ビジネスの面で使われることが多い「ニヒル」と「シニカル」の違いを知っていますか。また、意味を捉え間違えていませんか。
そこで今回、説明するのは「ニヒル」と「シニカル」の違いです。
結論:「ニヒル」は無関心、「シニカル」は皮肉的または冷笑的な態度。
一方で、「シニカル」は皮肉的や冷やかな態度のことを言います。
「ニヒル」をもっと詳しく
「ニヒル」の意味は、何に対しても価値や意味を感じず、虚しいということです。つまり、虚無という言葉で表すことができます。
たとえば、「ニヒルな笑み」と言うときは、特に感情を表すわけでもない、冷ややかな笑いを表します。ニヒルな笑みは、「シニカル」の持つ冷笑的なニュアンスではありません。
冷笑には相手を見下すニュアンスがありますが、ニヒルな笑みは軽蔑ではなく、世の中に対する虚しさや、関心を持つことへの諦めが込められています。
「ニヒル」の使い方の例
- 彼らは、ニヒルな人たちだ。
- 彼女はドッキリに対して、ニヒルな笑みを浮かべた。
②の文は、ドッキリに対して、口元は微笑んでいても、冷め切っている感情を持っていることを表しています。クールな笑いと勘違いする人もいます。しかし、「ニヒルな笑み」には無感情という意味があるため、クールとは異なります。
「ニヒル」の対義語と類義語
次に、「ニヒル」の対義語と類義語を挙げます。
対義語
- 熱心:1つの物事に深く打ち込む様子。
- 情熱的:情熱がみなぎっているさま。
- 躍起:一心不乱になって物事をすること。
- 興味津々:興味が尽きないさま。
類義語
- 虚無:何事もなく、虚しいこと。
- 無関心:心にかけないこと。興味を持たないこと。
- 冷淡:物事に熱心ではないこと。
- 淡々:あっさりしたさま。
「シニカル」をもっと詳しく
「シニカル」とは、対象を認めた上で、冷ややかな態度を取るさまを表す言葉です。英語”cynical”が語源のカタカナ語です。「皮肉」は「意地悪な態度」、「冷笑」は「見下した態度」を指すので、「シニカル」は否定的な意味合いを含みます。
また、社会に対して冷めた態度で臨む、哲学的思想のことを指す時もあります。
「シニカル」の由来
「シニカル」は、古代ギリシャの哲学流派である「キュニコス派」から由来が来ています。
古代ギリシャの哲学者・ソクラテスは、キュニコス派の代表として知られています。キュニコス派は、他からの影響を一切受けないことを理想として、現実社会を風刺したり嘲笑したりする皮肉な側面があります。
このキュニコス派を形容する言葉が”cynic(シニック)”となり、シニカルの語源になったとされています。
現実社会への冷笑が由来の言葉であるため、「シニカル」は、否定的で嘲笑的な意味合いが強い言葉だと言えます。
ちなみに、「キュニコス派」は別名「犬儒学派」とも言われ、社会に対して冷めた態度で臨む哲学的思想のことを指します。
「シニカル」の使い方の例
- 彼女は、シニカルな人だ。
- 彼はシニカルな態度で、名悪役を演じた。
- そのシニカルなジョークに、観客の反応が分かれた。
①の文は、彼女が見下した態度を取りがちな性格であることを表しています。
②の文は、彼が演じた意地悪な態度の悪役が、高い評価を受けていることを表しています。
③の文は、皮肉の利いた冗談により、反応に困った観客がいたことを述べています。
「シニカル」の対義語と類義語
次に、「シニカル」の対義語と類義語を挙げます。
対義語
- ユーモラス:ユーモアがある様。
- 信頼:信じて頼ること。
- 世辞:他人に対して、愛想の良い言葉。
類義語
- 皮肉:遠回しに意地悪く、弱みなどをつくこと。
- 冷笑:嘲笑うこと。
- 嘲笑:嘲って笑い物にすること。
まとめ
以上、この記事では、「ニヒル」と「シニカル」の違いについて解説しました。
- ニヒル:何に対しても価値や意味を見出せず、虚しいこと。
- シニカル:皮肉的または冷笑的なさま。