思わなんだとは「思わなかった」という意味です。
一見、「思う」なのか「思わない」なのか疑問に感じる言葉ですよね。
地域によっては聞き慣れない言葉なので、方言だと思われている人も多いのではないのでしょうか。
この記事では、「思わなんだ」の意味や使い方を詳しく解説していきます。
☆「思わなんだ」をざっくり言うと…
読み方 | 思わなんだ(おもわなんだ) |
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意味 | 思わなかった |
「思わなんだ」の意味
思わなかった
「思わなんだ」は、動詞「思う」の未然形※「思わ」に語尾「なんだ」がついた言葉です。
「なんだ」は、否定を表す語尾「なかった」にユニークな訛り(なまり)が入って変化した方言です。
つまり、動詞「思う」の未然形「思わ」+「なかった」で、「思わなかった」という意味になります。
未然形とは、動詞の活用形で「まだそうなっていない状態」を指します。
たとえば「まだ書かない」の「書か」や、「これから集めよう」の「集め」が未然形です。
「思わなんだ」の表記
「なんだ」を漢字にして「思わ何だ」と表記することもあり、誤表記ではありません。
ただし、一般的には「なんだ」まで漢字にする必要はなく、「なんだ」はひらがなで表記します。
「思わなんだ」は方言?
「思わなんだ」を方言だと思う人もいるかもしれませんね。
語尾「なんだ」は西日本で使われている方言で、発音も東北の方言「んだ」に似ているので、「思わなんだ」も方言に感じられます。
しかし、「思わなんだ」は正確には方言ではありません。なぜなら、方言であれば特定の地域でのみ使われているはずですが、そうではないからです。
「思わなんだ」が使われている地域には、以下のような3つの説があります。
- 西日本で使われている説
- 全国的に使われている説
- 北海道・愛知県で使われている説
①西日本で使われている説
最も有力なのは、中部地方や関西地方、またはそれよりも西の地域で広く使われているという説です。
「こんなんなるとは思わなんだ」のように、関西弁のあとに続けて「思わなんだ」を使うと違和感をおぼえにくいからです。
②全国的に使われている説
西日本だけでなく、関東・東北地方を含めて、ほぼ全国的に使われているという説もあります。
元は西日本だけで使われており、時代を経て広まったと考えられるからです。
③北海道・愛知県で使われている説
北海道や愛知県などの方言ではないか」といるという説ですが、根拠はなく有力とは言えません。
以上のように、「思わなんだ」はどの地域で使われているかはっきりしていない言葉です。
そのため、「思わなんだ」は特定の地域でのみ使われる方言というよりは、広く使われている独特な言い回しと解釈するとよいでしょう。
「思わなんだ」の使い方
「思わなんだ」は話し言葉なので、日常的な会話や、創作物の台詞の中で使います。
話し言葉なので、ビジネスメールや正式な文書、また結婚式の挨拶などの公的な場面で使用するのは適切ではありません。
「思わなんだ」の例文
「思わなんだ」を使った例文は、下記のようなものがあります。
- 天気予報では晴れと言っていたから、雨が降るとは思わなんだ。
- まさか宝くじに当たるとは思わなんだ。生きていれば良いこともあるね。
- みんなは山田くんがかっこいいと言っていたけど、私はそうは思わなんだ。
①や②のように、「〜とは思わなんだ」という言い回しでよく使われます。
「思わなんだ」を使う人
「思わなんだ」は本来、性別や年齢を問わずさまざまな人が使う言葉です。
しかし、響きが田舎っぽいことから、ドラマや小説などの創作物のなかで、あえて年配の人物や田舎風の荒っぽい性格の人物の台詞に使われることもあります。
また、近年では、「思わなんだ」よりも「思わんかった」を使う若年層が多いため、「思わなんだ」を使う人は減ってきています。
「なんだ」がつく言葉
思わなんだのほかに、動詞の未然形に語尾「なんだ」がつく言葉は以下のようなものがあります。
- 知らなんだ
知らなかった - 言わなんだ
言わなかった - 行かなんだ
行かなかった - 食べなんだ
食べなかった - できなんだ
できなかった
上記のほかにも、動詞の未然形に「なんだ」をつければ、「〜しなかった」という意味になります。
いわば、「なんだ」がつく言葉は、動詞の数だけ存在するといえます。
「思わなんだ」のまとめ
以上、この記事では「思わなんだ」について解説しました。
読み方 | 思わなんだ(おもわなんだ) |
---|---|
意味 | 思わなかった |
住んでいる地域によって、「思わなんだ」を聞いたことがある人とない人がいるかもしれませんね。
古いドラマや映画などでも使われている言葉なので、覚えておくとよいでしょう。