料理の「煮る」と「煮込む」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

ジュワーっとダシのしみた煮物は美味しいですよね。よく煮込まれた煮物ほど、味がしみるものです。

しかし、サバの味噌煮やモツ煮など、「〇〇煮」という名前の料理がある一方で、「煮込みハンバーグ」「味噌煮込みうどん」など、「〇〇煮込み」という名前の料理もあります。

どちらもじっくり煮て作られた料理です。「煮る」と「煮込む」には、どのような違いがあるのでしょうか。

結論:「煮込む」の方が旨味がしみ出している

「煮る」とは、材料を水と一緒に加熱する調理工程を指します。材料に水がしみこむと同時に、水に材料の成分が溶け出します。

ハウス食品によれば、「鍋の中の水(汁やソース)と食品との風味のバランスを最適化する」ことが「煮込む」ことで、「煮る」よりも一段上の過程です。

「煮る」をもっと詳しく

「煮る」とは、材料と水を一緒に加熱することを言います

 

煮ることで、水分が材料に浸透するだけではなく、材料が柔らかくなったりアクや脂が抜けたりします。たとえば豚の角煮では、豚肉を煮ることで、アクが抜けるだけではなく、脂身が柔らかくなります。

水の沸騰温度は 100℃ なので、鍋の中は常に 100℃ 程度に保たれます。水が対流することで味や火の通り方も均一になるのです。

「煮込む」をもっと詳しく

「煮込む」は、材料から出た旨味が溶け出した汁を再び材料に吸収させることを指します。長時間煮ることで、材料がよく味のしみた状態になります。

 

豚の角煮の例では、豚肉から出た旨味をたっぷり含んだ煮汁が再び豚肉に吸収されることで、美味しそうな色をした味のしみた豚肉になるのです。また、ゆで玉子やほうれん草などを入れても、豚肉のエキスをたっぷりと吸って美味しくなりますよね。

また、材料のタンパク質が水と結びついて分解されると、旨味のもとになるという効果もあります。

これが、「煮込む」ことの意義です。特に材料がたくさんある場合、煮込むことですべての味がまとまって美味しい煮物が完成します。

「〇〇煮」と「〇〇煮込み」


「〇〇煮」と「〇〇煮込み」との間には、はっきりとした違いはあるのでしょうか。それぞれ、主な料理名をあげてみました。

「〇〇煮」の例

材料が少なかったり、別々に下ごしらえされたものを最後に合わせたりする場合は、「煮込む」より「煮る」と言った方が適切でしょう

  • 煮びたし:水菜などをだし汁でサッと煮たもの
  • サバの味噌煮:サバを味噌だれで煮たもの
  • 煮しめ:野菜を別々に煮てから合わせて煮る料理

「〇〇煮込み」の例

グツグツと長時間煮込まれたものは、「〇〇煮込み」と名づけられる傾向にあります

  • 味噌煮込みうどん:材料とうどんを一緒に味噌だれで煮込んだもの
  • 煮込みハンバーグ:ハンバーグと付け合わせをデミグラスソースで煮込んだもの
  • モツ煮込み:モツを野菜などと一緒に煮込んだもの

まとめ

以上、この記事では、「煮る」と「煮込む」の違いについて解説しました。

  • 煮る:材料を水と一緒に加熱し、旨味を引き出す
  • 煮込む:旨味のしみ出した煮汁を材料にしみ込ませるまで煮る
よく煮込まれた料理は、材料も汁も美味しいのですね。