「お屠蘇」と「お神酒」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

お正月を祝うときに、おせち料理とともに欠かせないのが「お屠蘇(とそ)」ですよね。1年の健康を願って、お屠蘇を飲みます。

その中身は何でしたか? 神様におそなえする「お神酒(みき)」と違いがないと思ったこともあるかもしれません。

似ているようで違う「お屠蘇」と「お神酒」の違いを解説します。

結論:「お屠蘇」は薬酒、「お神酒」は日本酒

「お屠蘇」は、生薬(しょうやく)を漬けたお酒です

一方、「お神酒」は、日本酒です。お屠蘇とは違い、一年中使われます。

味や材料だけでなく、飲み方にも違いがあります。

「お屠蘇」をもっと詳しく

「お屠蘇」は、お正月に飲む薬酒です。

地域によっては薬酒ではないものを飲むところもありますが、ここでは薬酒を紹介します。

お屠蘇に使われる生薬は、山椒(サンショウ)や陳皮(チンピ)などの10種類ほどです。地域によって少しづつ異なります。それを、ミリンや日本酒に数時間漬けると、お屠蘇になります。

 

お屠蘇は首都圏や西日本を中心に飲まれています。しかし、味の好みや準備する手間などの理由で、お屠蘇をしない家庭も増えているようです。生薬を買いそろえるのは大変そうですよね。

しかし、「屠蘇散」という生薬を合わせた材料があります。これをミリンや日本酒に入れれば、手軽にお屠蘇が用意できます。年末年始にミリンを買うと、屠蘇散がついてくることも多いです。お屠蘇は家族の一年間の健康を願うものなので、残したい習慣ですよね。

 

お屠蘇は、「邪気を(ほふ)り、魂を(よみがえ)らせる」という意味があるとされています(諸説あります)。つまり、悪い気を追い払い、心身の健康を願うということです。

また、お屠蘇は年少者から年長者へ順番に注がれます。これは、「年長者に若い人のエネルギーを分ける」という意味があるのです。

また、厄年(やくどし)の人は最後に次ぎます。厄年ではない人のエネルギーを分けるためです。

「お神酒」をもっと詳しく

「お神酒」は、神様にそなえるお酒ですお屠蘇と違って、一年中そなえられます

「お神酒」は、読み方が難しいですよね。酒を昔は「き」と言っていました。それに、言葉を丁寧にする「お」「み」をつけて「おみき」という名前になったと言われています。

 

お神酒で一般的なのは「清酒(すみさけ)」です。普段飲まれている日本酒と同じですね。

しかし、正式には4種類の酒を用意するのです。「白酒」「黒酒」「清酒」「濁酒(にごりさけ)」の4種類ですが、白酒と黒酒はあまり作られていません。そこで、清酒だけか、清酒とどぶろく(濁り酒)をおそなえすることが多いです。

お神酒は、儀式のときに神様におそなえしてから、みんなで分けます。そのときは、年長者から年少者へ順番に注ぎます。お屠蘇とは逆の順番です。

まとめ

以上、この記事では、「お屠蘇」と「お神酒」の違いについて解説しました。

  • お屠蘇:お正月に飲む、生薬を漬けたお酒。年少者から飲む
  • お神酒:神様におそなえする日本酒。おそなえした後、年長者から飲む
「お屠蘇」も「お神酒」も、伝統行事に欠かせません。違いをしっかりと覚えておきたいですね。