「ワンセグ」と「フルセグ」の違いとは?スマホやテレビは?見分け方まで

違いのギモン

みなさんの中にも、移動中にテレビを見たいと考える人は多くいると思います。そして、それを可能にするのが「ワンセグ」や「フルセグ」です。そして、これらの言葉はなじみ深く、「ワンセグ」や「フルセグ」くらい知っているよ、という人も多いでしょう。

しかし、「ワンセグ」と「フルセグ」の違いとなるとどうでしょうか。完璧に説明できる人は少ないと思います。そこで、今回は「ワンセグ」と「フルセグ」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:受信できる電波の量が違う

ワンセグとフルセグでは受信できる電波の量が違います。

そのため、フルセグはワンセグより高画質の映像を楽しむことができます。

序論:「ワンセグ」と「フルセグ」の仕組み

「ワンセグ」と「フルセグ」の違いについて解説する前に、この2つの機能が出現した歴史について解説していきたいと思います。

まず、テレビが開発されてからしばらくはアナログ放送という放送形態でテレビ番組は放映されていましたが、2003年に地上デジタル放送がスタートしました。俗に言う地デジです。そして、2011年にテレビ放送は地デジに完全移行し、アナログ放送は行われなくなりました。

ところで、日本のテレビ放送は1チャンネルあたり、5.57MHzの電波帯域を用いて放送しています。電波帯域は、データが流れる道路の道幅と考えてくれれば分かりやすいでしょう。そして、この電波帯域を13分割し、そのうちの12個を使って放送されているのがテレビを使って見る放送です。

 

ちなみに、13分割された電波帯域の1つ1つをセグメントと言います。

通常の放送では4セグメントの電波帯域があれば十分ですが、ハイビジョンという高画質の放送に対応するために12セグメントを使って放送しています。

そして、残った1セグメントがどこで使われているのかというとそれはワンセグ放送です。ワンセグ放送は外出先でもテレビが見られるように2006年に開発されました。そう、ワンセグとは1つ(=one)のセグメントを使って行われるからこの名前がついているのです。

一方、フルセグはスマホの登場により、より高画質でのテレビ視聴が求められたため、テレビと同じ画質の放送が外出先でも見られるように開発されました。

「ワンセグ」をもっと詳しく

ワンセグとは、13分割された電波帯域のうち1つを用いて行われる放送のことです。そして、これは主に移動中にもケータイなどでテレビを視聴できるようにするために開発されました。

13分の1の電波帯域しか用いていないため、送れるデータの量は少なめで、画質が低いという特徴があります。そして、当時のケータイと言えばガラケーです。

↑ガラケー[出典:https://mobareco.jp/a104369/]

そして、ガラケーの画面は小さいため少ないデータ量で行うワンセグ放送でも画質的には十分でした。しかし、現在ではスマホやタブレットでもテレビの視聴が可能になったため、低画質なところが大きなデメリットになってしまいました。しかし、ワンセグにはメリットも存在します。

そこで、ここからはワンセグのデメリットとメリットについて詳しく見ていきましょう。

ワンセグのデメリット

ワンセグはフルセグに比べて開発されたのが昔であるため、デメリットも多く存在します。

まず、これが1番大きいのですが、ワンセグは画質が低めです。送れるデータの量が少ないのでこれは仕方のないことなのですが、ワンセグの画質は320×240ドットで毎秒15フレームです。

これはガラケーの画面で見るには十分な画質ですが、スマホの画面では粗い映像になってしまいます。また、フレーム数が少なめなので、映像が少しカクカクしていてあまり滑らかではありません。

ちなみに、ワンセグで送信することができるデータの量は300キロビット毎秒で、これはフルセグの50分の1程度です。

 

