「オンブズマン」の意味とは?使い方から英語や類義語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「オンブズマン」です。

「オンブズマン」の意味や使い方、語源、類義語、種類、各国の「オンブズマン制度」についてわかりやすく解説します。

☆「オンブズマン」をざっくり言うと……

英語表記オンブズマン(ombudsman)
意味行政機関を外部から監視する機関
語源「代理人」の意味のスウェーデン語 “ombudsman” から
類義語行政監察員、公官史、代理人、弁護人、オンブズパーソン
「オンブズマン」の種類古典的オンブズマン、組織内オンブズマン、市民オンブズマンなど
各国の「オンブズマン制度」日本には正式な公的オンブズマンが無い

「オンブズマン」とは?

オンブズマン(ombudsman):行政機関を外部から監視する機関

「オンブズマン」の意味を詳しく

「オンブズマン」とは、行政機関を外部から監視する機関のことです。

行政機関が国民の利益や権利を侵害しないように調査や勧告を行う第三機関です。「オンブズマン」はこの調査や勧告をする権利が保障されており、また、行政機関から独立しています。そのため、中立・公平な立場から職務を行います。

基本的には行政が行うべきことを行っていない、または、行うべきでないことを行っていることに対する国民の苦情に答えて調査を行います。ただし、「オンブズマン」が自発的に独自に調査を行うこともあります。

また、「オンブズマン」の調査に伴う「勧告」は、基本的には法的な強制力があるものはないですが、特定の場合では強制力のある処分を行うこともできます。

 

「オンブズマン」の調査は行政が「合法か非合法か」だけではなく、「公正公平か」という面でも行われます。

「オンブズマン」の使い方

  1. 新聞オンブズマンは、新聞を監視する役割を担っている。
  2. オンブズマン事務局は、現在職員不足である。
  3. 日本では影が薄いオンブズマン制度。

「オンブズマン」の語源

「オンブズマン」の語源はスウェーデン語の “ombudsman” です。

「弁護人」や「代理人」を意味する単語でした。「国民の代理人」として、国民からの要望に応えて行政の調査を行う機関なので、このような単語がもとになりました。

そもそも、オンブズマン制度がスウェーデンで生まれたので、スウェーデン語が語源になっています。

「オンブズマン」の類義語

「オンブズマン」には以下のような類義語があります。

  • 行政監察員
  • 公官史
  • 代理人
  • 弁護人
  • オンブズパーソン

「オンブズマン」の種類

「オンブズマン」には様々な種類があり、それぞれで活動する場や調査の対象などが違います。ここではその中でも代表的な「オンブズマン」を紹介します。

古典的オンブズマン

「古典的オンブズマン」とは、政府の機関を調査するオンブズマンです。別名で「公的オンブズマン」と呼ばれることもあります。

本来の「オンブズマン」の意味であり、昔から変わらない「オンブズマン」の役割ということで「古典的」オンブズマンと言われています。

組織内オンブズマン

「組織内オンブズマン」とは、その名の通り、大学や会社などの政府機関以外の組織に設置されるオンブズマンです。

職場や学内で、問題を抱える職員や学生の孫壇窓口になったり、問題や紛争が生じたときに中立な立場で対処する役割があります。基本的に、組織内の人物が任命されますが、あくまで「中立・公平」な立場から対処を行うのです。

市民オンブズマン

「公的オンブズマン」に対して「市民オンブズマン」があります。これは、文字通り市民が結成した「オンブズマン」です。

特定の党派に肩入れをせず、市民の立場から行政を監視することを目的とした組織です。ただし、これは建前上だけで、実際には強い思想を持った人たちが所属するものも多いです。

権利擁護オンブズマン

「権利擁護オンブズマン」とは、特定の集団の意見を代表して、代理人として活動する組織のことです。

具体的には、児童や患者、障害者など権利の意思表示が難しい人たちや、社会的な立場が弱い人たちの利益のために活動します。

「市民オンブズマン」ではなく「アドボカシー団体」などと名乗ることもあります。

各国の「オンブズマン制度」

一口に「オンブズマン」といっても、その仕組みや規模は国によって異なります。ここではいくつかの国の「オンブズマン制度」を紹介します。

日本

そもそも日本では「公的オンブズマン」の制度は導入されていません。総務省の一部の機関が「国際オンブズマン協会」に所属しているため、総務省が「オンブズマン」の役割を任っているという主張もありますが、「公的オンブズマン」と言えるかは曖昧(あいまい)です。

ただし、日本でも市の自治体などで「オンブズマン制度」を取り入れているところは数多くあります。

スウェーデン

「オンブズマン制度」とは、そもそもスウェーデンで生まれたものです。

議会によって6人のオンブズパーソンが指名され、4年間の任期で活動します。裁判所や行政機関、公務員などを監視する役割です。内容によっては起訴する権限も付与されています。

デンマーク

デンマークでも、早くから「オンブズマン制度」が導入されました。国会によって1名の「オンブズパーソン」が任命されます。スウェーデンと違って任務はありません。

監視対象には、行政機関のほかに首相や大臣も含まれています。ただし、裁判を起こす権利は認められていません。

フランス

フランスでは、「オンブズパーソン」の任命に閣議決定が必要になります。国会議員の中から1名を指名します。任期は6年で、再任はできません。

他の国の「オンブズマン制度」と少し異なり、国民が直接監視の申請を出すことができず、国会議員を通して申請を行う必要があります。

まとめ

以上、この記事では「オンブズマン」について解説しました。

英語表記オンブズマン(ombudsman)
意味行政機関を外部から監視する機関
語源「代理人」の意味のスウェーデン語 “ombudsman” から
類義語行政監察員、公官史、代理人、弁護人、オンブズパーソン
「オンブズマン」の種類古典的オンブズマン、組織内オンブズマン、市民オンブズマンなど
各国の「オンブズマン制度」日本には正式な公的オンブズマンが無い

「オンブズマン」は、ニュースや新聞でたまに見かける言葉です。

難しそうな言葉ですが、この機会にぜひ使いこなせるようになりましょう。