意外と奥が深い!「温泉」と「銭湯」の違い

違いのギモン

広いお風呂で足をのばしてじっくり浸かっていると、リラックスできる上に体が温まりますよね。家では味わえない癒しが得られるお風呂と言えば、温泉と銭湯。

どちらも入浴を目的としている施設であることには変わりありませんが、実は大きな違いがあります。

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結論:温泉と銭湯は法律と政令で決められている

温泉も銭湯も、「公衆浴場法」という法律によって衛生管理などの基準が定められている点では同じです。しかし、温泉は温泉法による定義があって環境省が管轄する一方、銭湯は物価統制令による料金の統制があって都道府県が管轄しています

つまり、温泉と銭湯は法律や政令で定義されているのです。

温泉を定義する法律がある

温泉と言えば、湯けむりや硫黄の匂いを思い浮かべる人も多いでしょう。なんとなく「熱いもの」、「色や匂いがついているもの」、というイメージを持たれる温泉ですが、実は法律で厳密な定義があるのです。

 

温泉法という法律があります。温泉法第2条で「この法律で『温泉』とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう」と定義されています。

そして、「別表」では、「摂氏二十五度以上」もしくは「いづれか一」の物質を含むことが温泉の条件と書かれています。

つまり、湧き出す温度が25℃より高いものは成分に関係なく温泉と認められます。

また、湧出温度が25℃以下であっても、特定の成分が基準を超えていれば温泉に認められます。温泉は「温かい泉」と書きますが、冷たくても温泉だと認められる場合があるんですね。

 

[出典:https://ofurobu.com/?p=28824]

「水蒸気その他のガス」も温泉に定義されていることに疑問を持った方もいると思います。実は、箱根などの一部の温泉では、火山ガスを地下水に通して成分をつけた温泉水を作っています。これも、温泉だと認められています。

 

法律のカタイ話はこのあたりまでにして、健康効果の話もしましょう。

昔から、病気やケガの療養のために温泉が開発されてきました。温泉の成分が持つ健康効果を「薬理効果(やくりこうか)」と言います。

温泉法では、温泉成分などについて書かれた分析表を掲示することも義務づけています。分析表には、温泉の適応症(いわゆる効能)や禁忌症(入浴してはいけない症状や状態)も書かれています。分析表を見れば、温泉にどんな効果を期待できるのかわかりますね。

どの温泉に行っても必ず分析表があるので、気になる人は見てみてください。

 

温泉と言えば、旅行とセットで思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。銭湯が町中にある日常使いのお風呂であるのに対して、温泉は旅行で訪れる非日常の世界、というイメージは、多くの人が持っているでしょう。

日常生活と環境を変えるだけでもストレス解消につながる効果が得られることが知られていて、「転地効果(てんちこうか)」と言います。温泉の持つ力は、「薬理効果」と「転地効果」の二つにまとめられます

温泉旅行に出かけると、肌がスベスベになるだけでなく、リラックスできて前向きな気持ちがしてくるのは、二つの効果によるものだと言えるでしょう。

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銭湯は法律で守られてる?

「物価統制令」をご存知でしょうか。戦後すぐのインフレに対応して作られた、日用品の価格の高騰を抑えるためのルールです。

もちろん今では物価統制令はほとんど廃止されていますが、今でも一つだけ対象が残っています。銭湯の入浴料金です。入浴料金は、都道府県ごとに決められています。2018年現在、最も高いのが神奈川県の470円(東京都は460円)、最も安いのが長崎県と宮崎県の350円です。

ちなみに、銭湯の入浴料金は、大人だけでなく、中人(小学生)・小人(幼児)の三種類に分けられていて、どちらも大人に比べてはるかに安い値段に抑えられています。

 

500円以下の値段で入浴できるのは、かなり安いですよね。安さの理由は、国を挙げての「銭湯離れ」対策です。

1948年に定められた公衆浴場法では、公衆浴場が多すぎることのないようにコントロールすることが法律で定められています。しかし、お風呂のついた家が一般的になると、銭湯は急速に数を減らしていきます。

 

[出典:https://aqutpas.co.jp/]

 

1981年に新しく定められた「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」では、「住民の公衆浴場の利用の機会の確保に努めなければならない」と書かれています。つまり、銭湯が少なすぎることのないように、銭湯に対して資金面などの手助けを都道府県が行うことを定めているのです。

この法律では、「住民の健康の増進、住民相互の交流の促進等の住民の福祉の向上のため、公衆浴場の活用について適切な配慮をする」ことが国と都道府県の役割だとされています。

つまり、銭湯は健康やコミュニケーションのためになくてはならないものだと国も認めていることになります。近所の人と裸の付き合いが楽しめる身近な銭湯の魅力は、かけがえのないものですよね。

ちなみに、1981年の法律のいう「公衆浴場」は、公衆浴場法と物価統制令の対象となっている施設をさしています。これが公式な銭湯の定義と言えるでしょう。

 

公衆浴場は、銭湯や温泉だけでなく、スーパー銭湯やスパ施設、健康ランドなど様々なものを含みます。これらは銭湯よりも広くて値段が高いのが一般的です。

では、銭湯はどんな特徴があるのでしょうか。銭湯は価格を安く抑えるために、石鹸やタオルを置いていない場合が多いです。しかし、番台で石鹸やシャンプー、タオルを買うことができるので、仕事終わりやジョギングの後に手ぶらで銭湯に行くこともできます。

東京では夕方から夜の営業が多いですが、これは江戸時代の名残です。「わ」と書かれた板で「わいた」と読ませ、開店を知らせたのだとか。今も昔も、一番風呂の時間に常連さんが多く集まります。

銭湯は比較的小さい建物が多いですが、ジェットバスや水風呂など色々な湯船を持つのが魅力です。サウナや露天風呂、人工炭酸泉のある銭湯もあります。

 

銭湯はレトロな雰囲気を味わえるというイメージを持つ人もいると思いますが、最近ではリノベーションでモダンに生まれ変わった銭湯も登場しています。銭湯の多様化が進んでいると言えるでしょう。

温泉と銭湯の比較をしてきましたが、銭湯で温泉に入れるところも意外と多くあります。安く温泉に入れるのは魅力的ですね。

まとめ

温泉は温泉法で決められた天然の温泉水を使っている一方、銭湯は井戸水や水道水を使っている場合が多いです。また、温泉の入浴料金は様々な一方で、銭湯の入浴料金は都道府県ごとに決められていて500円以下に抑えられています。

どちらも公衆浴場であるところは同じで、お湯や設備の差はあっても、健康やコミュニケーションの場であることには変わりありません

家のお風呂に飽きたら、ぜひ公衆浴場に出かけてみてください!

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