なぜ?真意は?ことわざ「憎まれっ子世に憚る」の意味と使い方

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「憎まれっ子世に憚る(にくまれっこよにはばかる)」です。

言葉の意味がピンと来ない方もいれば、意味はわかっても言葉の真意を読み取るのが難しいと感じる方もいるかもしれません。

今回の記事では、「憎まれっ子」や「憚る」の意味を紐解いていきながら、言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

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「憎まれっ子世に憚る」の意味をスッキリ理解!

憎まれっ子世に憚る(にくまれっこよにはばかる):他人から憎まれたり嫌われたりする人の方が、世渡り上手で悠然と生きているものであること

「憎まれっ子世に憚る」の意味を詳しく

「憎まれっ子世に憚る」とは、他人に憎まれる者の方が、世の中を上手く渡り歩いているものであるということを指すことわざです。

「憎まれっ子」は子供に限らず憎まれている人を広く表し、「憚る」は幅を利かせることを表しています。

「憎まれっ子世に憚る」は、必ずしも否定的な意味とは限りません。他からの同調圧力に屈せず、憎まれながらも、自分のやりたいように物事を進める芯の強さを肯定的に捉えることもあります。

要注意!「憚る」の意味

「憚る」は、本来は「遠慮する、気兼ねする」という意味の言葉です。たとえば、人目を気にすることを「人目を憚る」と言います。

しかし、「はばかる」が、「幅(はば)」や、蔓延することを指す「はびこる」と発音が似ていることから、幅を利かせるという意味を持つようになったとされています。

幅を利かせるという意味で「憚る」が用いられている例は、平家物語にある以下の記述にも見られます。

ひと間にはばかるほどの物の面出できて、のぞきたてまつる。
(ひと間が満たされるほどの大きな怪物が顔を出して、覗き申し上げる。)

なぜ?憎まれっ子が世に憚る理由

憎まれっ子にもかかわらず、なぜ世間で幅を利かせるのでしょうか。その理由の1つとして言われているのは、憎まれっ子は頑固なほど自分に正直で、他からの同調圧力に屈しない強さを持っていることです。

人目を気にする人が言動を抑制する一方で、自分が信じる道をひたすら突き進む人は、他人から憎まれながらも伸び伸びと生きていきます。

結果として、頑固な憎まれっ子が世の中で顔を利かせることもあるということです。

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「憎まれっ子世に憚る」の使い方

  1. やりたい放題で周りから疎(うと)まれている彼は、今や大出世している。憎まれっ子世に憚るというものか。
  2. 憎まれっ子世に憚ると言うように、多少頑固に見えても自分を貫くことも大切なのだろうか。
  3. 複数の上司に仕事の才能を評価された彼は、「憎まれっ子世に憚るというやつです」と返した。

①では、周りから嫌われる彼の大出世を嘆かわしく思う気持ちで「憎まれっ子世に憚る」と言っています。

②では、憎まれるほどの頑固さも必要なのではないかという、やや前向きなニュアンスで「憎まれっ子世に憚る」を用いています。

③では、才能を評価された自分を「憎まれっ子」と表現することで、自らを謙遜しています。

「憎まれっ子世に憚る」の由来

「憎まれっ子世に憚る」は、江戸いろはかるたの 1つとして登場します。江戸いろはかるたは、江戸時代後期に作られたかるたです。江戸いろはかるたに載っているのは、暮らしの中で見いだされた知恵などをことわざにしたものです。

江戸いろはかるたの「に」が、「憎まれっ子世に憚る」です。

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「憎まれっ子世に憚る」の類義語

「憎まれっ子世に憚る」には以下のような類義語があります。

  • 雑草は早く伸びる:憎まれる人ほど上手く生きるものであること
  • 渋柿の長持ち:長所がない人ほど長生きすること
  • 憎まれっ子頭堅(かた)し:憎まれる人は頑固であり、自分で発展していくこと
  • 憎まれっ子神固し:憎まれる人の方が、世の中でのびのびと生きているものであること
  • 憎まれ者棚へ上がらず:憎まれる人ほど伸び伸びと生きるものであるということ
  • 憎まれ子国にはびこる:憎まれる人ほど、世間では幅を利かせているものであること
  • 呪うに死なず:他人から憎まれるくらいの人の方が、かえって長生きする者であるということ

「雑草は早く伸びる」は、他の植物と違い、人の助けも借りずにぐんぐんと育つ雑草を「憎まれっ子」に喩えています。

「憎まれっ子世に憚る」の英語訳

「憎まれっ子世に憚る」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Ill weeds grow apace.
    (雑草は速やかにはびこる。)
  • Ill weeds grow fast.
    (雑草は速やかにはびこる。)
  • Ill weeds are sure to thrive.
    (雑草は速やかに生い茂る。)
  • An ill stake standeth longest.
    (悪い杭(くい)こそ最後までたっている。)
  • The devil’s children have the devil’s luck.
    (悪魔の子供は悪魔の幸運を持つ。)
  • The more knave, the better luck.
    (悪党ほど運がよい。)

雑草は、人の助けも借りずに自然に育つことから、他の植物にとっての憎い存在として取り上げられています。雑草を用いた英語表現は、その強い生命力を肯定的に捉えることもあります。

“An ill stake standeth longest.” の stake は、土地の所有権を主張するための杭のことです。自分が欲しいと思うような土地は結局価値があり、そこに立つ目障りな杭はいつまでも残っているものであることを述べています。

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まとめ

以上、この記事では「憎まれっ子世に憚る」について解説しました。

読み方憎まれっ子世に憚る(にくまれっこよにはばかる)
意味他人から憎まれたり嫌われたりする人の方が、世渡り上手で悠然と生きているものであること
由来江戸いろはかるた
類義語雑草は早く伸びる、渋柿の長持ち、憎まれっ子頭堅(かた)し、憎まれっ子神固し、憎まれ者棚へ上がらず、憎まれ子国にはびこる、呪うに死なず
英語訳Ill weeds grow apace.
Ill weeds grow fast.
Ill weeds are sure to thrive.
An ill stake standeth longest.
The devil’s children have the devil’s luck.
The more knave, the better luck.

憎まれっ子がなぜ幅を利かせるのか、不思議に思う方もいるでしょう。しかし、良くも悪くも自分に正直で頑固な人は、結果として憎まれながらも、自分の信じる道を伸び伸びと進んでいけることも十分にあり得ます。

「憎まれっ子世に憚る」は必ずしも否定的な意味とは限らず、含蓄に富んだ言葉です。ぜひ、意味や使い方を覚えてみてください。

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