「オセロ」と「リバーシ」の違いは著作権?気になる関係を解説

違いのギモン

オセロはほとんどの人が知っているボードゲームですよね。ところで、リバーシという、オセロと同じようなボードゲームの名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回はこの2つの似たようなゲームの違いについて解説していきます。

結論:ルールはほとんど同じ、違いは用具のデザイン

「リバーシ」も「オセロ」も同じ色の石で挟んだ石を裏返すゲームであり、ルールはほとんど同じです。

ただ、「リバーシ」の方が歴史は深く、また用具のデザインが「オセロ」と異なります。

「オセロ」をもっと詳しく

「オセロ」は、8×8の緑の盤上で、片面が白、もう片面が黒の石を用いて勝敗を争うボードゲームです。

オセロでは、自分の色の石で相手の色の石を囲むことで、相手の色の石を裏返すことができます。オセロの基本的なルールは以下の通りです。

「オセロ」の基本的なルール
  1. 対戦開始時は、ボード中央の右上と左下が黒の石、左上と右下が白の石
  2. 先手は黒の石
  3. 打てる箇所(打つと相手の色を裏返せる場所)がない場合はパスできる

また、勝敗は、以下のようにして決まります。

「オセロ」の勝敗
  1. ボードがすべて埋め尽くされた時、自分の色の石の多い方が勝利
  2. 両者とも打つ手がなくなった時、自分の色の石の多い方が勝利
  3. ボード上が片方の色の石だけで埋め尽くされた時、その石の持ち主が勝利

「オセロ」の誕生経緯

「オセロ」は、茨城県出身の長谷川五郎氏が考案し、1973年に商品化されたものです。

長谷川氏は、中学生の時に、囲碁の碁石を用いて、現在のオセロの通じるルールを独自で作ってゲーム化していました。

製薬会社に勤務していた際、女性社員や担当顧客にそのゲームが好評を得ました。1972年に、おもちゃメーカーの「ツクダ」に直談判したことから、翌年商品化されました。

「オセロ」の名は、シェークスピアの戯曲『オセロ』に由来します。黒人将軍のオセロとその妻を中心に、さまざまな登場人物が寝返るというストーリー展開を、石を裏返しながら進めるゲーム展開にたとえたのです。

「オセロ」の独特なルール

「オセロ」には、基本的なゲーム展開に関するルールの他にも、以下のようなルールがあります。

  1. 遅刻してきた場合、その分持ち時間を減らしてゲームを行う
  2. 黒石の選手が対局時計(残り時間を表示してくれる時計)を左右どちらに置くか決めることができる
  3. 石を打って、挟んだ石を返して対局時計のボタンを押すという動作は全て片手で行わねばならない
  4. 相手の持ち時間が無くなった時、勝負は終わるが、残りは持ち時間のある選手が二人分をうち続ける
このように、オセロのルールは厳格に決められています。

「リバーシ」をもっと詳しく

リバーシの歴史はオセロよりずっと長く、1883年のイギリスにまでさかのぼります。このゲームを考案したのはウォーターマンとモレットという二人のイギリス人です。チェッカーによく似たデザインのボード上で、オセロ同様に石を裏返しあって自分の色の石の数を競います

「リバーシ」のルールは、1907年に発行された『世界遊戯法大全』によると、以下のように定められています。

「リバーシ」のルール
  1. 盤面の大きさは8×8
  2. 打てる箇所(打つと相手の色を裏返せる場所)がない場合はパスできる
  3. 駒の初期配置は、中央にそれぞれの石を、交差して置く・並行しておく・置かない、3パターンがあった

つまり、「オセロ」とは、駒の初期配置、また用具のデザインに差があるのみで、ルールはほとんど同様であると言えます。

1993年以降の「リバーシ」

これまで見てきたように、オセロとリバーシのルールには違うところもあります。でも、みなさんが普段見るリバーシは白と黒の石を使っており、用具のデザインもほとんどオセロと同じです。

ここでは、1883年に誕生した「リバーシ」と、1993年以降に発売された「リバーシ」を区別する必要があります

 

1970年にオセロを考案した長谷川五郎氏は、このゲームをなんとか商品化させたいと考え、おもちゃメーカーに直談判を行いました。そして、その話に乗ったツクダという会社が商品化を行いました。その後、ツクダは1973年に「オセロ」の商標権を取得しました。

商標権を取得されてしまったので、他の会社は「オセロ」を発売できなくなってしまいました。しかも、当時は商標だけではなくゲームの形式(8マス×8マスの緑の盤、片面黒、片面白の石など)にも意匠権(※)がありました。しかし、この意匠権は1993年に失効します。

そこで、「オセロ」の商標権を持たない企業は「リバーシ」という名前で同じようなゲームを発売することにしたのです。なぜならリバーシには、特に商標や特許などがないからです。

つまり、みなさんが日頃目にする「リバーシ」は、「オセロ」の類似商品として、1993年以降に発売されたものなのです。

意匠権(※):商品のデザインを知的財産として保護し、まねされない権利のこと。権利期間は登録から20年。

「オセロ」のアイデアの起源は、1883年誕生の「リバーシ」にある?

長谷川五郎氏が「オセロ」を誕生させたことには、それ以前に作られており、かつルールがほとんど似通っている「リバーシ」は関係していないのでしょうか。

これに関して、長谷川氏は当初、「源平碁」の用具を改良したものとして「オセロ」を作ったと説明し、実用新案を出願しています。

しかし、2000年頃から、その主張は一転します。「オセロ」の原型は、自分が大学時代に思い付いたゲームにあり、「リバーシ」と似ていたことは偶然であるとしたのです。

そのため、1973年に商品化された「オセロ」と、1883年にイギリス人が考案した「リバーシ」との関係性は、未だに明らかになっていません。

まとめ

以上、この記事では、「オセロ」と「リバーシ」の違いについて解説しました。

  • オセロ :リバーシのルールを厳格に定めて競技性を高めたゲーム。1973年に誕生
  • リバーシ:オセロと似たルールで1883年に誕生。1993年以降はオセロの類似商品名

オセロとリバーシは名前こそ違いますが、同じようなゲームです。ルールも簡単でわかりやすいので、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか?

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。