今回ご紹介する言葉は、ことわざの「陸(おか)に上がった河童(かっぱ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「陸に上がった河童」をざっくり言うと……
読み方 | 陸(おか)に上がった河童(かっぱ) |
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意味 | 力のある者が、自分に適した環境から離れることで、無力になってしまうこと |
由来 | 泳ぎが得意な得意な河童も、陸に上がると思うように行動できないこと |
類義語 | 陸へ上がった船頭、木から落ちた猿、水を離れた魚など |
対義語 | 魚の水を得たるが如し、水を得た魚のようなど |
英語訳 | A fish out of water(水から出た魚) |
このページの目次
「陸に上がった河童」の意味をスッキリ理解!
「陸に上がった河童」の意味を詳しく
「陸に上がった河童」は、力のある者が、自分に適した環境から離れることで、無力になってしまうことを意味することわざです。また、環境の変化で自分の力が発揮できなくなり、意気地がなくなることも表します。
注意しなければならないのが、「どんな達人でも失敗することはある」という意味はないということです。同じく河童が登場することわざの「河童の川流れ」と、混同して使わないようにしましょう。
「陸」は、多くの場合「りく」と読みますが、このことわざでは「おか」と読みます。また、「おか」の漢字を、「丘」「岡」と書くのは誤りなので、注意しましょう。
「陸に上がった河童」の使い方
- 彼は数学の分野で100年に1人の逸材だと噂されている。しかし、女性の前に出ると、顔が赤くなり、何も話せなくなる。その姿は、まさに陸に上がった河童のようだ。
- ビリヤードは1回もやったことがないんだ。いくら僕がアーチェリーのオリンピック選手でも、陸に上がった河童になってしまうよ。
- 彼は、昔は大阪でお笑い芸人としての経験を積んでいた。その後、自信をもってニューヨークのコメディアンに転身したが、まったく売れる気配がない。最近では、陸に上がった河童のようになっているらしい。
例文のように、何らかの専門分野がある人に対して使うことが多いです。
➀と➁の例文は、「力のある者が、自分に適した環境から離れることで、無力になってしまう」という意味で「陸に上がった河童」を使っています。
一方、➂の例文は、「環境が変わることにより自分の力が発揮できず、意気地がなくなる」という意味で「陸に上がった河童」を使っています。
「陸に上がった河童」の由来
「陸に上がった河童」は、泳ぎが得意な河童も、陸に上がると思うように行動できないことに由来しています。
河童とは、川や池にすむ日本の妖怪です。普段は水中で生活しますが、陸上に上がり、歩行することもできます。しかし、陸上では、水の中ほどは自由自在に動くことはできません。
また、河童にとって、頭の上にある皿は弱点です。陸上で皿から水がなくなると、河童は弱り、死んでしまうと言われています。
以上のような「陸上における河童の様子」が由来となり、「陸に上がった河童」が「力のある者が、自分に適した環境から離れることで、無力になってしまうこと」を意味するようになりました。
「陸に上がった河童」の類義語
「陸に上がった河童」には以下のような類義語があります。
- 魚(うお)の水を離れたよう:頼りにしていたものを失い、どうしようもないさま
- 木から落ちた猿:「魚の水を離れたよう」と同義
- 水を離れた魚:「魚の水を離れたよう」と同義
- 陸へ上がった船頭(せんどう):力のある者が、自分に適した環境から離れることで、無力になってしまうこと
「陸に上がった河童」の対義語
「陸に上がった河童」には以下のような対義語があります。
- 魚(うお)の水を得たるが如(ごと)し:その人にふさわしい場所で、能力を存分に発揮すること
- 水を得た魚(うお)のよう:その人に合った場所で、いきいきと活動すること
「陸に上がった河童」の英語訳
「陸に上がった河童」英語に訳すと、次のような表現になります。
- A fish out of water
(水から出た魚) - a kappa up on the land
(陸に上がった河童)
まとめ
以上、この記事では「陸に上がった河童」について解説しました。
読み方 | 陸(おか)に上がった河童(かっぱ) |
---|---|
意味 | 力のある者が、自分に適した環境から離れることで、無力になってしまうこと |
由来 | 泳ぎが得意な得意な河童も、陸に上がると思うように行動できないこと |
類義語 | 陸へ上がった船頭、木から落ちた猿、水を離れた魚など |
対義語 | 魚の水を得たるが如し、水を得た魚のようなど |
英語訳 | A fish out of water(水から出た魚) |
近年では、河童の伝承を耳にすることが少なくなりました。そのため、「陸に上がった河童」と言われても、イメージしにくい人も多いでしょう。
しかし、「自分に適した環境から離れることで、無力になってしまう」という場面は、生きていく上で何度も目にすることでしょう。そういった場面に備えて、「陸に上がった河童」を使いこなせるようになりましょう。