「ナルシスト」の意味は?言葉の意味や語源、男女別の特徴も解説!

言葉

ナルシストとは「自己愛が強すぎる人」という意味です。

ナルシストな人が周囲にいると感じており、付き合い方がわからないと感じている人もいるかもしれません。

逆に、インスタグラムなどのSNSが普及している中、投稿をこだわってしまったりいいね数を気にしてしまったりして、「自分はナルシストなのではないか?」と悩んでいる方も多いでしょう。

この記事では、ナルシストの意味や語源、男女別の特徴と付き合い方などもご紹介します。

「ナルシスト」の意味

ナルシスト

自己愛が強すぎる人

例:彼はナルシストだから、仕事中も自分の姿を見るのに夢中だ。

ナルシストとは「自己愛が強すぎる人」という意味です。

単に自分を大切にできている人ということではなく、自分の容姿や行動に過度な愛情を示し、周囲との関係性などに何かしらトラブルを抱えている人のことを指します。

ただし、ナルシストは厳密に心理学用語として使われているものではないため、多少自分の容姿に自信があることなどを指して使われることも多いです。

心理学用語における「ナルシスト」

心理学用語では、「ナルシスト」の正式名称は「ナルシシスト」になります。

もともとは “Narcissistic Personality Disorder(自己愛性パーソナリティ障害)” という、自己愛に関しての障害が元になった言葉です。

自己愛性パーソナリティ障害には、以下のような特徴があります。

  • 自分のアイデンティティ確立に他者の承認が必要(自分に自信が持てない)
  • 他者への共感などが困難
  • 他者と敵対する
このように、むしろ自分のアイデンティティを守るための手段として過度な自己愛を持つ人のことを、心理学用語で「ナルシシスト」と呼びます。

これが一般的な用語として浸透する際に、自己愛が強い人に対しての悪口として使われるようになりました。

また、もっと広い層の人に対して気軽に使われるようになりました。

そのため、現在「ナルシスト」は、自己愛性パーソナリティ障害を持つ人だけではなく、単純にポジティブな人や、多少自慢が多い人、さらには少し自撮りが多い程度の人まで幅広い層に使われています。

「自己愛が強すぎて生きづらい」と感じる場合は病院に

このように、自己愛が強すぎる背景には、「自分のアイデンティティがうまく自分で確立できない」という問題があります。

多少の自己愛は誰しも感じるものですが、もし社会の中で生きづらさを感じるようであれば、一度病院やメンタルクリニックなどで見てもらうと、場合によっては楽になる可能性があります。

また、周囲もどうしても付き合い方に困ってしまう場合や、自分に危害を加えてくる場合は、病院やメンタルクリニックの受診を進めてみるという方法もあります。

「ナルシスト」の略称

「ナルシスト」の略称には、以下のようなものがあります。

  • ナル
  • ナルシー
  • ナル男
覚えておくと、会話の意味がわかりやすくなります。

「ナルシスト」の使い方

ナルシストは、以下のような会話の流れで使います。

Aさん
はあ、今日はついてないな。こんなくだらないミスで上司に怒られるなんて
Bさん
ふーん。それより俺のこの靴かっこよくないか?
Aさん
あのさぁ……お前って本当にナルシストだよな。
このように、あまり相手の話を聞かずに自分の自慢を始めるなど、自分をとにかくよく見せたいと感じているそぶりが見える人のことを「ナルシスト」と呼ぶことが多いです。

他にも、以下のような例文があります。

  1. 君って本当にナルシストだよね。
  2. そういうことをしていると、ナルシストだと思われるぞ。
  3. ナルシストは苦手だ。
  4. 私ってナルシストなのかもしれない。
  5. ナルシストで何が悪いの?

このように、ナルシストはネガティブな印象で使われることが多いです。

「ナルシスト」の語源

ナルシストの語源はギリシャ神話の登場人物「ナルキッソス(Narkissos)」です。

ナルキッソスは、たくさんの乙女やニンフに求愛されながらも断っていましたが、ある日水面に映った自分の姿に恋をしてしまいます。

そしてナルキッソスは叶わぬ恋に焦がれ、やつれ死んで、水仙の花となってしまいました。

このことから自己愛性パーソナリティ障害を「ナルシシズム」、その障害を持つ人を「ナルシシスト」と呼ぶようになり、一般用語として使う際には省略されて「ナルシスト」となりました。

