「東海道・山陽新幹線」は、東海道新幹線だけで多客期には1日400本を超える列車が運転されています。
そんな「日本の大動脈」を走る列車は、「のぞみ」「ひかり」「こだま」の3種類。ほとんどの人が聞いたことがあると思います。しかし、どれが一番速いのかあやふやな人も多いでしょう。
「のぞみ」「ひかり」「こだま」の違いを説明します。
結論:「ひかり」は「こだま」より速く、「のぞみ」は一番速い
「ひかり」(光)が「こだま」(木霊=音)よりも速いのは日常生活のイメージと似ていますが、物理的に観測できない「のぞみ」(望み)は光よりも速いことになります。
使われている車両はほぼすべて「700系」か「N700系」で、のぞみは基本的に N700系、こだまは基本的に700系が運用されています。
「のぞみ」をもっと詳しく
「のぞみ」は、東京-新大阪間を約 2時間半で結ぶ東海道・山陽新幹線の最速列車です。
停車駅は限られていて、静岡県内の駅はすべて通過することが大きな特徴となっています。このため、東京-名古屋以西間などの長距離移動に適しています。
最大速度は東海道新幹線の区間で 270km/h と最も速く、東京-新大阪間の約 500km を 2時間半で走り抜けます。評定速度(停車時間も含めた全体の速さ)も東京-新大阪間で 200km/h を超えていますね。通勤電車では 40km/h 程度ですから、かなり速いことがわかります。
「東海道・山陽新幹線」と一体となって呼ばれている東京-博多間の新幹線ですが、東京から博多まで直通する列車は非常に少なく、すべてが「のぞみ」で運転されています。遅い種別だったら最後まで乗りとおすのは非常につらいでしょう。
「のぞみ」は、飛行機に対抗するべく「ひかり」より速い種別を、ということで 1992年に設置されました。それ以来着実に都市間輸送で飛行機からシェアを奪っています。
東京-大阪間では旅客輸送の 4分の3 を新幹線が担い、東京-広島でもシェアは過半数を超えています。さらに近年では九州新幹線の開業で、京阪神-熊本間の輸送シェアも半分を超えました。
「ひかり」をもっと詳しく
「ひかり」は、「のぞみ」の通過する駅に多く停車する列車です。たとえば、ほとんどの「ひかり」が、「のぞみ」の通過する静岡県内で2駅ほど停車します。
しかし、一部の「ひかり」は静岡県を全通過するなど、同じ名前でも列車によって停車駅の数は全く違います。朝6時に新横浜駅を出る「ひかり」は、途中静岡・名古屋・京都にしか停まらず、「のぞみ」と遜色ない 2時間10分で新大阪駅に着いてしまいます。
このように、「速いひかり」もあれば「遅いひかり」もあります。かつては「遅いひかり」のことを「こだま」とあまり変わらないという意味で「ひだま」と揶揄していました。
ところが、JR が速達輸送で「のぞみ」に力を入れているため、ひかりは停車駅が増える傾向にあります。
「のぞみ」と「ひかり」「こだま」の運賃差はわずかなものになり、「のぞみ」に自由席が導入されると「ひかり」「こだま」と同料金で「のぞみ」の自由席に乗れるようにもなりました。
なお、山陽新幹線区間のみを走る「ひかり」を「ひかりレールスター」と呼びます。ひかりレールスターは16両編成の「ひかり」に比べて 8両編成と短い分、本数を増やしてきめ細かなサービスを行っています。
「こだま」をもっと詳しく
「こだま」は新幹線の「各駅停車」です。すべての駅に停車します。静岡-東京間など、大都市近郊では通勤列車としての役割も果たしています。
東京-新大阪間を 2時間半で結ぶ「のぞみ」に対し、「こだま」では 4時間ほどかかります。停車駅が増えて遅くなるだけでなく、「ひかり」「のぞみ」の通過待ちで停車時間が伸びるためです。
JR東海では「ぷらっとこだま」というお得なきっぷを発売しています。通常期の自由席で 13,200円かかる東京-新大阪間が指定の「こだま」に乗ることで 10,500円で済むだけでなく、ワンドリンクついてくるというものです。
短距離利用がメインの「こだま」ですが、長距離利用にもメリットがあるのですね。
まとめ
以上、この記事では、「のぞみ」「ひかり」「こだま」の違いについて解説しました。
- のぞみ:再速達列車。ごく限られた駅に停車する
- ひかり:多くの駅に停車する
- こだま:各駅停車。全ての駅に停車する
「ひかり」がまったく停まらない駅はごくわずかです。
新幹線に乗るときは種別の違いに注目してみてください。