「上る」と「登る」と「昇る」の違いは?例文や使い方と一緒に解説

違いのギモン

「上る」と「登る」と「昇る」は、どういった視点で「上に移動する」動作を捉えるかが異なります。

読み方が一緒なので、雰囲気で使い分けていませんか?

よく分からないので適当に使ってしまいがちですよね。

そこで今回は、「上る」と「登る」と「昇る」の違いについて簡単にわかりやすく説明します。

「上る」と「登る」と「昇る」の違い

  • 上る
    上に行く、上へ移動する
  • 登る
    他と比べて高い場所へ(苦労して)移動する
  • 昇る
    天高く上昇する
「上る(のぼる)」は「上に行く」「上へ移動する」という意味です。

それに対して、「登る(のぼる)」は「他と比べて高い場所へ苦労をして移動する」というニュアンスです。

そして、「昇る(のぼる)」は「天高く上昇する」という意味合いです。

順番に詳しく解説します。

「上る」の意味

「上る」は「上に行く」が主な意味です。

他にも以下のような意味があります。

  1. ある場所を通り、高いところに行く。
    例:坂道を上る。
  2. 地方から中央へ行く。都へ向かう。
    例:東京へ上る。
  3. のぼせる。夢中になる。
    例:頭に血が上る。
  4. 数量が、無視できない相当の程度に達する。
    例:死者数が100万人に上る。
  5. あるところで、取りたてて問題とされる。
    例:話題に上る。

この中で1番よく使うのが、①の意味です。

単純に下から上へと移動することを「上る」と表記します。

 

ちなみに古語の「上る」は、他にも「(京の町で)北へ行く」「上陸する」といった意味もあります。

そのため、京都の住所には、京都御所から見て北側の地名には「上る」が入っています。

たとえば、京都市役所の住所は「京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488」です。

「上る」の使い方

「上る」は単純に、下から上へ物が移動する場合や、数字などが上回る場合に使用します。

実際の例文には以下の通りです。

  1. 鯉が川を上る
  2. 被害総額は3億円を上る
  3. 坂道を自転車で上る
  4. 急いで階段を上る
  5. 喧嘩して頭に血が上る

「上る」の英語訳

「上る」の英語訳は以下の通りです。

  • go up
    高い方へ行く
  • rise
    上がる

「上る」と「上がる」の違い

「上る(のぼる)」と「上がる(あがる)」の違いは以下の通りです。

  • 強調するのが、行為か結果かが異なる
  • 他動詞として使えるかが異なる

「ステージに上る」と言えば、上る行為そのものを強調する一方で、「ステージに上がる」と言えば、ステージに上がった結果や状態を強調します。

また、「上る」は他動詞として使えませんが、「上がる」は使えます。

たとえば、「花火が上がる」や「花火を上げる」と言い表せますが、「被害額が数兆円を上らせる」とは言えません。

「登る」の意味

「登る」とは、「一段と高い場所に上がる」が主な意味です。

特に、意図して上へ移動することや、他と比べて労力を使って一段と高い所へ移り進むことを表します。

「登」という字は、「上向きの両足」「祭器」「両手」の形がもとになっていて、それが「祭器を持ちあげる」の意味になり、現在のように使われるようになりました。

「登る」の使い方

「登る」は、「他と比べて高い場所に移動する」と言いたい時に使用します。

実際の例文には以下のようなものがあります。

  1. 晴れたので今日は山に登ろう。
  2. 校長が壇上に登っている。
  3. 思い切って木に登ろう。

ちなみに、「上る」と混同してしまう場合は、熟語で考えると分かりやすいです。

たとえば、「山に登る(登山)」「壇上に登る(登壇)」などと言うので、ヒントになります。

しかし、一般的に「坂道を上る」と言いますが、当人が努力して苦労してのぼる場合には「坂道を登る」と表現しても誤りではありません。

「登る」の英語訳

「登る」の英語訳は以下の通りです。

  • climb
    登る
  • mount
    (山などに)登る

“climb”という単語はよく使用しますが、読み方と発音をカタカナで表すと「クライム」です。

“b”は発音しないので注意しましょう。

ロッククライミングをイメージすると、発音を思い出しやすいです。

ちなみに、“climbed”(過去形)や“climbed”(過去分詞)と活用します。

「昇る」の意味

「昇る」は「高く上がる」が主な意味です。

特に、一気に上へ上昇することや、空中へ高く上ることを表現します。

その他にも以下のような意味があります。

  1. 高い地位につく。昇進する。
    例:大臣の地位に昇る。
  2. 太陽・月などが空高く現れる。
    例:月が昇る。
  3. 昇り降りする機械で上に行く
    例:リフトで上に昇る。

ちなみに、「昇」という漢字は「太陽」と「すくい上げる」がもとの意味になっていて、そこから「太陽が昇る」といった使い方をするようになりました

「昇る」の使い方

「昇る」は天高く上空に位置すると言いたい時に使用します。

実際の例文には以下のようなものがあります。

  1. 嬉しくて天にも昇る想いだ。
  2. 日はまた必ず昇る。
  3. エスカレーターで展望台に昇る。

「昇る」の英語訳

「昇る」の英語訳は以下の通りです。

  • ascend
    昇る
  • go up
    昇る
  • arise
    昇る、生じる
  • rise
    昇る

特に“rise”をよく使用しますが、活用が難しい単語でもあります。

過去形は“rose”(ロウズ)、過去分詞は“risen”(リズン)です。

「上る」と「登る」と「昇る」の違いのまとめ

以上、この記事では、「上る」と「登る」と「昇る」の違いについて解説しました。

  • 上る
    上に行く、上へ移動する
  • 登る
    他と比べて高い場所へ(苦労して)移動する
  • 昇る
    天高く上昇する
読み方が一緒なので、分かりづらい単語ですが、ニュアンスや意味合いの違いがあります。

ぜひ、この記事を参考にして場面ごとに使い分けられるようになりましょう。