「ナルシスト」の類義語

ナルシストには以下のような類義語があります。

  • 自信家
    (時に過度に)自信がある人のこと
  • 気障(キザ)
    歯の浮くようなことをさらりとできる人のこと
  • 鼻につく
    なんとなく苛立つ相手のこと

ナルシストをポジティブな意味で使う場合は「自信家」、ネガティブな意味で使う場合は「鼻につく」と言い換えると良いでしょう。

なお、「自信家」や「気障」は人や文脈によってはマイナスな意味に捉えられることがあるので、使う際は気をつけましょう。

「ナルシスト」の対義語

ナルシストには以下のような対義語があります。

  • 謙虚
    控えめで自己主張が弱いこと
  • 引っ込み思案
    あまり人と関わる場に出たがらないこと
  • 内気
    あまり外に対して積極的でないこと

「謙虚」はポジティブな意味で使えますが、「引っ込み思案」と「内気」はネガティブなニュアンスが強いです。

「ナルシスト」の英語訳

ナルシストには以下のような英語訳があります。

  • narcist
    (ナルシスト)
  • narcissist
    (ナルシシスト)

英語にも「ナルシスト」「ナルシシスト」どちらもあります。

「narcissist(ナルシシスト)」の方が伝わりやすいですが、軽口を叩くように使うのであれば「narcist(ナルシスト)」の方が深刻さが薄れます。

「ナルシスト」の特徴


ナルシストの特徴には、以下のようなものがあります。

  • 根拠がない自信を持っている(ように見える)
  • 目立ちたがる
  • 人をリードするのが好き
  • エンターテイナー
  • プライドが高い
  • 自分にしか興味がない
  • よく自慢をする
  • 人を見下している
  • 自分を磨くことへの熱意が高い
  • 先の見えない努力が長続きしない
  • 話が過大になってしまう
  • 調子に乗りやすい
  • 嫉妬心が強い
  • 人に意地悪をしてしまうことが多い
  • 恋に落ちやすく冷めやすい
  • 特定の人を理想の人だと思い込む
  • 恋人や友人などをステータスで選ぶ
  • 自分が正当に評価されていないといつも感じている
重要なのは、多くの場合これら全ての根底に「本当は自信がない」という前置きがつくことです。

前述の「心理学用語におけるナルシスト」でも確認した通り、ナルシストの人は自己のアイデンティティがないがゆえに、他者からの評価で自分を測ろうとします。

上記の特徴のリストの各項目に「本当は自信がないから、」という前置きをつけてみると、ナルシストの人の特徴を深く理解することができるでしょう。

男女別の「ナルシスト」の特徴

主に恋愛面において、ナルシストは男女で異なる振る舞いをする傾向にあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

男性の「ナルシスト」の特徴

男性のナルシストに特徴的な行動は以下の通りです。

  • 姿がうつるものを鏡がわりにする
  • 前髪を特に気にする
  • 先の尖った靴を履いている
  • 座るときに足を広げることが多い
  • 香水などにも気を使う
  • 昔の悪事をアピールする
  • 女性を「お前」と呼ぶ
  • 「俺のこと好きなの?」と聞く
こちらも「自分に自信がないからこういう行動に出ている」と理解するとわかりやすいでしょう。

男性はとりわけ「強くてかっこいい存在」であることを期待されることが多いため、このように、自分の強さをアピールする行動をとることが多いです。

その結果、ナルシストに見える言動をしているのだと考えられます。

女性の「ナルシスト」の特徴

女性のナルシストに特徴的な行動は以下の通りです。

  • 鏡をよく見る
  • 自撮りをよくする
  • SNSをよく更新する
  • 写真のときは決まった表情で写る
  • 自分が嫉妬されていると思っている
  • 男性に対しての理想が高い
  • 愚痴を言っているように見えてマウントを取っている
  • わがままが多い
こちらもまた、「自分に自信がないからこういう行動に出ている」と理解するとわかりやすいでしょう。

特に女性は社会から「美しさ」で評価されるタイミングが多いため、自分の美しさを少しでもアピールすることで、アイデンティティを確立しようとしている可能性が高いです。

「ナルシスト」の心理


ナルシストの人は、以下のような気持ちを抱えていることが多いです。

  1. 実は自分に自信がない
  2. 褒められたい
  3. 特別扱いされたい
  4. 他人の目線が気になる
  5. 厳しく育てられたため褒め言葉を欲している
  6. 幼い頃から甘やかされていてそれに慣れている
  7. 精神年齢が幼い
②〜⑤は、いずれも①の「実は自分に自信がない」と関連している内容です。

