「如実」の意味とは?読み方は?使い方から類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「如実(にょじつ)」です。「成果が如実に現れる」などの形で見かけることが多いこの言葉ですが、意味をご存知でしょうか。また、似た形で用いる「顕著」「忠実」との違いを説明できますか。

以下の記事では、「如実」に関して、意味・使い方・「顕著」「忠実」との違い・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「如実」をざっくり言うと……

読み方如実(にょじつ)
意味少しも違わないほどの精度で、事実が浮き彫りになっているさま
語源仏教用語として、「あるがまま」を意味したことから
英語訳vividly(生き生きと、事実さながらに), realistically(写実的に、事実さながらに)

「如実」の意味をスッキリ理解!

如実(にょじつ):少しも違わないほどの精度で、事実が浮き彫りになっているさま

「如実」の意味を詳しく

「如実」とは、ある事柄が、ある事実を少しのずれもなく物語っている様子を指す言葉です。たとえば、上記の写真では、彼女の目つき(事柄)が、勝負ごとに真剣になっていること(事実)を如実に物語っています。

「如」は「如(ごと)し」と訓読できる漢字で、「~のようである」という意味を持ちます。「実」は、「実際」という熟語で使われる場合と同じ意味で、「本当のこと」を指します。つまり、「如実」とは、「実(じつ)の如し(事実さながらである)」という意味になるのです。

もとは仏教用語の「如実」

「如実」は、もともと仏教用語です。「あるがままであること」という意味であり、物事の本質や真の姿を指すのに使われています。同義語として、「真如(しんにょ)」があります。

「如実」をもちいた仏教用語には、「如実知見(にょじつちけん)」と「如実自知心(にょじつじちしん)」があります。

「如実知見」の意味

「如実知見」とは、事実や本質を、寸分違わずに見抜くことを意味します。「知見」は読んで字のごとく、見て知ることを指します。

仏教では、「悟り」の境地に至ることを最重要項目としています。「悟り」とは、心の乱れをなくし、真実にたどり着いた状態のことです。そのため、物事の本質を知ろうとする「如実知見」は、仏教において重要な言葉でした。

「如実自知心」の意味

「如実自知心」とは、「あるがままの自分の心を知ること」を指します。「実の如く自心を知る」と書き下すことができます。

表面的に生じる自分の感情に振り回されることなく、真に自分が求め要るものはなにかを突き止める姿勢が「如実自知心」なのです。この言葉は、仏教の経典である『大日経(だいにちきょう)』に収められています。

『大日経』の正式名称は『大毘盧遮那成仏神変加持経(だいびるしゃなじょうぶつじんべんかじきょう)』と言います。

「如実」の使い方

  1. ぼろぼろになった彼のスパイクは、努力の跡を如実に物語っている。
  2. 今回の試験の難しさは、きわめて低い平均点に如実に表れている。
  3. 彼のプレーの乱れは、焦りの感情を如実に示している。

上記の例文のように、「如実」は「如実に~する」という形で副詞的に用いられます。

 

①では、彼が一生懸命に努力をしたという事実が、ぼろぼろになったスパイクからそのまま感じ取れる様子を「如実」と表現しています。

②では、極めて低い平均点によって、試験が難しかったという事実が語られているさまを「如実」と言っています。

③では、彼の中にある焦りという感情が、プレーの乱れという誰の目にも明らかな事実に示されている様子を「如実」と述べています。

 

以上のように、ある現実を経由して、その裏にある事実や真実が少しのずれもなく語られることを「如実」と言うのです。

「如実」「顕著」「忠実」の違い

「顕著」と「忠実」は、ニュアンスや使い方が「如実」と似ており、使い分けに戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。そこで、3つの言葉の意味の違いを解説します。

 

「顕著」は、際立っているさまを指します。「顕」は「顕(あき)らか、「顕(あらわ)れる」」と訓読し、よく目立つことを意味します。「著」は、「著(いちじる)しい」と訓読し、はっきり識別できるほど目立っていることを意味します。

「顕著」は何かが目立っている度合いに焦点を当てている一方で、「如実」はそこにある何かと、その奥にある事実や真実との関係性に焦点を当てています

「忠実」は、事実に少しも変化を加えず、そのままに示すことを意味します。「忠」は、偽りがない心を指します。

「忠実」には事実をごまかさないようにする積極的な意志がある一方で、「如実」はそうした意志の有無を問いません

「如実」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • vividly
    (生き生きと、事実さながらに)
  • realistically
    (写実的に、事実そのままに)

以下、それぞれを用いた例文です。

例文
  • The dirty spikes vividly shows how hard he practiced.
    (その汚れたスパイクは、彼がいかに一生懸命に練習に取り組んだのかを物語っていた。)
  • The pictures taken during the game describe the fighting spirits in her realistically.
    (試合中にとった写真には、彼女の中に眠る闘志が如実に表れていた。)

まとめ

以上、この記事では「如実」について解説しました。

読み方如実(にょじつ)
意味少しも違わないほどの精度で、事実が浮き彫りになっているさま
語源仏教用語として、「あるがまま」を意味したことから
英語訳vividly(生き生きと、事実さながらに), realistically(写実的に、事実さながらに)

「如実」は、「実の如し」つまり事実がそのまま表れていることを指す言葉です。「顕著」や「忠実」との違いも押さえて、上手に使いましょう。