「にほん」と「にっぽん」の違いとは?区別から使い方まで解説

違いのギモン

「日本」は私たちの国の名前ですが、その読み方は2種類ありますよね。それは、「にほん」と「にっぽん」です。私たちは普段、この2つの言葉を無意識のうちに使いわけていますが、この2つの読み方の違いは何なのでしょうか。

多くの人は知らないと思います。そこで、今回は「にほん」と「にっぽん」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:大きな違いはない

「にほん」と「にっぽん」に大きな違いはなく、どちらも正式な読み方です。

よって、多くの人は語呂のいいほうで読んでいます。

ただ、企業の名前などは読み方が正式に決まっていることが多いので注意が必要です。

序論:「日本」の読まれかたの歴史

日本はもともと、中国をはじめとする外国からは「倭(わ)」と呼ばれていていました。また、国内ではヤマト政権が支配を始めると「大和(やまと)」が正式な国号になりました。

そして、この国号が「日本」に変わった経緯はよくわかっていませんが、645年の大化の改新の時あたりから、「日本」が国名として使われるようになりました。

ちなみに、当時の読み方は「ひのもと」もしくは、昔の国号の読み方である「やまと」であったようです。

しかし、「日本」の読み方はだんだん変化していき、「にほん」や「にっぽん」と呼ばれるようになっていきました。

その詳しい経緯はそれぞれの項で解説していきたいと思います。

「にほん」をもっと詳しく

「にほん」は「日本」の読み方の1つですが、話し言葉では「にっぽん」より圧倒的に頻繁に用いられます。

そして、「日本」が「にほん」と読まれるようになった経緯はよくわかっていません。

 

しかし、通説はあります。

「日本」が「にほん」と読まれるようになったのは平安時代のことだと言われています。また、ひらがなが生まれたのも平安時代のことでした。そして、当時のひらがなには促音や半濁音などがありませんでした。

ちなみに、促音とは「っ」のことで、半濁音とは「ぱ」「ぴ」「ぷ」「ぺ」「ぽ」のことです。

「にっぽん」には「っ」と「ぽ」が含まれていますよね。よって、この読み方から「っ」が抜け、「ぽ」が「ほ」に変化しました。

これが「にほん」という読み方の起源と言われています。

 

この読み方は話し言葉では「にっぽん」より一般的であり、特に若い人はこの読み方を採用することが多いようです。

ただ、NHKは正式な国号として用いる時には「にほん」と読まず、それ以外の時には語呂がいいほうを使っているようです。しかし、これについてはNHKも「これは社内のルールとしてですが」と前置きをしているので、そこまで気にしなくても大丈夫だと思います。

 

ただ、企業や建造物などの正式名称の時には「にほん」と読まなければならない時もあります。

例えば、東京にある日本橋は「にほんばし」と読まなくてはなりません。

また、そのほかにも日本おおかみなどは「にほん」という読み方をします。

「にっぽん」をもっと詳しく

「にっぽん」という読み方は「にほん」より正式なものと考えられることが多いですが、話し言葉ではあまり使われない傾向にあります。

そして、この読み方が生まれたのは「にほん」より前の奈良時代と言われています。

「日本」はもともとは「にちほん」と読まれていましたが、これの音が変化し、「にっぽん」と読まれるようになったのです。

また、中国をはじめとする外国からは歴史上、「にっぽん」や「じっぽん」と呼ばれることが多くありました。しかし、やがて「じっぽん」という読まれ方は使われなくなり、「にっぽん」だけが残りました。

 

このように、「にほん」よりも前に生まれた読み方であり、外国からもそう呼ばれることが多かったため、「にっぽん」が正式な読み方だと主張する人も多いようです。

例えば、昭和9年には「にっぽん」という読み方を正式とする「国号呼称統一案」が発表されましたが、採択はされませんでした。

その後もたびたび、「にっぽん」を正式な読み方にしようとする動きがありましたが、「にほん」という読み方も「にっぽん」という読み方も世間に広まりすぎているため、統一はされませんでした。

 

ただ、NHKは社内で「にっぽん」という読み方を正式名称とし、正式な国号として用いる時は必ず「にっぽん」と読んでいます。

しかし、話し言葉としてはあまり人気がありません。特に若者はあまりこの読み方をしませんが、年配の方は「にっぽん」と読むことも多いようです。

 

ただ、これも「にほん」と同じように、正式名称がある企業などの場合は注意しなければなりません。

例えば、日本銀行は「にほんぎんこう」など思っている人も多いと思いますが、「にっぽんぎんこう」が正解です。お札にもきちんと「NIPPON GINKO」と書かれています。

また、大阪の「日本橋」は「にっぽんばし」と読まなければなりません。もしこれを間違えてしまうと、東京にある「日本橋」と間違えられてしまいます。

 

そのほかにも、スポーツの応援などでは「にっぽん」を用いますよね。

例えば、「がんばれ、にほん!」とはあまり言わず、「がんばれ、にっぽん!」と応援しますよね。

確かに、「にほん」というとなんだか力の抜けた感じになってしまい、大声をあげる応援には向かないのかもしれません。

まとめ

以上、この記事では、「にほん」と「にっぽん」の違いについて解説しました。

  • にほん:話し言葉で使われることが多い
  • にっぽん:スポーツ観戦などで用いられることが多い

このように、結局みんな、語呂のいい読み方を採用しているだけなのです。「にほん」と「にっぽん」の違いはあまり気にする必要がないのかもしれません。

ABOUT US

和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。