「自然」と「天然」の違いとは?意味から使い分けや使い方まで解説

違いのギモン

近年、『自然派』や『天然素材』の食べ物やコスメ用品、家具が人気ですが、あなたは「自然」と「天然」の違いについて知っていますか?

今回は、そんなよく似た日本語「自然」と「天然」の違いについて、徹底解説していきます。

結論:「自然」は状態を表す。「天然」は性質を表す。

どちらも人間の手が加わっていないことを意味しますが、「自然」は人為的でない状態を、「天然」は人的でない性質を表します。

また、「自然」のほうが「天然」よりも広範囲なものを表すときに使われます。

「自然」をもっと詳しく


「自然」とは、生来 (しょうらい) の状態のままであることです。

たとえば、空や木、太陽や月など、人間の働きによって生まれたものではないもの、手を加えられていないものは「自然」です。

 

「自然」の二文字を分解すると、『自』と『然』ですが、それぞれ『自分自身で』『ありのまま』という意味を持っています。

つまり、自然とは『己のありのままの姿』を意味しているのです。

 

たとえば、私たちが日常的に使う言葉として、『自然体』という表現があります。

この言葉は『ありのままの自分』という意味で使われていますね。

私たちは知らず知らずのうちに「自然」を『ありのまま』という意味を持つ言葉として使いこなしているのです。

 

また、「自然」は形容詞や副詞として用いられることもあります。

「自然」の使用例

  • お肉を自然解凍する:温めたりせず、肉が自ずと解凍される様子
  • 自然と涙がでた:泣こうと働きかけたのではなく、自ずと涙が溢れる様子
  • 自然派:ありのままでいようとする姿勢
  • 自然消滅:意識的な働きかけなしに、自ずと消滅していく様子

「天然」をもっと詳しく


「天然」とは、あるものの持つ性質が人為的ではないことを表し、しばしば『化合』『加工』『人工的』などの対義語として使われます。

人為的でないという意味においては「自然」と同じですが、自然が状態を表すのに対して、「天然」は性質を表す点において異なります。

そのため、『ありのままの状態』を表す『自然体』という表現は、『天然体』とすると不自然になってしまいます。

また、「自然」は形容詞や副詞としても使用可能なのに対し、「天然」は『天然に~』と副詞として使用することはできません。

「天然」の使用例

  • 天然温泉:人為的に効能となる成分を加えたりしていない、自然な性質の温泉
  • 天然香料:人工的に生成されたのではなく、植物や果物など自然のもので作られた香り
  • 天然記念物:人為的に生産されたものではなく、保護すべき自然物

これらの例は、いずれも『自然な性質を持った何か』を表しているので、性質を表す「天然」が適切です。

どっちの言葉を使えばいいのか迷ったときには、『自然な状態の温泉』と『天然な性質を持った温泉』などのように、「自然」と「天然」をあてはめてみましょう。

そして、日本語としてどちらがより自然か比べてみると良いです

まとめ

以上、今回は「自然」と「天然」の違いについて解説しました。

  • 自然:人為的ではなく、ありのままの状態
  • 天然:人為的ではない、ありのままの性質

普段よく見たり聞いたりする言葉でも、改めて意味を考えると「あれ、どっちだっけ?」と迷ってしまうものです。

だからこそ、それぞれの言葉の意味や違いを理解しておくことが大切なのです。