「おもい」という言葉は、普段からよく使われますよね。漢字を当てはめる時、「思い」と「想い」のどちらを使うのか迷う人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「思い」と「想い」の違いをわかりやすく解説します。
結論:使うことのできる対象の範囲が違う!
「想い」は感情的に考えているものに対してのみ用いられます。一方で、「思い」は考えているもの全般に対して使われます。
「思い」をもっと詳しく
「思い」は、気持ちや考えのことを指す言葉です。
思いの「思」という漢字は、「田」が表す人間の脳と「心」が表す心臓から出来たものです。ここから、頭と心で考えた「おもい」を表す熟語になりました。
考えの内容は幅広く、論理的・客観的な考えから、非論理的・主観的な感情に至るまで、その人の内部で沸き起こるさまざまな思考を表しているのが、「思い」です。
ですので、「思い」と「想い」のどちらを使うのか迷った時は、「思い」を使うことをおすすめします。
「思い」の使い方の例
- 彼のいい加減な性格が原因で、もう応援したいという思いが消えていった。
- 世界を変えたいという思いの元、起業をする。
- 新しい企画に関する良い案が思いついた。
- 必ず実行させようとしたが、直前になって思いとどまってしまった。
- 彼がものすごく怒っていたというのは自分の思い違いだったようだ。
①のように「原因から読み解いた論理的な考え」という意味のものから、②〜⑤のように「自分の考えや気持ち」という意味まで、さまざまなシチュエーションで使われます。
「思い」の英語訳
思いを英語に訳すと、次のような表現になります。
- thought
(思考、意向、考え)
文脈によって他の単語を当てはめることもありますが、多くの場合はこの単語を用います。
「想い」をもっと詳しく
「想い」は、心の中で考えることを指す言葉です。
「想い」が指し示すものは、頭で理性的に構築された考えというより、無意識のうちに浮かびあがってきた感情や考えです。
想いの「想」という漢字は「木」「目」「心」から成り立っています。ここから、物理的に何かを目で見て心に浮かんでくる「おもい」を表す熟語になりました。
「懐かしい」「憧れる」「恋をしている」といった心情を表す際に使われることが多いため、小説・歌詞・ポエムなどの創作物で出会うことの多い熟語です。
「想い」の使い方の例
- 長年の想いがかなって、憧れの人物と会うことになった。
- 綺麗に咲いている桜を見て、想いにふける。
- 遠い場所にいる彼に対しての想いが募る。
- キラキラと輝いている将来を想うと、頑張ろうとする気持ちが沸々と湧いてくる。
- テレビの田舎特集を見て、自身の故郷を懐かしく想う。
①③は、人に対する心情を表しています。
②⑤は、景色を見て、何も考えずに浮かび上がってきた感情を表しています。
④は、ぼんやりと心の中で考えている様子を表しています。
「想い」の英語訳
想いを英語に訳すと、次のような表現になります。
- feeling
(感情) - imagination
(想像)
このように、頭ではなく心で考えたものに対する単語を使います。
その他の「おもい」の意味
「おもい」は「念い」「懐い」という漢字を当てはめることもあります。
以下で意味の違いを見ていきましょう。
懐いとは
「懐い」は「昔を懐かしく思い出す」という意味です。
「懐」という漢字は、「衣服の襟元」と「涙を流す目」から成り立っています。つまり、涙で服の襟が濡れる様を表しており、「死んだ人を思い涙にくれ、懐かしむ」という意味があります。
常用漢字表には含まれていないため、使われるケースはごくわずかですが、「懐かしい」と感じた気持ちに対してのみ使用できる熟語です。
念いとは
「念い」は「心の内の全てを覆う考え」という意味です。
「念」の字は「今」と「心」から成っていますが、この「今」には、「ある物を全て覆って含む」という意味があります。そこから「強く思っている」という意味が生まれました。
「想い」と同様に心の中の考えを表していますが、「心を支配する考え」という意味から、使われる場面が異なりますので注意が必要です。
まとめ
以上、この記事では、「思い」と「想い」の違いについて解説しました。
- 思い:気持ちや考え全般
- 想い:心の中で主観的に考えること
「おもい」にはさまざまな漢字が当てはまります。それぞれの熟語の意味の違いに注意し、正しい漢字を使いましょう。