また、最低限のデータ放送しかなく、家でテレビを見るようには使えないほか、番組表はパケット通信料を使って別途に取得する必要があります。

そして、これは意外と知られていませんが、ワンセグの音声や画面表示はフルセグより2~4秒ほど遅れています。

また、ワンセグのアンテナは機器に内蔵されていて固定されていないため、ちょっとした振動や干渉で受信が急に悪くなることもあります。

ワンセグのメリット

ワンセグは悪い側面が強調されがちですが、メリットも数多く存在します。

まず、少ないデータしか受信していないため、消費電力が少なめです。

次に、ワンセグの電波は移動していても途切れにくいように、障害物を避けたり通り抜けたりする力が強いので、フルセグに比べて安定して受信することができます。つまり、フルセグに比べて受信感度がいいのです。

「フルセグ」をもっと詳しく

フルセグとは、13分割された電波帯域のうち、12個を使って行われる放送のことです。フルセグはテレビ放送で用いられているものと同じデータ量を受信することができます。そのため、とてもきれいな画質で視聴することができます。

ここからはフルセグのメリットとデメリットに分けて見ていきましょう。

フルセグのメリット

フルセグの一番のメリットはやはり、とてもきれいな画質でテレビ放送を視聴することができる点でしょう。12セグメントを使った放送はハイビジョンのテレビでもきれいに映るくらいなので、スマホの画面には十分すぎるくらいの高画質です。

ちなみに、その画質は1920×1080ドットで30フレーム毎秒です。フルセグはワンセグと比べてフレーム数も多いので、ワンセグより滑らかな映像を視聴することができます。

 

また、多くのセグメントを使うことができるのでデータ送信量も多く、17メガビット毎秒です。これはワンセグの約50倍になります。

そして、フルセグにはほかにも、地上デジタル放送に付随している機能などを全て利用することができるというメリットがあります。例えば、フルセグではデータ放送や番組表などを自由に見ることができます。

フルセグのデメリット

いい面が強調されがちなフルセグですが、もちろんデメリットも存在します。

まず、フルセグの最大のデメリットはデータの受信が不安定である点です。そのため、移動中にフルセグを視聴しているとワンセグに比べて映像が途切れやすいでしょう。

 

そもそも、フルセグは家でテレビで視聴することが前提になっている電波を無理やりスマホやタブレットなどでも受信できるようにした機能です。そして、家のテレビを見るためのアンテナは固定されていて、受信強度が強い向きにつけられている上、電波を集めやすいような形になっています。

一方、フルセグでは受信機は機器に内蔵されていて常に移動している上、電波を受信しやすいような形になっているわけでもありません。また、フルセグの電波はワンセグの電波と違って建物などの障害物を避けたり通り抜けたりする機能が弱いです。

そのため、移動中の視聴には向かないという半ば本末転倒なデメリットを持っています。

 

フルセグにはほかにも、電池の消費が速いというデメリットがあります。なぜなら、ワンセグに比べて多くのデータを受信するので、多くのマシンパワーが必要になるからです。これは高画質な放送を見る以上、しょうがないデメリットと言えるでしょう。

補足:ワンセグとフルセグとで共通すること

ワンセグとフルセグでは家でテレビを見ているのと同じように、お金はかかりません。また、ワンセグとフルセグで映像には大きな違いがありますが、音声には違いがありません。

また、ワンセグとフルセグは Android のスマホとガラケーのみに対応しています。 iPhone は単体ではワンセグやフルセグを視聴することができないので注意が必要です。

iPhone でワンセグやフルセグを視聴するためには外付けのTVチューナーを購入する必要があります。

ちなみに、ワンセグとフルセグは受信するデータの量の違いであるので、放送内容などは一切変わりません。

まとめ

以上、この記事では、「ワンセグ」と「フルセグ」の違いについて解説しました。

  • ワンセグ:13分割された電波帯域のうち1つを用いて行われる放送のこと
  • フルセグ:13分割された電波帯域のうち、12個を使って行われる放送のこと

このように、ワンセグにはあまり知られていないメリットがあって、フルセグにはあまり知られていないデメリットがあります。状況に応じてこの2つの放送を使い分けていきたいですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。