくれる父と母のもとにいるということ
  • おぶさる:(経済的に)他人の力によりかかること

「親の脛を齧る」の英語訳

「親の脛を齧る」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Sponge off one’s parents.
    (親にたかる。)
  • Live off one’s parents.
    (親にたかる。)
  • Depend on one’s parents’ support.
    (親の支援を頼る。)

“Sponge off”は「(人に)たかる」という意味がある熟語です。スポンジは水を吸い取るものなので、そこから「たかる」という意味で使われています。

まとめ

以上、この記事では「親の脛を齧る」について解説しました。

読み方親の脛を齧る(おやのすねをかじる)
意味子どもが経済的に自立することができずに、親に援助してもらうこと。
由来脛が労働の意味を表すことから。
類義語親がかり、パラサイト・シングル、父母の膝下にあるなど
英語訳Sponge off one’s parents. (親にたかる。)

「親の脛を齧る」の意味や使い方を理解することができたでしょうか。

子どもはある程度までは、親の脛を齧らざるを得ません。しかし、学生を終えた後はできるだけ働き、親からは経済的に自立して生きていきたいものです。

学生も、親の脛を齧っているんだという自分の状況を認識しながら生活していけるといいですね。