「老いては子に従え」の意味とは?英語や類義語や対義語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「老いては子に従え」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「老いては子に従え」をざっくり言うと……

意味年を取ったら子供の意見に従った方がよいということ
由来仏教や儒教の社会における女性のあり方についての教え
類義語騏驎も老いては駑馬に劣る、年寄りと釘の頭は引っ込むがよい
対義語老いたる馬は道を忘れず、年は寄れども心は寄らぬ、老馬の智
英語訳Be guided by your children when you are old.(年老いたときは、子に導いてもらうこと。)

「老いては子に従え」の意味をスッキリ理解!

老いては子に従え:年を取ったら子供の意見に従った方がよいということ

「老いては子に従え」の意味を詳しく

「老いては子に従え」とは、年を取ったら出過ぎることなく、子供の意見に従った方がよいということを表します。

しかし、どんな状況でも必ず子供に従わなければならないという意味ではありません。「若い人の判断が正しいこともあるので、子供の意見にも耳を傾けてみるべきだ」ということです。

「老いては子に従え」の「子」とは息子や娘のことであり、若い世代全体を表すわけではありません。もともとは、儒教や仏教が考える、女性のあり方に関する言葉でした。しかし、現在は性別は関係なく、年齢のみに焦点を当てたことわざになっています。

「老いては子に従え」の使い方

  1. 私は随分と年を取ったので、体力的に仕事が厳しくなった。老いては子に従えというように、これからは子供に牧場を任せようと思う。

この例文は、「老いたら出過ぎることなく、子供の意見に従った方がよい」という意味で「老いては子に従え」を使っています。

「老いては子に従え」の由来

「老いては子に従え」は、『大智度論(だいちどろん)』に出てくる三従(さんじゅう)に由来しています。

『大智度論』は、仏教の専門用語をまとめた書物です。また、『大智度論』は仏教の書物ですが、儒教(じゅきょう)(※1)にも三従の考え方があります。

三従について記した儒教の書物は『大戴礼記(だたいらいき)』といいます。『大戴礼記』は漢の時代の学者、戴徳(たいとく)によって書かれた論文集です。

 

三従は男性社会の中での女性のあり方について述べたものです。三従の教えは以下の通りです。

「女性は子供のときは父親や兄に従い、結婚したら夫に従い、年老いた後は子(息子)に従うのがよい。」

儒教や仏教には、女性は男性の言うことに従って生きることで、平和に暮らすことができるという思想がありました。ここから「老いては子に従え」ということわざが生まれました。

  • 儒教(※1):孔子の考えを基礎とする教え

五障三従とは

お釈迦様が亡くなった後、仏教の一部の宗派では「五障(ごしょう)三従」という考え方が生まれました。「五障三従」とは、女性が持っている5つの障害と女性が従うべき人のことです。

女性の5つの障害とは、女性は以下の神様になれないことを意味します。

  • 梵天王(ぼんてんのう):仏教の法や信者を守る神様
  • 帝釈天(たいしゃくてん):梵天王と同じ役割の神様
  • 魔王(まおう):仏教の修行の邪魔をする神様
  • 転輪聖王(てんりんじょうおう):世界を治めるとされる神様
  • 仏身(ぶっしん):仏の姿

つまり、五障三従は女性は先頭に立って人を導く役割を担うことができないという教えです。

これはヒンドゥー教(※2)から得た考え方とされ、お釈迦様の考えではありません。お釈迦様の本来の教えでは、言う通りに実行すれば誰でも仏になれるとされていました。

  • ヒンドゥー教(※2):バラモン教が基礎となったインドの宗教

「老いては子に従え」の類義語

「老いては子に従え」には以下のような類義語があります。

  • 騏驎(きりん)も老いては駑馬(どば)に劣る:どんなに立派な人でも、年を取ると普通の人にも及ばなくなること
  • 年寄りと釘の頭は引っ込むがよい:老いたらおとなしくして若い世代に任せるのがよいということ

「騏驎も老いては駑馬に劣る」の「麒麟」とは足の速い馬のことを表します。また、「駑馬」とは足の遅い馬のことです。

「老いては子に従え」の対義語

「老いては子に従え」には以下のような対義語があります。

  • 老いたる馬は道を忘れず:経験をたくさん積んできた人は正しい判断をすること
  • 年は寄れども心は寄らぬ:年は取っても心は老いないこと
  • 老馬の智(ち):「老いたる馬は道を忘れず」と同じ意味

「老いては子に従え」の英語訳

「老いては子に従え」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Be guided by your children when you are old.
    (年老いたときは、子に導いてもらうこと。)
  • When you get old, you had better take your children’s advice.
    (年老いたら子供のアドバイスに従うべきだ。)

まとめ

以上、この記事では「老いては子に従え」について解説しました。

意味年を取ったら子供の意見に従った方がよいということ
由来仏教や儒教の社会における女性のあり方についての教え
類義語騏驎も老いては駑馬に劣る、年寄りと釘の頭は引っ込むがよい
対義語老いたる馬は道を忘れず、年は寄れども心は寄らぬ、老馬の智
英語訳Be guided by your children when you are old.(年老いたときは、子に導いてもらうこと。)

年を取ったら子供の言うことを聞く方がよいと言いますが、豊富な経験を持つ人の判断が正しいこともありますね。時と場合に応じて、柔軟に対応できるとよいでしょう。