今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「ニッチ」です。
「ニッチ」の意味・使い方・語源・対義語についてわかりやすく解説します。
☆「ニッチ」をざっくり言うと……
英語表記 | ニッチ(niche) |
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意味 | 隙間、特定のニーズを持つ小さな市場 |
語源 | フランス語の “niche” |
対義語 | メジャー、マス |
「ニッチ」の意味をスッキリ理解!
「ニッチ」の意味を詳しく
「ニッチ」は、「隙間」を意味する言葉です。この意味から派生して、様々な分野で使われるカタカナ語です。以下、分野ごとに詳しく解説します。
市場での「ニッチ」の意味を詳しく
「ニッチ」は、特にビジネスでの場面でよく使われます。
ニーズがあることを気付いておらず、大企業が手を付けていない市場を「ニッチ」や「ニッチ市場」と言います。大きな市場の隙間に位置するという意味合いで「ニッチ」が使われます。
「ニッチ市場」の開拓に焦点を当てた戦略を「ニッチ戦略」「ニッチマーケティング」と言います。また、その商品やサービスを提供するビジネスを「ニッチビジネス」「ニッチ産業」と言います。
他にも、「グローバルニッチトップ」で「国際市場の開拓に取り組んでいる企業のうち、ニッチ分野におい て高いシェアを確保し、良好な経営を実践している企業」を意味します。
経済産業省は、代表的な「グローバルニッチトップ」を百社選出しています。
建築分野での「ニッチ」の意味を詳しく
建築分野での「ニッチ」は「壁や柱などの建造物のへこみ」を指します。伝統ある建築意匠のひとつで、像や花瓶などのインテリアを設置できるへこみです。意図せずつけられた傷としてのへこみではないため注意してください。
下部は平らに、上部はドームのような形にへこんでいることが多いです。
「ニッチ」は、壁龕(へきがん)やエクセドラと言い換えられます。
岩のへこみや隙間を「ニッチ」と呼んでいたため、「建造物のへこみ」を「ニッチ」と表現するようになりました。
生物学での「ニッチ」の意味を詳しく
生物学での「ニッチ」は「ある生物の生態系内での地位、生態的地位」を意味します。
場所によって生態系を構成している生物は様々ですが、生態系ごとに似たような役割をする生物がいます。たとえば、牛とカンガルーとシマウマはそれぞれの生態系内で、草を食べ大型の肉食獣に食べられる役割を担っています。
このとき、「同じ役割をする牛とカンガルーとシマウマは同じニッチを占める」と言います。
同じニッチを複数の種で共有することはできないと知られています。最も環境に適応した種のみが繁栄するためです。
建築分野で使われていた「ニッチ」の意味が転用され、生物学でも使われるようになりました。
人やモノの特徴を表す「ニッチ」の意味を詳しく
人やモノの特徴を表す「ニッチ」は、「ニッチな」という使われ方で「風変り、マニアック」を意味します。
ネガティブなニュアンスではなく、良い意味で個性的というニュアンスで使われることが多いです。
「ニッチ」の使い方
- ニッチ市場をターゲットにしたベンチャー企業が増えてきたように感じる。
- ニッチに花瓶が飾られているような、豊かな家に住みたいと思った。
- どの動物をみても、その動物のニッチはどこかを考えてしまう。
- 私はニッチな人を好きになる傾向がある。
上の例文のように、「ニッチ」は様々な分野で使われます。
①の「ニッチ」は「ニッチ市場」で「特定のニーズを持つ小さな市場」を意味します。経済学用語として用いられています。
②は「壁や柱などの建造物のへこみ」という意味で「ニッチ」が使われています。建築分野の用語として用いられています。
③の「ニッチ」は「ある生物の生態系内での地位、生態的地位」を意味します。
④は「ニッチな人」で「風変りな人、マニアックな人」を意味します。
「ニッチ」の語源
「ニッチ」の語源はフランス語の “niche” です。
フランス語の “niche” は狭い場所を全般的に指す言葉です。
そこから英語としても使われるようになり、上述の多様な意味が生まれました。
「ニッチ」の対義語
「ニッチ」には以下のような対義語があります。
- メジャー:大きいほうの、有名
- マス:集まり、集団
まとめ
以上、この記事では「ニッチ」について解説しました。
英語表記 | ニッチ(niche) |
---|---|
意味 | 隙間、特定のニーズを持つ小さな市場 |
語源 | フランス語の “niche” |
対義語 | メジャー、マス |
「ニッチ」は多くの意味を持ちますが、どのような場面で使われているかを考えて意味を判断してください。