「おいとま」とは「①休暇②帰る」という意味です。
普通の会話ではあまり使いませんが、ビジネスや飲み会で使うので、どういった意味だろうと思ったことはありませんか?
そこで今回は「おいとま」の意味や使い方などについて簡単にわかりやすく解説します。
「おいとま」の意味
①休暇
例:おいとまをいただきます。
②帰る
例:それでは、おいとまします。
「おいとま(御暇)」は「①休暇②帰る」という意味です。
2つの意味は少し異なっているように見えますが、「仕事から離れる」という点では同じです。
そのため、「仕事から離れる」のが長期的なものであれば「休暇」という意味になります。
一方で、短期的なものであれば、「帰る」になるのです。
ちなみに、「おいとま」は漢字で表記すると「御暇」で、「帰る」の謙譲語でもあります。
絶対ではありませんが、この「御暇」の読み方によって意味も決まることも多いです。
- おひま
休暇 - おいとま
帰る
辞書には、読み方が「おひま」であっても「帰る」の意味が書かれているので、見分け方は参考程度に留めておきましょう。
「おいとま」の使い方
「おいとま」はビジネス、もしくはかしこまった場面で使用します。
具体的には、休暇を取る時や帰りがけに使うことが多いです。
たとえば、Twitterでは休暇をお知らせする時に使用しています。
明日より3日間おいとまを頂戴します。次回は1/15(土)19:00~ #落文 の経過報告会となりますので、皆様奮ってご参加ください。 pic.twitter.com/iZEKZhUW14
— Aestheticism Cafe&Bar ROSALIA (@cafebar_ROSALIA) January 11, 2022
また、以下のような表現をよく使います。
- おいとまする
- おいとまさせていただきます
- おいとまいたします
- おいとまをいただく
- おいとまを出す
- 枚挙にいとまがない
ほぼ「帰る」という表現ですが、「おいとまをいただく」は「休む」という意味です。
一方で、メールの文章や目上の人を主語にして使うのは間違いなので気をつけましょう。
また、「おいとまを出す」とは「クビにする」という意味です。
直接クビというと、刺激が強すぎるので柔らかく言い換えています。
「枚挙にいとまがない(枚挙に遑がない)」とは、「数えるとキリがない」という意味です。
「枚挙」は「数を数える」という意味で、「いとま」は「暇」を表します。
つまり、数え出すと暇がなくなるという意味から、「数えるとキリがない」という表現として使っています。
実際の例文を見てみましょう。
「休みを取る」と言いたい時
「休みを取る」と言いたい時、「おいとま」は以下のような例文で使用します。
- 正月にはおいとまをいただきます。
- 会社の事情でおいとまを出されました。
- 諸事情により、おいとまを頂戴します。
- おいとまをいただくため、みなさまにご迷惑をおかけします。
- 来週においとまをいただくことになったので、ご報告に参りました。
文脈や言い方にによっては「休みを取る」ではなく「仕事を辞める」といったニュアンスになるので気をつけましょう。
「帰る」と言いたい時
「帰る」と言いたい時、「おいとま」は以下のような例文で使用します。
- 私はおいとまします。
- そろそろおいとまさせていただきます。
- 宴もたけなわですが、おいとまします。
- 実家へおいとまさせていただきます。
- 私はおいとましますが、みなさんは楽しんでください。
しかし、ニュアンスとして「実家に帰る」ことは「縁を切る」といった意味合いもあることを覚えておきましょう。
「おいとまさせていただく」は間違い
「おいとまさせていただく」はよく使われていますが、「させていただく」が二重敬語です。
そのため、文法的には間違いなので気をつけましょう。
「おいとま」の由来
「おいとま」は「離れる」「別れる」という意味の「暇乞い(いとまごい)」という単語がもとになっていると言われています。
関西弁などの方言ではなく、標準語です。
暇乞いは以下のように成り立っています。
- 暇(いとま)
古語で「休暇」「休み」の意味 - 乞い(ごい)
欲すること
これが「離れる」という意味で使われ、暇乞いが省略されて「おいとま」になったと言われています。
古くからも、「雇ってくれている主人から離れる」という意味で「おいとま」が使われていました。
ちなみに、江戸時代は「おいとま」に「赴任する」という意味もありました。
「おいとま」の類義語
「おいとま」の類義語には以下のようなものがあります。
- 別れを告げる
別れる - 辞去する
立ち去る - 暇乞いする
休みをもらう - 失礼します
お邪魔する - 退出する
出ていく - 中座(ちゅうざ)する
席を外す - 帰る
去る - 上がらせていただきます
先に仕事を終えて帰ります
「おいとま」の言い換え
以下のような場面では、「おいとま」は別の言葉に言い換えたほうが良いです。
- 目上の人が主語の時
- 友達同士の会話
「おいとま」は謙譲語にあたるので、「部長がおいとましました」のように、目上のお人を主語にしては使えません。
その場合は「部長はお帰りになられました」のように言い換えるとよいでしょう。
また、身分が同じである友達同士で使用するのもおかしいので、普通に「帰ります」と言い換えると無難です。
「おいとま」の英語訳
「おいとま」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- I must say good‐bye now.
(おいとまします) - I gotta go.
(いかなくちゃ)
映画やドラマでよく使うのは“I gotta go.”です。
こちらは“I’ve got to go”を省略したスラングなので、日本語のようにへりくだった意味はありません。
しかし、よく英語圏では使うので覚えておくとよいでしょう。
「おいとま」のまとめ
以上、この記事では「おいとま」について解説しました。
読み方 | おいとま |
---|---|
意味 | ①休暇 ②帰る |
由来 | 「離れる」「別れる」という意味の「暇乞い(いとまごい)」が由来 |
類義語 | 別れを告げる 辞去する 暇乞いする など |
英語訳 | I must say good‐bye now I gotta go. |
「おいとま」は知っていたら便利な表現です。
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方を覚えましょう。