「オーガニック」と「有機栽培」と「無農薬」の違いとは?

違いのギモン

「オーガニック」「有機栽培」「無農薬」。おそらく野菜の宣伝広告などで見たことがあると思います。どれも何となく健康に良さそうで、農薬を使っていないイメージがありますよね。

しかし、この3つの言葉は、どのような違いがあるのでしょうか。また、どの言葉が一番健康に良いのでしょうか。

今回は、野菜を選ぶときに、是非とも頭に入れておきたい、「オーガニック」「有機栽培」「無農薬」の違いを解説していきます。

結論:「オーガニック」=「有機栽培」。「無農薬」は農薬不使用。

「オーガニック」とは、「有機栽培」のことです。自然の原料を使った肥料を使用し、環境への負荷が少ないという意味です。どちらの言葉も商品に記載するためには、一定の基準を満たす必要があります。

一方「無農薬」とは栽培期間中に農薬を使っていないという意味です。

「オーガニック」「有機栽培」をもっと詳しく


「オーガニック」とは、化学肥料や化学合成された農薬を使わず、自然の肥料を使って育てた作物を指す言葉です。オーガニックは英語では “organic” ですが、これは「有機栽培の」という意味があります。つまり「オーガニック」は「有機栽培」と同じ意味になります。

わら・落葉などを堆積させ、発酵させた肥料を「堆肥(たいひ)」と言います。「オーガニック」には、基本的に自然の原料を利用した「堆肥」が使用されます。家畜の糞からつくった「堆肥」や生ゴミからつくった「堆肥」などもあります。

 

2006年には「有機農業の推進に関する法律」が制定されました。この法律によれば、「有機農業」とするためには、次のような条件が必要です。

  • 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと
  • 遺伝子組換え技術を利用しないこと
  • 環境への負荷をできる限り低減した生産方法で行うこと

 

「オーガニック」「有機栽培」は、必ずしも農薬を全く使わないとは限りません。農薬の中には、微生物を利用する殺菌剤など、化学的に合成されておらず、環境への負荷が少ないものがあります。そのような農薬については、使用されても「オーガニック」「有機栽培」となります。

実際に商品に「オーガニック」「有機農業」という記載をするためには、農林水産省が設けた日本農林規格をクリアしなければなりません。逆に、基準を満たしていなければ、「オーガニック」「有機農業」といった言葉を使用することはできません。(下記参照)

 

「オーガニック」「有機農業」は、健康への安全性・環境への配慮という点において、付加価値があります。そのため健康志向の消費者を中心に多くの需要があります。

一方、農薬を制限するということは、害虫や雑草を通常よりも頻繁に取り除く必要があります。また、肥料を制限するということは、収穫物の形やサイズによる不良品が増える可能性があります。そのため、普通通常の野菜よりも難しく、値段も高くなりやすいです。

「オーガニック」「有機」と記載する条件

日本農林規格とは、法律によってつくられた公的な基準であり、品質を保証する一定の規定です。その中に「有機農産物」や「有機農産物加工品」のための基準もあります。この基準を満たした製品のみが「オーガニック」「有機」と名乗ることができます。

この基準は、非常に詳細に定められていますが、主に主要な条件は次のようなものになります。

 

  • 種まき等の前に一定期間、禁止されている農薬や化学肥料を使わずに栽培
  • 栽培中も禁止されている農薬や化学肥料を使用しない
  • 遺伝子組み換え技術を使用しない
  • 生産から包装までに適合しない農産物が混入しないようにする
  • 第三者機関により検査される

 

基準を満たした商品には、有機JAS認定マークがついています。これは、公的な基準であるため、このマークがあれば安心して買うことができます。

「オーガニック」「有機」と名乗るためには、通常の栽培以上に気を配り、手間をかける必要があります。

「無農薬」をもっと詳しく


「無農薬」とは、栽培中に農薬を使っていないということです。化学肥料は定義されていないため、多く含まれている可能性があります。現在は、野菜等に「無農薬」と表記することは農林水産省により禁止されています。

「無農薬」という言葉以外に、「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」といった言葉も禁止されています。

 

一時期、大量の農薬による人体・環境への影響が問題視されました。その反発として、「無農薬」栽培の作物が注目を集めました。しかし、「無農薬」に関する基準がなく、どこからが「無農薬」作物で、どこからが「無農薬」作物ではないかが不明瞭でした。

例えば、事前に土に農薬を混ぜて育てた作物も、直接的には「無農薬」であると言うことができます。また、過去に使用した残留農薬や、近隣の畑にまいたはずの農薬が検出されることもありました。

 

現在は、農薬の使用量が少ない作物を一律に「特別栽培農作物」と呼んでいます。

「特別栽培農作物」の基準は農林水産省で定められています。具体的には、「生産された地域の一般的な農薬(指定のもの)・化学肥料の使用量に比べ、使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下」である必要があります。

 

つまり「特別栽培農作物」であるためには、指定された農薬と化学肥料の両方の使用量を半分にしなければなりません。

もしも「無農薬」にこだわりたい人は、「特別栽培農作物」の中で、「農薬を使用していない」とされているものを選ぶのがいいでしょう。

まとめ

以上、この記事では、「オーガニック」「有機栽培」「無農薬」の違いについて解説しました。

  • オーガニック:環境に良くない化学肥料や農薬を使わず、自然の原料でつくった肥料で栽培
  • 有機栽培:環境に良くない化学肥料や農薬を使わず、自然の原料でつくった肥料で栽培
  • 無農薬:栽培中に農薬を使用しないこと

「無農薬」の表記が禁止されていることは意外だったのではないでしょうか。実は、詳細な基準が設けられ公的に認められているのは「オーガニック」や「有機栽培」の方なのです。

もし「オーガニック」「有機栽培」の商品を買いたければ、有機JASマークを目印に探してみてください。ネット通販以外にも、大きめのスーパーであれば置いてあるはずです。

「無農薬」の農薬不使用は確かに魅力的ですが、農薬をまったく使わないというのは、「オーガニック」「有機栽培」以上に難しく、手間もかかるでしょう。しかし、ネット等で「無農薬」の野菜も注文できるので、気になる人は探してみてください。