今回ご紹介する言葉は、ことわざの「驕る平家は久しからず(おごるへいけはひさしからず)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「驕る平家は久しからず」をざっくり言うと……
読み方 | 驕る平家は久しからず(おごるへいけはひさしからず) |
---|---|
意味 | 成功し栄えている者も、いずれかならず滅びること |
由来 | 『平家物語』の冒頭に由来 |
類義語 | 盛者必衰、盈つれば虧くなど |
英語訳 | Pride will have a fall.(驕れる者久しからず) |
このページの目次
「驕る平家は久しからず」の意味をスッキリ理解!
「驕る平家は久しからず」の意味を詳しく
「驕る平家は久からず」とは、「地位や富などを自慢し、威張っている者は、いずれ滅びる」という意味です。
「驕る」は「おごる」と読み、才能や地位などを誇って、わがままな振るまいをすることを言います。
「平家」とは、平安時代の武将であった、平清盛の一族のことです。
「久しい」は、長い時間が経つことを意味します。「久しからず」と否定形になっているため、「長くは続かない」ということを表現します。
「驕る平家は久しからず」の使い方
- 最近の彼の業績は目覚ましい。しかし、驕る平家は久しからずと言うように、ごう慢になってしまわないか心配だ。
- 事業がここまで成功したのは、皆様のお力添えがあってこそです。「驕る平家は久しからず」を念頭に、これからも皆様に感謝しながら、精進してまいります。
「驕る平家は久しからず」は、うぬぼれや高慢になることを注意することわざです。そのため、❶や❷のように戒めのために使われます。
「驕る平家は久しからず」の由来
「驕る平家は久しからず」は、鎌倉時代に書かれた『平家物語』に由来します。
『平家物語』に、次のような文があります。「沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。」
「沙羅双樹の花の色は、盛んな者もかならず滅びるという道理を表す。おごりたかぶる人の栄華も、長くは続かず、春の夜の夢のようだ」という意味です。
平安時代末期に、平清盛の権力は非常に大きなものでした。清盛は、国を独裁し、貿易も支配しました。平家の人物が、「平家にあらずんば人にあらず(平家でない者は人ではない)」という言葉まで残しています。
それほどまでに栄えた平家ですが、清盛が急死し、一族は衰退していきます。そして、源氏との戦いにより、滅亡しました。
この平家の様子が、「盛者必衰」や「おごれる人も久しからず」と表現されたのです。
さらに、「おごれる人」ではなく、「驕る平家」と特定され、ことわざになりました。
「驕る平家は久しからず」の類義語
驕る平家は久しからずには以下のような類義語があります。
- 盛者必衰:今栄えている者も、かならず衰えること
- 驕れる者久しからず(おごれるものひさしからず):地位や名声などを威張り散らしている者は、かならず衰えるということ
- 盈つれば虧く(みつればかく):物事にはかならず、盛りと衰えがあるということ
- 物盛んなれば則ち衰う(ものさかんなればすなわちおとろう):盛んな時は、いつまでも続かないということ
- 羅紈有る者は必ず麻蒯有り(らがんあるものはかならずまかいあり):成功や名声は、衰えを免れることはできないこと
「盈つれば虧く」は、中国前漢の司馬遷(しばせん)が書いた、『史記』に由来します。「月盈つれば虧く」とも言います。月の満ち欠けで、人の盛衰を表しています。
「羅紈有る者は必ず麻蒯有り」は、前漢時代の淮南子(えなんじ)の言葉です。
「羅紈」とは、絹のことを言います。「麻蒯」は、麻などの粗末な衣服のことを言います。「立派な衣服を着る人でも、粗末なものを着る時がかならず来る」という意味です。
「驕る平家は久しからず」の英語訳
驕る平家は久しからずを英語に訳すと、次のような表現になります。
- Pride will have a fall.
(驕れる者久しからず) - All that is fair must fade.
(盛者必衰) - act arrogantly
(おごり高ぶる)
Pride will have a fallを直訳すると、「高慢な人は失脚する」です。
Prideは、「誇り」という意味もありますが、ここでは「高慢な人」のことを表します。a fallとは、「転落」や「失脚」のことを指します。
All that is fair must fadeを直訳すると、「美しいものは全て、衰える」です。
fairには、「美しい」という意味があります。これは古い意味であるため、bright(輝いているもの)などに言い換えることもできます。
fadeには、「衰える」「次第に消えていく」「あせていく」などの意味がああります。
act arrogantlyは、「おごり高ぶる」という意味です。arrogantlyは、「ごう慢な」という意味を持ちます。 “Those who act arrogantly will fade.(おごり高ぶる者は、衰える)” のように使います。
まとめ
以上、この記事では「驕る平家は久しからず」について解説しました。
読み方 | 驕る平家は久しからず(おごるへいけはひさしからず) |
---|---|
意味 | 成功し栄えている者も、いずれかならず滅びること |
由来 | 『平家物語』の冒頭に由来 |
類義語 | 盛者必衰、盈つれば虧くなど |
英語訳 | Pride will have a fall.(驕れる者久しからず) |
「驕れる者久しからず」ということわざは、現代でも多く使われます。
一方、「驕る平家は久しからず」は広く知られていません。こちらも、歴史的背景を組み込んだ、ためになることわざです。ぜひ、覚えましょう。