和菓子の「おはぎ」と「ぼたもち」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

突然ですが、問題です。「大福の逆の和菓子はなんでしょうか。」

正解は「おはぎ」と「ぼたもち」です。大福は餅のなかにあんこを包みますが、「おはぎ」と「ぼたもち」は餅をあんこで包みますね。両者は材料が同じでも、使い方が真逆なんです。

それでは、どちらも餅をあんこで包んだ和菓子である「おはぎ」と「ぼたもち」は何が違うのでしょうか。今回は、日本で古くから親しまれている和菓子の違いについて解説していきます。

結論:秋は「おはぎ」、春は「ぼたもち」。

どちらも基本的には同じ食べ物です。秋の彼岸の時期に食べるのが「おはぎ」で、春の彼岸の時期に食べるのが「ぼたもち」です。

しかし、現在では季節ごとに呼び名を変えることは少ないです。また、両者の違いは諸説あります。

「おはぎ」をもっと詳しく


「おはぎ」は、餅をあんこで包んだ和菓子です。秋の彼岸(秋分の日を真ん中として前後3日間を合わせた7日間)にお供え物として使用されます。

「おはぎ」は、漢字にすると「お萩」となります。元々は「お萩餅」と呼ばれていました。秋に咲く萩の花にからとった名前です。萩の花が「おはぎ」の材料である小豆の粒と似ていることから、このような名前になりました。

 

萩の花は小さめであることから、「ぼたもち」と比べると「おはぎ」は小さめに作られることがあります。

元々秋の彼岸は小豆(あずき)の収穫期であり、採れたばかりの良い小豆からあんこを作ることができます。その時、新鮮な状態の皮も一緒につぶしてしまうため、粒あんで作られていました。

しかし、現在では農業技術の発達や、保存方法の確立により、小豆を高品質な状態に保つことができます。現在では「おはぎ」でもこしあんでつくることがあります。

「ぼたもち」をもっと詳しく


「ぼたもち」は、餅をあんこで包んだ和菓子です。春の彼岸(春分の日を真ん中として前後3日を合わせた7日間)にお供え物として使用されます。元々は「おはぎ」と季節によって名前を呼び分けていましたが、現在では一年中同じ名前で通すことも多いです。

「ぼたもち」は、漢字にすると「牡丹餅(ぼたもち)」となります。元々は「牡丹餅(ぼたんもち)」と呼ばれていました。春に咲く牡丹の花からとってこのような名前になりました。

 

昔から小豆の収穫は秋に行われるため、「ぼたもち」を作る季節には古くなった小豆しか残っていませんでした。皮は固くなってしまっていたため、皮は取り除いた状態であんこを作りました。そのため、元々「ぼたもち」で使うあんこはこしあんでした。

しかし、現在では小豆を高品質な状態に保つことができます。そのため、現在では「ぼたもち」でも粒あんでつくることがあります。

 

牡丹の花は、萩の花と比べると大きめであることから、「おはぎ」よりも大きめに作られることがあります。

思いがけない幸運な出来事が起こることを「棚からぼたもち」といいます。これは、「ちょうど口を開いているときに棚の上からぼたもちが落ちて来る」というような奇跡的な出来事を想定したことわざです。

夏の「よふね」、冬の「きたまど」

「おはぎ」「ぼたもち」はそれぞれ秋、春の名称でした。しかし、実は夏と冬にも呼び名がありました。夏は「夜船(よふね)」、冬は「北窓(きたまど)」です。

 

これらの名前の由来は、「作るときに音がでない」ということです。「おはぎ」や「ぼたもち」もそうですが、作るときに使う餅は、一般的な餅ほどしっかりと「つく」ことはありません。米粒が多少残っている程度にすりつぶします。

つまり「おはぎ」や「ぼたもち」を作るときには、石臼の上の餅を杵(きね)で思いっきり叩くような大きな音はでません。つまり、周りの人からすると、餅を使っているのに「いつついたのか分からない」お菓子です。

 

夏の「夜船」は、ひっそりと人に見られることなく「いつ着いたのかわからない」ため、名付けられました。

冬の「北窓」は月を見ることができず、「月知らず」であるため、名付けられました。

まとめ

以上、この記事では、「おはぎ」と「ぼたもち」の違いについて解説しました。

  • おはぎ:秋の彼岸にお供えする
  • ぼたもち:春の彼岸にお供えする

「おはぎ」と「ぼたもち」は元々は日本の豊かな四季と、それに根付いた文化によって生まれた名称です。「よふね」や「きたまど」は、少ししゃれが聞いていて面白いですね。

甘い物といえば、ケーキやクレープなど洋菓子が頭に浮かびやすいですが、繊細で多彩な和菓子もやはり魅力的です。最近和菓子屋さんから足が遠のいている人も、たまには行ってみてください。そしてその時には、「おはぎ」か、「ぼたもち」か、ぜひ名前をチェックしてみてください。