自分に自信がないため②〜④のような気持ちになったり、⑤のような環境が影響してナルシストになることがあります。

⑥と⑦は、それとは異なる視点になります。

甘やかされ慣れているために甘やかされていないことに違和感を感じたり、あるいは精神的に成熟していない場合にも、ナルシストと見られる行動をとることがあります。

「ナルシスト」の緩和方法


ナルシストは必ずしも悪いことばかりではありませんが、「生きづらさを感じていてナルシストを改善したい」という気持ちがある場合は、以下の点に気をつけると緩和することができます。

  • 人の良いところを意識してみる
  • あえて聞き役に徹してみる
  • 人からの指摘を一度飲み込んでみる
  • 話している人の表情から相手の感情を予測してみる
  • 他人は自分に興味がないということを意識してみる
  • 謙虚な言葉遣いをしてみる
このように、普段と真逆の行動を意識的にとってみることで、ナルシストが緩和します。
どうしても困っているようなら病院へ

繰り返しになりますが、自分がどうしてもナルシストを改善できずに困っている場合は、一度病院やメンタルクリニックに行くのも一つの手です。

根底にアイデンティティへの強い不安を抱えている場合も少なくないため、その点を心理士などと一緒に改善することで、ナルシストも緩和する場合があります。

以下のようなトラブルを感じている場合は、一度検討してみるのも良いでしょう。

  • 職場などでトラブルを起こしてしまう
  • 誰かに褒められていないとずっと不安に駆られる
  • 人に過度に敵対心を抱いてしまう

「ナルシスト」な人との付き合い方


逆に周囲のナルシストな人に困っている場合の付き合い方にもコツがあります。

以下の2通りの場合に分けて説明します。

  1. 相手が知人など、そこまで親しくない場合
  2. 相手が恋人や友達など、親しい場合

パターン①:相手が知人など、そこまで親しくない場合

相手がそこまで親しい相手ではない場合の接し方は、以下の通りです。

  • 相手を否定しない
  • 相手が傷つきやすいことを理解する
  • とりあえず褒める
  • 割り切って聞き流す
  • プライベートではなるべく関わらない
いくら相手が根底に自信のなさや不安を抱えているとしても、あまり近しくない相手にできることはそれほどありません。

自分が平穏に過ごすことを優先し、割り切った付き合い方をしましょう。

パターン②:相手が恋人や友達など、親しい場合

相手が親しい相手の場合の接し方は、以下の通りです。

  • 相手を否定しない
  • 相手が傷つきやすいことを理解する
  • 無理に相手を変えようとしない
  • たくさん反応し、自分が相手に関心があることをわかってもらう
  • 本心から褒める
  • 嫌なことをされた場合は思い切って伝えてみる
  • 重症の場合はカウンセラーなどに相談する
相手が親しい人である場合は、できることが増えます。ナルシストな人が心理的に安心できる場所を作りましょう。

そのためには、相手について深く理解した上で、たくさん反応を返したり本心から褒めたりするといった付き合い方が大切です。

ただし、自分が苦しくなってしまっては元も子もないので、嫌なことは嫌と伝えたり、どうしてもの場合はカウンセラーに相談するなどの手段も取りましょう。

「ナルシスト」な芸能人


ナルシストだと言われている芸能人には、以下のような人がいます。

  • GACKTさん
  • 狩野英孝さん
  • 手越祐也さん
  • 藤原紀香さん
  • 木村文乃さん
ナルシストをキャラとして売り出していたり、なぜかナルシストだと言われていたりなど、理由はさまざまですが、彼らのSNSなどを見るとナルシストのイメージが掴めるかもしれません。

「ナルシスト」のまとめ

以上、この記事ではナルシストについて解説しました。

英語表記ナルシスト(narcist)
意味自己愛が強すぎる人
語源ギリシャ神話の登場人物ナルキッソス
類義語自信家
気障
鼻につく
対義語謙虚
引っ込み思案
内気
英語訳narcist(ナルシスト)
narcissist(ナルシシスト)

改善方法や付き合い方なども覚えておくと、人間関係が楽になります。

ABOUT US

Rie
日英バイリンガル東大生。 10年間小説を書き続けているため、文章力には自信があります。 いくつかの小説投稿サイトで掲載/連載している他、教育系NPOでもライターをしています。