「看護師」と「准看護師」の違いとは?資格の得る方法まで解説

違いのギモン

病院に行くと、「看護師」がいますよね。そして、特に入院したことがある人はすごく「看護師」の世話になったと思います。

ところで、みなさんは「看護師」のほかに「准看護師」という職種があるのをご存知でしょうか。

これについては知らない人が多いと思いますし、知っていても「看護師」と「准看護師」を区別できる人はほとんどいないのではないでしょうか。

そこで、今回は「看護師」と「准看護師」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:必要な免許が違う

「看護師」と「准看護師」とでは必要になる免許が違います。

まず、「看護師」になるには国が発行する看護師免許が必要です。

一方、「准看護師」になるには都道府県知事が発行する准看護師免許が必要です。

「看護師」の定義

看護師になるには国が発行する看護師免許が必要です。

そして、看護師を准看護師と区別する時には正看護師と呼びます。

ちなみに、看護師の免許については正確には保健師助産師看護師法に定められています。それによると、看護師になるには厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。

そして、看護師の国家試験の受験資格を得るためには看護専門学校か、看護の短大に通って看護について学ぶ必要があります。

これには少なくとも3年かかり、高校を卒業している必要もあるので、看護師になれる年齢は最短でも21歳になります。

 

そんな看護師の就職先として一番多いのは病院で、70%を占めます。これは、大学病院や総合病院などが積極的に新卒の看護師の採用を行っているからです。

しかし、最近は老人施設、障碍者施設などでも看護師のニーズが高まっています。

 

そして、看護師の給与は准看護師と比べて高く、平均すると35万円ほどです。しかも、昇給がしやすいという特徴もあります。

「准看護師」の定義

准看護師になるには都道府県知事が発行する准看護師免許が必要です。これは国家資格ではありません。

ちなみに、都道府県知事が免許を発行しているからといって、他の都道府県では働けないというわけではありません。

そして、准看護師の仕事は、医師や歯科医師、看護師などの指示を受けて患者の療養上の世話、もしくは診療の補助を行うというものです。つまり、医師や看護師などの指示を受けなくては業務を行えないのです。

 

ただ、実際にはいちいち指示を待っていては急患などの一刻を争う状況に対応できないので、正看護師と同じような仕事内容になり、業務に大した違いはありません。

にもかかわらず、看護師に比べて給与が低く、平均すると30万弱程度になります。また、昇給もしにくいですし、看護師長、部長、主任などの責任あるポストにはつきにくいでしょう。

その上、看護師の中でもさらに専門性が高い職業として助産師や認定看護師などもありますが、これらの資格はすでに正看護師であることが前提になっているため、准看護師の状態では挑戦することすらできません。

 

そんな准看護師はこれまでにも述べたように業務が看護師とあまり変わらず安い賃金で雇用できるので、個人病院などでは多く就職先があります。

ただ、看護師の数と患者の数の比率で看護の厚さをはかる「看護師配置基準」では准看護師は数に含まれません。そのため、高い看護基準を得たい病院や、それによる診療報酬の上乗せがほしい病院などは准看護師の採用を行っていない場合もあります。

 

ちなみに准看護師には比較的年齢層が高いという特徴があります。そして、これにはきちんと理由があります。

昔は、女性の高校進学率は低く、中学校を卒業すれば養成学校に入ることができる准看護師の仕事が人気でした。

しかし、現在では女性でも大学まで進学する人が多く、正看護師を目指す人が増えたため、若い准看護師は減っています。

一方、社会人にとって、准看護師は最短で2年あれば資格を取得することができ、学費も安いので人気です。

また、准看護師は非常勤という雇用形態もとることもできます。非常勤では働く時間の自由度が高く、家庭と両立しやすいので主婦などにも人気です。

しかも、医療系の仕事は稼げるため、准看護師には根強い人気があります。

 

そして、准看護師には正看護師にキャリアアップするチャンスもあります。

その条件としては2つありますが、まず1つめは准看護師として3年間働くことです。

そして、2つめは「看護師養成所2年課程」で学び、国家試験に合格し、看護師免許を取得することです。ちなみに、「看護師養成所2年課程」には通学制と通信制があるので、学校に行く時間がない人でも安心です。

 

ただ、准看護師に関する状況はあまりよくありません。

業務に正看護師との違いがないこと、高度医療に対応できる看護の質の向上が必要なことなどを理由として、日本看護師会は准看護師の制度の廃止を提案しているのです。

しかし、労働力の確保が必要なこと、安い賃金で雇用できる准看護師が必要な個人病院などの反対などもあり、これが実現することは当分ないと思われます。

ただ、准看護師の養成所は減少傾向にあります。

まとめ

以上、この記事では、「看護師」と「准看護師」の違いについて解説しました。

  • 看護師:国が発行する看護師免許が必要
  • 准看護師:都道府県知事が発行する准看護師免許が必要

准看護師と看護師に分けられていることによって、両者の間の仲が悪くなりがちなことも事実です。これを統合するかどうかについては慎重な議論が必要でしょう。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。